《【第二部連載中】無職マンのゾンビサバイバル生活。【第一部完】》4話 これからのこと

これからのこと

よし、若干強引にだが気持ちは切り替えたぞ。

生きると決めたならその先のことを考えねばならない。

どうやって生き延びていくのかをだ。

現在の狀況を整理しておこう。

こもっている3日の間、近所からあのオッサンのようなび聲は聞こえなかったように思う。

誰かが帰宅した様子もない。

ということは、近所の住民は外出先で何らかのトラブルに巻き込まれた可能が高い。

頭の悪い名前だが『ゾンビアウトブレイク』にだ。

坂下のオッサンという実がいる以上、町の中心部にはあんなのがウヨウヨしているのかもしれない。

3日前は平日だった。

老人、病人以外は學校なり職場なりに行っていたはずだ。

俺のような無職でなければ。

オッサンは勤務先でそれに遭遇、辛くも生き延びたか染したかでたまたま自宅に帰ったタイミングでゾンビになった。

こう考えるとしっくりくる。

まさかこの町の総人口がそっくりそのままゾンビになったとは考えにくい。

生存者たちは、どこかにまとまって避難でもしていると考えるのが現実的か。

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で、俺としてはどうするか。

これは決まっている、今のところ避難所的な所に合流するつもりはない。

探すのも面倒くさいし、なにより一人の方が気楽だからだ。

消費する資の量もなくて済む。

ゾンビ映畫あるある、『集団は崩壊する』

主義思考が異なる雑多な人間が、こんな異常な狀態で一つにまとまるはずがない。

フィクションを引き合いに出すのもどうかと思うが、この現実もいまや半分フィクションみたいなものだからいいだろう。

誰に迷かけるものでもないのだし。

さて、とりあえず一度は外に出ないといけない。

俺の想像が正しいかどうかの確認と、資調達のためだ。

家の冷蔵庫に殘っていた生鮮食品は食い盡くした。

いつまで電気があるかわからないからだ。

缶詰や保存食はいくらか殘っているが、これは急用に殘しておきたい。

何より煙草だ!煙草がないと死より先に発狂死する可能が、いや自信がある!!

誰にでも大事なものはあるだろう?家族や友人、人やペット。

俺にとってそれが煙草なだけのことだ、理屈じゃない。

家族は海外だから心配しても仕方がない、電話もメッセージアプリも不通だし。

何年も人はいないしペットも飼っていない。

悲しくなんてないぞ。本當に。

外出に際し、準備は念に行おう。

確定ではないが、もしゾンビへの染が唾によるものだとしたら、出は極力避けるべきだ。

こればっかりは試すわけにもいかないから防はしっかりしておこう。

空気染だとすれば、俺もとっくにゾンビになってるはずなのでそこは考えなくてもいい。

考えても仕方がない。

そしてゾンビに遭遇した時用に、武が必要だ。

積極的に戦おうとは思わないが、あって困るものではない。

オッサンの脳天を叩き割った木の棒はヒビがってボロボロなのでもう使えない。

手ごろな大きさで、強度もあって頑丈なものがいい。

家中を引っ搔き回してしばし、やっと準備が終わった。

俺の裝備はこのようになった。

・原付バイク用のヘルメット(妹が引っ越し先に忘れていったもの。ハーフタイプ、ゴーグル付き)

・長袖のシャツ(釣り用。針が通りにくい素材でできている)

・半袖ベスト(釣り用。ポケットがたくさんあって便利)

・タクティカルグローブ(釣り用。ゴム製のすべり止めが側にある)

・長ズボン(釣り用。上著と同じ素材)

・作業用ブーツ(俺の私。頑丈で鉄板がっている)

・リュックサック(高校時代に部活で使っていた大き目のもの)

ほとんど父親の釣り用のものをそのまま流用した。

ヘルメット以外は普通の釣り人スタイルで落ち著いたぞ、すごいな釣り道の実用

これなら町が意外と普通だった場合も、警察の職質を回避できそうだ。たぶん。

そして武は木刀を使うことにした。

小學校から高校まで剣道部だった俺がまともに扱える武といえばこれしかない。

こいつは主に素振りに使う大型のものだ。

柄は普通の木刀と同じ太さだが、刀の部分が幅広で厚な構造だ。

デカくて頑丈に作られている。

相応に重いのが難點だが、これならゾンビの脳天も楽に叩き潰せるだろう。

もかじっていたので、社會人になってから許可を取って本の日本刀を購し所有しているが、正直もったいなくて使いたくない。

日本刀としてのグレードは下の方だが、それでも次世代ゲーム機3臺分くらいの値段はしたもんなあ。

ゾンビに斬撃が通用するかも未知數だし。

首をきれいにスパンと落とせればいいが、とっさの狀況でそんな技が使えるかどうかもわからん。

ほぼ型稽古しかしたことがないしな。

それに木刀なら予備もあるので壊れても落としても未練はない。

家への出りは二階のベランダから腳立を使ってすることに決めた。

一階は側から鍵をかけ出り不可能にし、就寢時の安全を確保することが目的だ。

坂下のオッサンを見るに、ゾンビは頭があまりよくない気がする。

過信はなので、いずれ側から板か何かを打ち付けて完全に封鎖しておく必要があるな。

腕時計を確認する。

丁度いいことに時刻は晝前の11時だ。

俺は裝備を最終確認した。

木刀は腰のベルトにマウントすることにした、この方が使いやすい。

できれば使うときが來ないことを祈るばかりである。

さて行くぞ、外へ!!

意気揚々と二階から降り立った俺を迎えたのは、庭で相変わらず死んでいる坂下のオッサンだった。

「・・・片づけるか」

盛り下がるなあ。

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