《崩壊世界で目覚めたら馴染みのあるロボを見つけたので、強気に生き抜こうと思います》JAD-012「隆起する鉱山」

「もう朝……」

強化ガラスの窓から差し込む日差し。

値段相応の、あまり上等とは言えない寢もしっかり眠りを授けてくれたようだ。

『おはようございます。レーテ』

「おはよう。変なのはいなかった?」

返事の代わりに、手元の端末にいくつかの時間表示。

何かしら、ちょっかいは出してきた奴がいたようだった。

野盜であろう相手からの襲撃をしのぎ、目的の街……ボルドへとたどり著いた私たち。

街への護衛自はひとまず完了ということで、ひとまず別れることになる。

賊の引き渡しなんかは、自分の出る幕ではない。

返り討ちにした賊の裝備売卻金の分配や、また戻る時とかに聲をかけてくれる予定になっている。

そんな狀況で、鉱山でにぎわう街に、新しいジュエルアーマードが1機。

となればまあ、注目は集めるわけで、探りに來た連中がいくらかはいたっていうことね。

『治安は悪くないですね。みんな、遠巻きに拡大鏡なんかで眺めるだけでしたよ』

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「そう……カインからの連絡は無し、と。あいつらの件でし時間がかかってるのかしらね」

部屋の隅には、水差しが1つ。

こういうサービスがあるぐらいには、普通の宿のようだった。

著替え、階下に向かえば酒場兼用といった様子の空間が広がっている。

(ああ、もしかしてそういう宿だったのかなあ?)

話が合えば2階へお持ち帰り、そういうこともできる宿だったようだ。

道理で、妙に大きいベッドだったわけだ……ちょっと反省。

どこでもいいやと、適當に選んでしまったのだ。

「おお、お嬢ちゃんおはよう。結局1人か。連れが來ると思って大きい部屋にしたのに」

「ええ、まあ。そういう場所だとは思ってなくて。何か出ます?」

こちらの告白に、苦笑する宿の主人兼酒場のマスターといったおじさん。

宿代に含まれているのか、カウンターに座った私の前に朝食が出てくる。

數切れのパンに、ジャム。なんと生野菜のサラダにスープだ。

「畑かプラントが?」

「地下水が富でね。計畫的に畑を町ぐるみでやってる。あまりくみ上げると陥沒するから、適度にだが。仕事を探すなら、役場に行きな」

追加で出された珈琲も、高級店ほどではないけど、十分味しい。

香りは記憶を刺激するとは言うけれど、このブラックの香りは地球を思い出す。

ほんのし、しんみりしたを抱えつつ、食事。

宿を出て機に向かったところで、コール。

表示されてるのは、待ち人。

「おはよう、カイン」

『ああ、おはよう。まず、賊のほうは前があったよ。いくらか賞金がかかってた』

(賞金がかかってる割には……まあ、安ければそんな相手もあるかな?)

疑問を飲み込みつつ、続きを聞く。

カインたちの泊まっている宿を聞き、そちらに向かうことになった。

宿の裏手に回り、ブリリヤントハートへと搭乗。

すぐに起させ、ゆっくりと移

あまり走ったりすると、自警団とかに怒られる世界だからね。

「聞きましたよ。賞金がかかってたそうで」

「らしいわね。私が腕を上げたのか、相手がしょぼかったのか……どうなのかしらね」

ちょっとした雑談をしていれば、すぐにカインの姿が見えて來た。

わざわざ外で待っててくれたらしい。

を止め、外に出れば相手の笑みも深くなった。

「帰りは5日後の予定だ。また頼めるかい」

「ええ。それで構わないわ」

彼もすぐに買い付けに行きたいようで、算は早く終わった。

予定よりも高くなった金額に、満足してカインたちを見送る。

鉱山に直接ではなく、まずはいわゆるバイヤーにというところかな。

ここからでも見える鉱山は、思ったよりも規模が大きいようだ。

トラックで乗り付けてもよかったかもしれない。

「しまったわね。カタリナも義ごとついてきてもらった方がよかったかしら」

『るーるー。寂しくカインさんのところのガレージの中でお留守番してますよー』

自衛用の最低限なルーチンは殘し、トラックごとカタリナの義はタンセの街。

今はブリリヤントハートの管制AIというわけ。

どちらもカタリナであり、片方が何らかの問題で消失しても個は維持できる、そんな仕組み。

通信でしか喋られないし、別れた狀態で同じものを見るというのも難しい。

何より、一人歩きは々、面白くないだ。

「そこいらでも、カメラぐらいは売ってるでしょ。ちょっと待ってなさいよ?」

『わざわざ、ありがとうございます』

長い付き合いだし、このぐらいはね、とつぶやきつつ店を探す。

幸い、すぐにそういったパーツを扱う店が見つかったので購

肩掛け式の奴だったけど、これで通信経由で同じものを見ることができる。

『どうします? 何か簡単なのをけましょうか』

「さすがに5日も何もしないのは、ね」

もっとゆっくりする手もあるのだけど、何かしてないと……うん。

仕事を探して街の役場、仕事を仲介する場所へと機ごと移だ。

他にもいるジュエリストたちと同じように、役場橫の駐機場で固定。

留守番はカタリナに任せて、カメラを肩にかけて1人で中へ。

小さめだけど、カメラとははっきりわかるはず。

(取材だとか思われないかしらね?)

し心配だったが、変に絡まれることはなかった。

そのことに安堵しつつ、カウンターで名前を告げると、驚かれた。

分証明証なんてない世界だけど、偽る人間は多くないらしい。

噓だとわかれば、その名前でやってきた仕事が自分を食らい盡くすから、だ。

分相応の仕事をやるのが、生き殘るコツ。

そんな世界の、とある街、ボルド。

私が是非と紹介された仕事は……。

「採掘場所の確保? どういうこと?」

新しく掘ることができそうな鉱山、その採掘場所の確保という謎の依頼だった。

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