《【第二部連載中】無職マンのゾンビサバイバル生活。【第一部完】》3話 行理念のこと
行理念のこと
ゾンビらしきものになった坂下のオッサンを毆り殺してからおそらく3日。
俺はひたすら家に引きこもっていた。
全てのドアと窓に鍵をかけ、カーテンを閉め、真っ暗になった家の中で布団をひっかぶって過ごしていた。
冷蔵庫から取り出した適當な食いを腹に収めては寢ることの繰り返し。
テレビをつけることはなかった。
音を立てるのがどうしても嫌だった。
庭で土になりつつあるオッサンが起き上がって襲いかかってくるようで。
そうして晝か夜かもわからなくなった家の中で、俺はひたすらにショックをけていた。
『坂下のオッサンを殺したこと』がショックだったのではない。
『殺したことに若干しか罪悪を覚えていない』ことがショックだった。
そりゃあ、あの時は無我夢中だった。
モタモタしていたら、おそらく今庭に転がっているのは俺の方だっただろう。
それは疑いようがない。
あの時オッサンは完全に人間ではなかった。
安直だがまさに『ゾンビ』そのものだった。
だが、だからといって、バケモノだからといって、この手で毆り殺した相手にこんな軽い罪悪を抱くだけで済んでいいのか。
罪悪のレベル的には、放置自転車を盜んだくらいだぞ。
盜んだことないけど。
何なんだ俺は、俺ってこんなにも涙もない人間だったのだろうか。
パニック映畫のアホ登場人よりはマシだけど、人としてこれでいいのだろうか。
完全に悪役側だぞこの思考回路は。
クライマックスであっけなく死ぬタイプの悪役だ。
この3日がいつもそうであったように、再び自己嫌悪のループに落ち込んでいきそうだ。
待て、何か大事なことを忘れてはいないか?
「煙草がない・・・!ない・・・!!もう3日も吸ってない!!!」
気付いてしまったらもうダメだ、脳が煙草のこと一になる。
さっきまでのオッサンへの後悔など一瞬で隅に追いやられた。
だいたいあのオッサンが善人なら、俺はもっと悩んだのだろう。
だが実際はどうだ?毎日毎日無職無職無職と絡んできやがって。
俺が何を言おうが何をしようが悪い方へ悪い方へ曲解してまた絡んでくるのだアイツは。
金に困ってるんだろうといきなり言われたことさえある。
貯金があるから大丈夫と言ったらすっごい機嫌が悪くなったが。
腹が立ってきた。
なんで俺が、あんないけ好かない嫌味な中年を気遣わなきゃならんのだ。
そもそもオッサンはあの狀態では自我などなかったのだろう。たぶん。きっと。
襲いかかってきた野生みたいなもんだ。
なまじ人間の姿をしているから躊躇しただけのことだ。
むしろ自我をなくした哀れな獣狀態のオッサンにケリをつけてやったのだ。
無力な他の誰かが犠牲になる前に。
これは・・・これはむしろ悪役ではなく屬の主人公ムーブではないのか?
あああもうダメだ!ここ何年か、こんな長期間煙草を吸わなかったことがなかったせいで思考が滅茶苦茶だ!!
人生の貴重なスモーキングタイムをあんなオッサンへの懺悔とも呼べないなにかで浪費してしまった!畜生!!
ごちゃごちゃ考えていても仕方がない!自分でもどうかと思うが仕方がないったら仕方がないのだ!!
シンプルに考えよう!そうしよう!!
俺は何がしたい?→煙草が吸いたい!
俺はどうしたい?→死にたくない!
じゃあどうする?→生き延びるしかない!
いつまで?→知るか!飽きるまでだ!!
ヨシ!!完了!!!
我ながら見事な答えだ。
死ぬならいつでもできる、うちの屋から飛び降りてもいいし、なんだったらゾンビ共の中にバターでも塗りたくって飛び込んでもいい。
ゾンビがあのオッサン一人しかいないとは考えにくいしな。
仮にオッサンだけゾンビだったら、即警察か自衛隊に取り押さえられるか殺されておしまいのはずだ。
今の神狀態では考えられないが、いつか何もかもに絶したらもう一回考えてみることにすればいいのだ。
一応の方針が決定したことで、ずいぶんと気分がよくなった。
我ながら呆れるが、ゾンビなんてものが出てきたのだ。
多正気を逸している方が生きやすい、はずだ。
俺の行理念は、『飽きるまで生きる!』これで決まりだ!
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