「遠距離持ちは援護を絶やさないで！　盾持ちはとにかく並ぶ、隙間を作らない！」

その日、まるでゲームプレイの時のように、ひたすらぶ私がいた。

不幸な黒騎士たちとの出會いの後、ひとまずの解決となった発掘仕事。

売るを売り、いくつかの仕事をこなし、懐も溫かい。

宿の子を遊びに連れていくぐらいは、長く滯在している狀態だ。

「外に出払ってる奴の救出？　そっちでやりなさいよ！」

「レーテ、敵増援確認」

このまま、しばらくは稼げるかなと思った時のことだ。

街から遠い、緑がてっぺんに無い山が……火を噴いた。

火山だったのだ。

それから數日、街をミュータントや獣が襲い始めた。

噴火からの退避と、縄張りの変化が原因だ。

黒騎士たちは、言うだけはあって連攜したきをすぐに開始した。

それでも、彼らへの反発を抱えている面々もいるわけで。

「私が一発れる。後は任せるわ」

『了解した、ラストピース』

かといって、何もせずに街がどうにかなるのを眺めてるのも問題。

そんな狀況で、私は例のごとく飛び出し、戦い始めた。

そのついでに、煽ったのだ。

守られ、立ちすくんでるだけかしら？と。

そうなれば、売り言葉に買い言葉。

気が付けば、私の事を知っているジュエリストを仲介に、集団が出來上がっていた。

「數は減っている……なんとかなる」

ピークは過ぎただろうというじがある。

街に近づく獣、ミュータント、どちらもしずつ減っているからだ。

あちこちに、倒れた獣たちがいるのは、々問題になるかもしれないけどね。

『デカブツが來た！』

「もうあれ、巖山でしょ……」

周囲が騒がしくなり、鉱脈が刺激されたのか、天然ゴーレムのお出ましだ。

ざっくり、ブリリヤントハート數機分はありそうだ。

こちらより大きな、まさに巨人。

と、そんな巨人が左腕を真っすぐこちらに……まさか！

「避け……駄目、街がある。ええい、ダイヤモンド、ダブル！」

「貴石変換開始、完了！」

ジェネレータから、ダイヤとペリドットにしていたのをもう1つのダイヤとれ替える。

ダイヤモンドは、石の中でも力の強いタイプだ。

2つを同時に扱える機は、恐らくごく數。

（目立つのは……今さらよね！）

構えたライフルの先が、上下に開き準備が始まる。

ブリリヤントハートのあちこちから、余剰のが輝きとなっているのがわかった。

「集い、敵を穿つ閃となれ！」

寶石を、力とするジュエルアーマード。

引き出された力は全に専用の配線で分配され、非常にクリーンなエネルギーだ。

逆に言えば、壊れてもオイルが噴き出すようなことはない。

その力を、攻撃として放つ、必殺技。

「ダイヤの閃、ジェーマレイ！」

ロボアニメで見るような、の暴力が突き進む。

それは飛んできたゴーレムの腕に突き刺さり、砕き、溶かしていく。

「まだまだぁ！」

放出したまま、両手で構えたライフルをかし、で薙ぎ払う。

巨大ゴーレムは、を斜めに切り取られ、瓦礫となって倒れ込んでいった。

「なんとか……なったかな」

さすがに全を力が襲う。

気絶するようなことはないけど、戦闘は出來ればしたくない。

そのままゆっくりと下がり、後は支援に徹することにした。

「戦闘の終結を確認。ミュータントたちが、散っていきますよ」

「もう、赤字も赤字だわ！」

『違いない。でも、今日は奢るぜ、ラストピース！』

八つ當たり気味にべば、まだ無線は繋げたままだった同業者から聲が返ってきた。

機に、それらしい挨拶をさせれば向こうも盛り上がる。

安全確認もかねて、の確保に向かう人もいるだろうけど、私は先に戻ることにした。

馴染みとなった宿に到著し、いつものようにお出迎え。

突撃してくるあの子を、け止めるまでがお約束だ。

「お帰りなさい！」

「ただいま。良い子にしてたかしら？」

こちらも怪我はないか？なんて聞かれたら、笑顔の1つも浮かぶというものだ。

やっぱり、子供は笑顔がいいと思う。

こんな世界だし、いつどこに不幸が転がっているかわからないからだ。

今日は早めに休もうか、そんなことを考えながら宿に向かう。

宿の主人からサービスと珈琲をけ取り、味わっていると來客。

泊りの客ではなさそうだった。

なぜなら、私を見つけるや近づいてきたからだ。

「フリーのジュエリスト、ラストピースは君のことで間違いないだろうか？」

「違うって言って見逃してくれるの？　ま、お話は伺いしましょ」

泊り客が打ち合わせをすることも想定されているホールで、相手の話を聞くことにした。

顔は見たことはないけど、どうもどこかで會ったような気がしたからだった。