《『創造神始めました』ご注文をどうぞ。魔王軍で異世界侵略と若干狂気持ち彼ですね?5番にオーダーりまーす!”舊題俺だけの世界を作って異世界を侵略しよう!”》シロクマ
「対戦モード。ランク指定は139。」
【ランク139の相手と対戦モードに移行しました。
接続中…………。
彼お貸ししますとの対戦が理されました。侵略ゲートの場所を指定して下さい。】
対戦者は隨分と高尚な趣味をお持ちらしい。借りるのだとしても、それってどうなの?と思うのに貸すだなんて。
まぁ…。相手がどうしても、と言うなら借りるのもやぶさかではない。
「ゲートを魔王軍の前へ。」
ゲートの向こう側に辿り著くと、辺り一面が白で覆いつくされている。空から降り注ぐ太が反してキラキラとり、目が眩むようであった。それは銀世界と表現されるに相応しい幻想的な雪景。
魔王軍はその景に驚いてはいたが、すぐに探索を開始した。彼らはその寒さにもかかわらず、初めての雪に気分アゲアゲで楽し気に歌いながら散策している。
お前らピクニック気分かよ…。
そうしてピクニックを楽しんでいる魔王軍は、全が真っ白いで覆われた2.5m程の獣と遭遇する。
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どう見てもシロクマである。昔、園で何度もお世話になったものだ。
學生時代お付き合いしていたの子がシロクマ好きで、喧嘩する度に園へ連れて行きシロクマを見せるのだ。それが定番の仲直りイベントであった。
何故別れたかって?
シロクマと私、どっちが可い?と聞かれたので彼だと言うと、シロクマは世界一可いんだと涙ながらに力説され、じゃあシロクマの方が可いと言えば、私じゃないの?と泣きながらに俺を責めてくるのだ。
どうしろってんだよ…。
最初はそんなところも可いと思っていたのだが、これが週3日制で行われる。彼は他に目移りしないタイプであった為、當然代要員は一切無し。1年で疲れ果ててしまった。
今にして思えばなかなかの狂気である。
彼の洗脳が功を奏したのか、俺はシロクマを好きになった。
でも、俺は彼がちょっと嫌いになった。
そんな話は置いておいて、そのシロクマである。
シロクマは魔王軍を気にする事なく、もくもくと手をかして何かをしている。
俺は気になり映像を拡大すると、氷で出來た丸いお皿に雪と果を盛りつけしていた。
白いくまのアイスだ…。
周りを見れば、他にも同様に盛り付けを行っているシロクマがちらほらと見える。
その果どこから持ってきたんだよ。
盛り付けている果はイチゴにミカン、パイナップル、キウイ…と多様であり、どう見てもこの場の植生と合わない。
シロクマしいなぁ…。
俺は思わずシロクマ達を捕獲し、こちらの世界に連れてくるようサリリに指示を出した。
(捕獲魔法起、有視界全てのシロクマを囲うように縦橫5m、高さ3mの檻を形。材質は鋼、魔力でコーティング。檻ごと転移魔法を起し、座標を元世界の北極點へ。)
「汝のあるべき場所へ帰れ。キャッチ&リリぃぃス!」
サリリは杖をクルクルと回すように振ると、シロクマ達は突如出現した檻に捕らわれ、悲しそうな鳴き聲をあげる。
それはまるで、助けを訴えているようであった。
檻は點滅するように輝いており、徐々に點滅の覚が短くなっていき最後には…。
この世界から中ごと消え去った。
【彼お貸ししますが音聲通話を申請してきました。承諾しますか?】
お?対戦相手に連絡って出來たの?
今まで、よろ~、とかお願いします、とかオンラインゲーム基本の挨拶なんてしてなかったんだけど。今度からは対戦前に挨拶しとこ。
「許可。」
【彼お貸ししますと通話を開始します。】
「初めまして。」
「初めまして。対戦ありがとうございます。」
の聲だ。
「シロクマをどうしたんですか?」
聲の中に憎しみがこもっている。
相手は明らかに怒ってるな。
対戦とは言え、こっちが無理矢理連れ去ったのだから、ここは素直に謝っておこう。
「すみません。シロクマがあまりに可かったので、つい自分の世界に連れて行ってしまいました。」
許してくれるだろうか?
「あ、そうだったんですね!シロクマ可いですもんね。」
先程とは一転して、嬉しそうな聲に変化する。
「実は私、シロクマが昔から好きで、このゲームを始めた時からシロクマの世界を創って眺めていたんです!」
話を聞けば、どうやら彼はゲームを始める際にシロクマという種族の存在強度を一律で設定したらしく、全部の個がそこそこ強いようだ。
種族全ての存在強度を1上げる為にはWP1,000消費するそうで、現在のシロクマは存在強度330,000だとの事。
ゲーム時間を早送りに設定し、地道にWPを稼いでシロクマ達を一律に強くしていったらしい。ちなみに現在の個數は6萬頭程だとか。
「もし良かったら直接會ってお話しませんか?同じシロクマ好きの人に會えると思っていなくて、本當に嬉しかったんです!」
「それは良いですね。ぜひとも!」
シロクマ好きという事で気にられたらしい。
ランク30を超えるとフレンド登録機能が解放され、お互いに行き來できるようになるそうだ。
ヘルプさんはそんな機能教えてくれなかったんですけど?
「それでは今回は私が降參しますので、是非シロクマについて語り合いましょう!先程あなたが捕まえたシロクマ達は、そのまま大事に育ててあげて下さい。また後で!」
そう言って互いにフレンド登録と會う約束をし、通話を終えた。
【彼お貸ししますが降參しました。勝利報酬として1,000,000WPが與えられます。
あなたは創造神ランクが49になりました。おめでとうございます。
格上討伐報酬として10萬上げる君を40個進呈します。】
オンラインゲームを通して付き合うようになったカップルの話は時々聞くが、もしかして俺も…。と想像するとワクワクが抑えられない。
早く會いたいな。聲は可かった。きっと顔も可いに違いない。
しかし、どっかで聞いた事ある聲だったような……。
最後までお読み頂き有難うございます。
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【書籍化作品】離婚屆を出す朝に…
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