《【最終章開始!】 ベイビーアサルト ~撃墜王の僕と、醫見習いの君と、空飛ぶ戦艦の醫務室。僕ら中學生16人が「救國の英雄 栄のラポルト16」と呼ばれるまで~》第43話 左目Ⅰ②
「あはっ!」
真っ赤な口もとを拭いもせず、浜さんは笑みを浮かべながら英雄さんに近づいていく。
そう、彼は笑っていた。‥‥笑っていたんだ。
「なんだ、急に出てきて」
英雄さんもたじろいでいる。
ここにいる全員の思考がフリーズした所で、浜さんの口がいた。
「毆った時點で負けなんだよ。このチ○カス野郎」
浜さんは、さらに歩み寄っていく。
「な‥‥‥‥なんだ、と」
滝知山は、あぶら汗を浮かべる。
「中學生に論破されて、毆りかかってくるアンタを○ンカスと呼んだんだ。言いかえして來いよ? あ? このチンカ○が」
そう言いながら、浜さんは、白いブラウスの元からボールペンを取りだして。
カチリ。
「あはは♪」
英雄さんの太ももに突き立てに行く。
ゴギッ!! ‥‥ガチンッ!!
が、滝知山の裏拳で吹き飛ばされ、再び壁に頭を打ちつけた。
「あは♪ あはは!」
壁からを起こした浜さんは、また笑った。
「ほうらね。こういうゴミはすぐ手を上げるんだ。最っっ低だよね」
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三度歩き出そうとして、ガクンと膝から崩れ落ちる。
「‥‥‥‥だれがチン○スだコラッ!」
滝知山は倒れた浜さんを組み伏せて、ボールペンを取り上げた、所で、日金さんが割ってった。
「上長! ヤバイって。こんな子中學生毆って、公けになったらまずい。この子ら民間人だ。今度こそアンタのキャリアが終わる!」
僕は呆然と、倒れている浜さんを見ていた。
「いちこぉ!」
桃山さんが悲鳴を上げながら抱きかかえる。その時僕がじていたのは、不甲斐ない自分自への怒りだった。
依はキズつけられ、浜さんは毆られ。
かせないの中を、行き場のない怒りが右往左往していた。ものすごい不快だ。
「‥‥‥‥ううう」
僕は、拳を握りしめ、これ以上できないくらいに、奧歯を噛みしめた。
グラリ。
足もとが傾いた。艦が大きく揺れたから。
グラリ。また揺れた。
全員のインカムに紅葉ヶ丘さんの聲。
「エンジンが不安定。艦を著陸させて」
だけど舵手の泉さんは、この場に來てしまっている。
「今は無理よ」 と、子さんが応答する。
「村の上空でアンコントローラブルになるかも。今下りるか。村に墜落するかの二択」
と、紅葉ヶ丘さんは冷たく言い放つ。
「原因は?」
「消去法で暖斗くん。艦のエンジン出力が瞬発的に、計算外に上がっちゃうんだよ。カット出來ないんだ」
「じゃあ、こっちで暖斗くん押さえるから、澪が臨時艦して」
渚さんが艦橋へ走り出した。
「私、舵取るよ」 と言いながら。
ラポルトは村の周辺を浮遊してたはずだけど、ゆっくりと村から離れだした。だけど、足もとがすごくグラグラする。こんなの初めてだ。
「なんだ? 気持ち悪い揺れ方しやがって」
英雄さんも気にしだした。
その英雄さんに、子さんが進み出た。
「陸曹長殿。この艦のクルーが不調法を致しまして誠に申し訳ございません。あいにくこの艦はエンジンに不合が発生致しまして。村はずれに急著陸します。陸曹長殿はどうされますか?」
グラリ、とまた床が大きく揺れる。
「上長。引きましょう。今引けば、事が小さくてすむ。向こうもそう言ってくれてます」
「ぐ‥‥こんなグラつく艦には乗ってられねえ。痛み分けにしといてやらあ」
英雄さんは背中を向けて食堂を出ていく。が、ドアの所で振り返った。
「だが小僧。てめえは別だ。てめえにはいつか戦場の作法をキッチリ教えてやる。それまでせいぜいどもとママゴトでもしてろ。次は、を多魔除(たまよ)けに使うんじゃあねえぞ」
そう言い捨てて去っていった。
滝知山達が去ると、子さんが直ぐに指示を出した。
「ふう。帰ったわね。じゃあ桃山さんと折越さんで浜さんを。岸尾さんと私で逢初さん。初島さんと來宮さんで暖斗くんをそれぞれフォローして。七道さん。デッキで滝知山さん達の発艦管理お願い。葵(ひなた)は泉さんと代して発艦オペ。澪(みお)、手の準備して。仲谷さんは持ち場へ戻って」
一気にここまで言うと、まず浜さんを気遣った。
「浜さん、キズは大丈夫?」
僕も、目の前で倒れている浜さんに聲をかけた。
「‥‥壁にあたった時にスゴイ音したけど‥‥」
「‥‥だ、大丈夫です。私、石頭なんで。それよりも、は、暖斗くん。無事‥‥‥‥だね?」
そう言って口角を上げるけど、その口もとからがひとすじ流れてくる。桃山さんがふき取った。口の中を切ってるんだ。僕のかわりに――毆られたから!
「よ、良かったああぁ」
浜さんに僕が逆に心配されて、滝知山の顔が脳裏をよぎる。
グラリ。
また戦艦が揺れた。
「暖斗くん。あなたのMK(マジカルカレント)が艦のエンジンに影響してるみたいなの。怒りを鎮められる? 最悪墜落するかもって」
子さんにそう言われ、さすがにマズイと思った。そう言えば、紅葉ヶ丘さんもインカムでそう言ってたっけ。冷靜に。冷靜に。
浜さんは食堂の壁にもたれかかって、上半を起こしていた。
「僕のかわりに毆られたんだよね? 無茶だよ」
彼の手を取った。
「た、たぶん、男の暖斗くんが毆られるよりは、わ、私のほうが手加減するかな~と」
「浜さん! 君は」
その時、彼の左目がキラッとってみえた。涙だったのかもしれない。
*****
「今、外科処置室でを止めるから、浜さんをそこへ運んで。逢初さんも醫務室に行きましょう」
子さんはフル回転だった。
僕も、初島さん來宮さんに助けられてベッドに戻され、小會議へ向かった。
途中、麻妃に抱かれる様にして醫務室へ向かう依を見た。浜さんに話しかけてたから、依の様子をちゃんと見れなかった。
大丈夫かな、と思いながら、その背中を見送るしかできなかったんだ。
小會議室では、口付近にベッドを置かれた。初島さんと來宮さんは、やはり毆られた浜さんと、憔悴していた依をしきりに気にしていた。
どうやら、醫務室の奧の処置室で浜さんの外科処置を。その後、依が処置室を使うらしい。
「逢初さんいなくてどうやってやるの?」
「なんか、紅葉ヶ丘さんが、診斷ソフトと治療ソフト使って、AIにやらせるっス。今、3Dプリンターでオペに使うを作製してるんで、でき次第網代さんから連絡がるんで。自分がけ取ってくるっス」
「ええ? それできるんなら逢初さん不要論じゃん」
「いえ。あくまで応急でってコトで。その今作ってるリトラクターってで口を開けて、レーザーで傷口を取りあえず止できるみたいっスよ」
「で、私は今からそのオペの手伝いね」
そんな會話を聞きながら、DMTを降りてから、まだミルクを飲んでないのを思い出した。でも依はとてもそんな、人の面倒をみれる狀態じゃ無い。一どうすれば。さっき、滝知山さんの前であれだけけたんだ。今ならで、ストローか何かで飲めそうな気もするが。
「ミルクを、お持ちしました」
意外だった。暖めたミルクを持って部屋にってきたのは、
仲谷さんだった。
※「アンブレラ」都合のいいにすらなれない「ビニール傘」の悲哀を描いた壯絶な楽曲です。一華さんは15人中唯一の不人。でも語冒頭から暖斗を好き。――でも。 →左目Ⅱあとがきに続きます。
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