《崩壊世界で目覚めたら馴染みのあるロボを見つけたので、強気に生き抜こうと思います》JAD-030「の釜・後」

『あそこだ。俺が前に掘ったのは』

「なるほど、ね」

雑ながら切り開かれた先に、確かに周囲とし違う土面が。

試しにと、軽く掘ったのだろう。

「これで出て來たなんて、運がよかったのね」

『ああ。自分でもそう思う。すぐのところに、小さいケースが転がっててな』

狀況からすると、倉庫か生産を一時的に集約する場所だったか。

全部見てみないとなんともだけど、他に何もないってことは……あるかもしれない。

(ほとんど持ち去った時の、こぼれたものってのもありえるものね)

「カタリナ、部狀況は?」

「全部はわかりませんけど、ってしばらくは通路や部屋だけみたいですよ」

ブリリヤントハートの指をつっこみ、中を探らせる。

超音波とかいろいろなで見た限り、通路と、いくつかの部屋。

人工なのは、確定だ。

「どうする? 無理やりり口を広くしてからにする?」

『悩むなあ。ってすぐは大丈夫そうだ。かといって、JAM無しでって、防衛機構とか生きていたら、やばいな』

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まったくもってその通りだ。一応、私とカタリナだけなら……。

いや、それでも重機レベルだと危険なのは間違いないわね。

り口と、外に近いところに1度をあけてみるか?』

「それが無難かしらね。いつでも逃げられるようにトラックを……訂正、隠しましょう」

まだセンサーには異常はない。

だから、これは私のカン。

何か、寶石持ちが近づいてきている。

『おい、どうした』

「橫取りが來たっぽいわ。トラックは脇にどけて、中で隠れてて」

これで相手が人間なら、跡扱いのこれに無茶なことはしない。

獣やミュータントだというのなら、り口を守っていればいい。

トラックの移後、しばらくは何もない時間が過ぎる。

よほどの相手でなければ、負けるつもりはない。

かといって、世界最強というつもりもないわけで。

「センサーにあり。広間に出ます」

私が一通り刈り取った場所は、便宜上広間と呼ぶようにしていた。

ちょうどそこに、森から出てくる影。

「へぇ……」

自分でも、目が細まるのがわかる。

黒目の裝甲、鎧を著こんだような見た目。

JAMらしき機を引き連れた、黒騎士だ。

『そこのJAM。目的を言え』

「目的ぃ? ジュエリストが外にいて、山で活している。狩りか鉱石採掘か、跡発掘狙い、つまりは金儲け以外にあるのなら聞きたいわね」

からかうように言ってやれば、面白いぐらい反応があった。

黒騎士は言うまでもなく、お供についてきているバラバラな見た目のJAMもだ。

きがぎこちないし、造りからして現行の生産機だ。

『ここは騎士団に所有権がある土地だ。すぐに離れろ』

「その証拠は? 國はなくなった。々が、人が済んでいる村や街、都市なんかが勢力下ってとこよね」

言いながら、左手にライフル、右手にASブレードを摑ませる。

カタリナが何か言いたそうだけど、こういう時はもう、展開は決まっている。

『騎士団と、敵対すると?』

「別に。味方してる覚えはないもの。それに、はっきり言えばいいじゃない。自分たちが見つけられなかった儲け話、お願いですから譲ってくださいって」

発砲、そしてそれをはじいた音。

きかけた相手が、その足を止めた。

騎士の後ろにいたJAMが、私に向かって発砲し、それをASブレードではじいたのだ。

この距離なら、相手のきは十分見える。

1人、どうにも我慢できなそうな奴がいたのだ。

「ジュエリストが何のために生きるのかは、自由。共通しているのは、ただやられるつもりはないってことよね!」

黒騎士には、そこまでの覚悟は無かったのかもしれない。

発砲したJAMを、咎めるようなきをした。

だが、それは私にとってはただの的でしかない。

「そーれっと!」

ASブレード、恐らく大崩壊時の技が注ぎ込まれたロマン兵

シンプルな刀は、緑にる刃となっている。

それが薙ぎ払われると、細かなエネルギーの刃が周囲に飛び散った。

『くう、貴様ぁ!』

「まずはアナタ!」

撃破できるとは思っていない、牽制用の範囲攻撃だ。

姿勢を保とうとする集団に踏み込み、先頭にいた黒騎士の目の前に。

ライフルの銃口を、ほぼ突き付ける形で力を解放した。

撃破するのではなく、ある意味手加減した吹き飛ばす一撃。

轟音がコックピットにまで屆き、黒騎士が遠ざかっていく。

お腹、パイロット保護のために裝甲を厚めにしてるだろう箇所への暴風弾。

「これで殘るは……せいっ」

何が起きたか、理解してなさそうなきの機たち。

JAMと呼ぶには十分な能があるはずだけど、全く生かされていない。

訓練ついでのパトロールが、異変をじて立ち寄ったといったところだろうか?

「まるで、こちらが悪役ですね」

「まあ、ね」

合計で7機ほどいた一般JAMだったけど、最初に2機の両手を刻んだところでパニックだ。

連攜も何もない反撃を、余裕で回避しつつ同じように戦闘能力を奪うことを狙う。

足がないと帰られないだろうと思ってだけど、逆に相手が怖がった。

だってゼロじゃないのに、來るなとばかりに撃たれたのだ。

「遅かったじゃない」

黒騎士が復帰してきたころには、既に武を構えられないJAM集団の出來上がりだ。

味方ごと、撃ち込んでこないあたりは訓練はけてるみたいね。

「変に手を出さず、協力して掘りたいとか提案してくれればよかったのに。でもまあ、難しいか。ああいう跡は、儲かるものね。外れもあるけど、まさにの釜だわ」

『勝手なことを……』

「どっちが勝手よ。私は先に撃たれたのよ?」

反論に答えはない。

事実であるし、これで私を街でお尋ね者にしたところで、去ればいいだけだ。

『……わかった。正不明のミュータントに襲われ、損傷した。そうさせてもらう』

「ええ、それでいいわ。別に私も人間同士で爭いたいわけじゃないの」

互いに武裝解除し、ぴりぴりしながらもひとまず戦いは終わり。

エドガーを呼び、しばかり相談だ。

面倒だけど、ここで総取りは後々、特に彼が問題だろう。

と思っていたのだけど。

『しゃあないな。俺はどこか大當たり分の権利でいい』

「いいの?」

あっさりと、彼は取り分だけを主張して來た。

曰く、あまり多く見つけ過ぎても、捌けないだろうからとのこと。

(そういう見方もあるか……それに、これで騎士団に一応の恩が売れる)

「じゃあ、あんたたちもって、ああ……瓦礫をけ飛ばすぐらいはできるでしょ? それか、彼みたいに生で発掘手伝いなさいよ」

自分で両手を斬っておいて、と視線が來た気がするけどスルー。

結局、2機はJAMで瓦礫をけ飛ばし、殘りはエドガーと一緒に採掘だ。

都合、4部屋を外から開封し、中を確保。

ほとんどが資材や雑貨だったようだけど、十分な儲けだ。

奧がまだありそうだけど、なくともエドガーも、騎士たちも踏み込むつもりはないらしい。

「あーあ。帰ったら視線が怖いわ」

「そんなときも、ありますよ」

先に騎士たちが立ち去るのを見送りつつ、私たちも撤退。

街に戻ってからの騒の可能に、頭を痛めてしまう。

なくとも、宿はよかったのになあと思いつつ、エドガーと共に帰るのだった。

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