《【最終章開始!】 ベイビーアサルト ~撃墜王の僕と、醫見習いの君と、空飛ぶ戦艦の醫務室。僕ら中學生16人が「救國の英雄 栄のラポルト16」と呼ばれるまで~》第46話 右手Ⅴ②

わたしは、朝のを夢見ながら、実際の夢では恥辱を味わう。その繰り返し。

0時15分。

また目が覚めた。まるで洗脳された様に、あの夢を見てしまう。いや、確実に洗脳されている気がしてくる。‥‥‥‥そうでなければ、わたしがゼノス君に?

2時30分。

目覚めた。まだ夜明けは來てくれなかった。がっかりした。

昨日から、2日間、まともに寢ていない。経過した時間から察すれば、しは寢ているハズだけど、覚的にはまったく寢たじがしない。

これからの人生、まだ90年もあるのに、毎日こんな長い夜を過ごさなきゃならないのかと思うと、ぞっとする。

2時45分。

ずっと考えていた。理由を。わたしが何で寢つけないのか。もちろん、悪夢のせいなんだけど、その悪夢をなんで見るのか、に思い至った。

わたしは決斷した。

3時10分。

支度をした。さいわい、大した荷もない。元々験乗艦なのだから。あ、そうだ。醫務室にもわたしの私があった。それも回収しなくては。

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3時21分。

醫務室にった。部屋はダウンライトのみで薄暗かったが、勝手は知っている。できれば、いくつか薬を持ち出せれば、村で重寶されるはずだ。いつか返すと心に決めて、拝借してしまおうか。

3時23分。

「‥‥‥‥誰?」

その聲にわたしは凍りついた。

しまった。暖斗くんは醫務室に移っていたんだった。晝間ここで會っていたのに気がつかないとは。

「‥‥依? 何? ‥‥‥‥その荷

わたしの手には、旅行バッグが下げられている。この艦に乗り込む時の私、手荷だ。

依? どこか行くの? ん~‥‥まだ夜中?」

暖斗くんには、噓は、つきたくなかった。

「‥‥この世にの置き場が無くなったので、ハシリュー村に行こうと思います」

わたしはそう言った。この言い方が今一杯の私の境地だった。

「‥‥‥‥なんで」

わたしは、ベッドの前に置いたままの丸椅子(スツール)に腰かけた。そして。

「暖斗くん、艦のみんなに告白と謝罪があります」

わたしは最後に、醜いわたしを曬す決斷をする。

「暖斗くんに、まだ言ってなかったことがあります。あのレポートにも。わたしは、敵兵とのやりとりの中で、敵に屈しました。ひざまずいて、暖斗くんと、この戦艦のをしゃべると約束したんです。條件取引です。そうすれば、敵兵は、わたしにDNAを付著させないし、あの家での事を無かったコトにできると。わたしはスパイとも思われないし、醫大にも行ける予定でした。でも、あの家にはアピちゃんがいた。わたしが敵兵に捕らわれたのがバレてしまった。そして――」

わたしは、ゴクリ、とを上下させた。じゅうが冷たくなるのをじる。

を話すと約束した直後から、わたしの記憶がないんです。村の外でBotに襲われるまで。そのBotは、暖斗くんが倒してくれました。でも、20分くらいなのかな? わたしはどうしても思い出せない。‥‥醫學知識があるって、殘酷だよ。記憶がない、ということは、思い出したくもない何かしらの験や行をしていた、ということ、よ?」

「でも、検査では無事だって」

「うん、無事、だね。でも裏切ってをしゃべったかもよ。敵兵の目の前で気を失って、村の外で目覚めるまで、敵兵は何をしていたの? ただ見てただけ? ただ運んだだけ?」

「でも無事だって」

「わたしだってそう思いたい。でも、もし、敵兵が手袋とか布とかを使ったら、DNAの痕跡を殘さずに、わたしのに『何か』をする事は可能です。最低最悪の予想はしとくべきだよね。わたしは、この艦に乗ってる資格がもうない。わたしは裏切り者。現に、晝間言ったゼノス君が、毎回夢に出てくるの。2時間おきに毎回よ。こっちの國においでって、毎回される。船を降りれば、この罪悪は消えるはずよ」

「‥‥‥‥」

暖斗くんは無言だった。

「どうかわたしを見捨てて。その方が楽。艦のみんなを裏切った事が重荷なんだよね。それで、村で醫者もどきをすれば食べさせてはくれるだろうし。いっそ、ツヌ國が來たら捕まってもいいかもしれない。その時はその時よ」

わたしは、最後に、と暖斗くんに視線を向けた。暖斗くんは、ベッドに寢たままこちらを見ていた。

そして、わたしの視界にってしまった。

いつかのように、天井に手のひらを向けた暖斗くんの

『右手』が。

わたしの右ほほに、記憶が呼び起された。あの、『右手』の、ぬくもりを。あの熱、溶けるような覚を。

寢汗で冷えたに、空調の風が吹きつける。

ただ、わたしのほほだけが熱を帯びていた。

「‥‥‥‥!」

「‥‥‥‥!!」

「‥‥‥‥!!!」

呼び起されるそのぬくもりの記憶に、わたしは混した。――いいえ。錯か。

だから、とっても恥知らずなわたしは、恥を承知で、こんな、ありえない事を。

本當にありえない願い事を。

ただ、ただ、一方的にさえずった。

「あの‥‥‥‥、暖斗くん、もう、お別れをするんだけど、さ、最後にもう1回、もう1回だけ‥‥‥‥、そ、その右手に顔を乗っけても、い‥‥いかな?」

丸椅子(スツール)から立ち上がり、頭を下げた。

「‥‥‥‥」

床に視線を落としてから、ゆっくりと頭を上げていく。

そして。暖斗くんが橫たわるベッド。

その手前側のスペース。

右手があった場所を見た。

そこに、右手は無かった。

‥‥ああそうか。避けられているんだ。至極當然か。

「‥‥‥‥そうだよね。ごめん。最後に変なこと言って。いやだよね。こんな、仲間を裏切って、敵兵に何されたかわからない、なんて‥‥‥‥」

わたしは、踵を返した。

醫務室のドアへ向かって歩いていく。ドアが、目から出たものでじわっとゆがんだ。

「待てよ」

ガクン、と、わたしのが止まる。わたしの右手を、彼の『右手』が摑んでいた。

真夜中の、午前3時40分。

まだ、夜明けには遠かった。

※深く傷ついてしまったこころの再生への道。容易ではありませんね。さて、暖斗くん?

ここまで、この作品を読んでいただき、本當にありがとうございます!!

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