2021/03/05

５３と５４が逆に更新されていたのを修正しました。

再び地面にもぐりこんだ要塞、メテオブレイカー。

周囲が開けていたのは、こうして元の場所に戻るからだったのだ。

小さな、といっても車ほどはある作業機械が周囲を整えに走り出す。

『ようこそ、同胞。元気そうで何よりです』

「その恰好は……？」

立的に投影された、メテオブレイカーの管制AIとでもいうべき相手は……執事風だった。

本は知らないけれど、記憶にあるあれこれからすると、たぶんそう。

白髪で、おじいちゃんといったじの男だ。

『人に仕えるもの、はこれか後輩のようにの姿を取る決まりでして』

「……そう、決まりならしょうがないわね」

「デザイナーの趣味なんでしょうか……」

中庭のような場所に降り立った私たち。

執務室か、指令室といった場所へと行くことにし、彼に出會った形だ。

外は、時代をじるような造形だったけれど、中はシンプルというか、無駄がない。

（たぶん、維持に必要なコストの都合よね）

案されるまま、椅子に座り一息。

何か贅沢なもてなしをけるわけではないけれど、これだけでも気が休まるというものだ。

「メテオブレイカー、実際に隕石を砕いた経験は？」

『そうですね……生み出されてから、10數度は。前回は、5年ほど前です』

「そんなに！？　あ、いえ。頻度がどうなのかはわかりませんけれど……」

カタリナの揺はもっともだ。

私も、思ったより多い回數に心驚いている。

こういうものは、目的はあるけど、なんだかんだ転用されるのが常だからだ。

なのに、本來の目的のためだけに待機して、実際に使われている。

『そのあたりの記録は同胞にはないのですね。では、私なりにまとめたものを』

「ありがとう。ほとんどが、文明崩壊前後に集中してるのね……」

「偶然……にしては……」

出された資料には、落下予定だった場所、その被害予測がまとまっている。

その多くが、文明崩壊前後で、崩壊後は2回。

星に隕石が、燃え盡きずに落ちてきてさらに被害がありそう、というのはレアなはず。

だというのに、砕く必要があるほどのものが、こんなにも？

『推測でよければ』

「頼むわ」

仮にも、崩壊前の文明が生み出したAIだ。

推測といいながらも、かなりの度な報だろう。

『それでは。同胞は、星の力のことをどこまで知っていますか？　この要塞や、貴の乗っている機兵の力もそうですが』

「どこまで……難しいわね。宇宙での運用が始まりだった、事実上無限、とかでいいのかしら？」

『ええ、間違っていません。問題は、どこから來たか、なぜ石だけが力を引き出せるのかです』

聲とともに、また別の資料が表示される。

今度は、畫のようだ。黒い背景に、瞬く。

「宇宙空間、というやつですか？　初めて見ました」

「そうね、宇宙、か。何かってる……隕石？　え……これは」

見つめる先で、暗闇を切り裂く。

それは、星に迫る隕石……にしては、おかしい。

『そうです。によるものではなく、この隕石自が発していました。これはそう、初源の』

「初源……まさか、この中に天然のジェネレータが！？」

考えてみると、おかしいのだ。

寶石の、ただ石というだけのものから、星の力が引き出せる。

それに必要なのは、文様めいた配線の張り巡らされた塊。

ジェネレータと呼ぶそれは、言われてみれば謎しかないのだ。

そして、地上で自然にジェネレータが出來上がることが……それまでなかったのはなぜ？

寶石は古來より地上で加工され、世の中にあふれている。

そして、、ミュータントはにある何かで石の力を引き出すというのに、だ。

いや、過去にもあったのだろう。奇跡という名前で呼ばれる、超常現象の中に。

『詳細は今も不明ですが、これがきっかけに、地上に石の力を引き出すがもたらされました』

と、執事が真面目な顔でこちらを向く。

何かを言いたそうな、迷っている表でもある。

用なAIだな、と思った時だ。

『星の力は地上や宇宙をめぐり、生きたちもその力にれることで、能力に目覚めていきました。なぜか、人はその能力が目覚めにくいようですが』

『ゆえに、同胞、貴が生み出されたのだと思います。おそらく、貴は星の力を引き出すための鍵です』

「レーテが……作られた？」

「……そんな気は、していたわ。でも、引き出すための鍵って？」

疑問を口にしながらも、なんとなくわかる。

かつての人は、解析し、考え、そして……嘆いた。

個特有の素質に左右される、その力の厄介さに。

力の持ち主が、どんな考えで、どんな人生を送るのかがわからないのは、怖い。

そうして……。

「私はおそらく、戦爭のために作られたのね。人間ではあるけれど、素質を作された形で」

『ええ、はい。おそらくは……ですから、同胞、と』

靜かな、それでいて確かな聲が、妙に耳に響いた気がした。