《『創造神始めました』ご注文をどうぞ。魔王軍で異世界侵略と若干狂気持ち彼ですね?5番にオーダーりまーす!”舊題俺だけの世界を作って異世界を侵略しよう!”》冗談じゃねえ

「言うナレバ、イキモノガカリ デース!」

「……。」

イキモノガカリ?生き係?

學級の係かよ!

いやいや、生命創造をそんなノリで言われても正直困る。

「…ちなみに、貴方はどちら様ですか?」

冷靜さを失いかけたが、なるべく普通に會話する。相手はこんな場所に俺を連れてきた張本人なのだ。どう考えても常識外の存在である事は間違いない。

ツッコミ所満載の人に対し、冷靜に返答出來た自分を褒めてしい。

問題はツッコミ所が多すぎて冷靜さを保つのが難しいことであるわけだが。

「申しオクリマシタ。ワタクシ、コーユー者デス。」

名刺を差し出してくる。

まるで普通のサラリーマンのようである。

まあ…。普通のサラリーマンはこんな場所に連れてきたり、胡散臭い外人みたいな喋り方はしないのだが。

なんだかなあ。と思いながら名刺をけ取る。

疑問點だらけではあるが、一先ずけ取った名刺に視線を落とす。

名刺にはこう書かれていた。

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(仮想世界システム ジ・アースプロジェクト

システム擔當兼文化研究員 ジョーダン・ジャ・ネーヨ)

冗談みたいな名前だった。

自分でも顔が引き攣っているのが分かる。が名前に文句を言っても始まらない。

相手の機嫌を損ねるのも得策では無いので、名前の件については一旦頭の隅に追いやり更に質問を続ける。

「この仮想世界システムと言うのは?」

努めて冷靜に振る舞う俺。

恐らく今が人生で最も冷靜に振る舞おうとしているだろう事は間違いない。

「シミュレーション仮説は存じデスカ?」

「聞いたことがあります。

確か…我々が生きているこの世界は、高度な文明を持つ知的生命が作り出したコンピューター上でシミュレートされたものではないか? と言う説の事ですよね。」

「ソノ通りデス。

アナタはワタシにトッテ、そのシミュレーション世界の住人トイウ事です。

ワレワレが開発シタ仮想世界システムにアナタは住ンデイマス。」

「そんな…まさか!?」

信じられない…が、そう考えれば人間一人をこんな場所に放り込むなど訳無いだろう。実際、こんな何もない場所に連れてこられている事だし。

「ソノマサカ、デス。

アナタにトッテハ信じラリナイ話デショウガ、事実デス。」

「信じ難いですが、一旦その話が事実としてお話を伺いましょう。

どうして俺を選んだんですか?」

「モチロン理由がアリマス。

ワレワレの世界デハ現在、スシ、天ぷら、侍、忍者、家出神待ち、イロイロナ日本文化ガ流行シテイマス。

仮想世界システムを日本人に使ッテモライ、文化を創造シテシイノデスオナシャス。」

日本文化ってのは他から見ると、やはり獨特なのだろうか?

あと、家出神待ちは文化ではない。

「それだと、俺個人を選んだ理由にはなってないのですが…。」

俺の発言に対して男は何を馬鹿な事を、と言わんばかりの顔をして告げた。

「アナタ家出ムッチャスキーの人デスヨネ?

ソレガ理由デスヨ。」

「え?」

「エ?」

その瞬間、世界は凍り付いた。

「…。違いますけど?」

ムッチャスキーって何だよ。

前戸大五郎サンデスヨネ?」

「折戸大五郎ですけど。」

「…。」

「…。」

またも、空気が凍り付く。

「だああありゃっしゃあああぁぁー!!!」

「うおっ?!」

「人違いかよーー!

めっちゃ時間かけて準備してきたのにいぃいぃいぃぃ!」

突然切れだすジョーダンさん。

先程までの雰囲気はなんだったのかと思うほど取りし奇聲を発している。

「あの…。」

一旦落ち著いてもらおうと聲を掛ける。正直怖い。

「エセ外人みたいなトークでウケまで狙ったのによおうおうおうおう!!

折戸大五郎だと?俺とお前と、大五郎~♪ってか?!

バッカヤロー!!

ムッチャスキーって何だよ!!

意味わっかんねえんだよーおうおうお-う!!」

おぉう。

何だか知らんが人違いだったようだ。先程までの話し方はどうやらキャラ付けらしい。

あと、ムッチャスキーと言ったのはそっちだ。

ひとしきり暴れて落ち著いたのか急に靜かになるジョーダンさん。

初回同様溫和な雰囲気に戻っている。

そんなニコニコしても、もう誤魔化せねえよ。

「ところで、大五郎さんにお願いがあるのですが。」

「あ、はい。」

先程のブチギレシーンは完全に無かった事にするようだ。

いくら何でもそりゃ無理があるだろう。

「仮想世界システムを使って文化を創造して下さい。」

程。どうしても先程の事は無かった事にしたいようだ。

またキレられても困るので乗っかっておこう。

仮想世界システムには正直興味がある。面白そうだから気の済むまでシステムを弄り倒してみたい。使いこなせれば人間が想像しうる全てのみがそれだけで葉ってしまいそうだ。

金、、地位、何だったら超能力みたいなものまでイケそうな気がする。

そして、こんなチャンスなんてもう二度とないだろう。

となれば返事は決まっている。

「やります!」

ニコっと笑顔のジョーダンさん。

やる、と返事をした途端ジョーダンさんめっちゃ良い笑顔。

いやいや、さっきのブチギレシーンは本當に何だったのか。

「ありがとうございます。では今日からあなたの役職はイキモノガカリです。

改めましてよろしくお願いします、大五郎さん。」

ジョーダンさんが笑顔で握手を求める。

「こちらこそよろしくお願いします。」

俺はイキモノガカリで決定らしい。

その役職のネーミングセンスどうにかならんの?

「それではシステムについて説明していきます。」

最後までお読み頂き有難うございます。

もし面白いと思って頂けたなら、評価やブックマークを頂けると作者のやる気が出ます。

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