封鎖されていた壁をJAMたちでゆっくりとかす。

異様な気配をじ、そのまま覗き込むように中をうかがった。

（靜かすぎる……）

それに気が付いた時、すぐに私は風を銃口から放ち、前に風の壁を作る。

何もいない、けれどそれがある

そんな焦りが、冷や汗となって背中を伝う。

「ガスの準備を」

『もうか？　いや、すぐ準備する』

外からの質問に、ブリリヤントハートの指を敷地を通る川へと向ける。

その先では、川面に浮かぶ白い何か。

ゆっくりと流れるそれは、死んだ魚だ。

「すぐそこに來てるかもしれないわ」

『了解。こっちは閉されてるがそっちは？』

「こっちも大丈夫。おじいちゃん、なければ出すわよって、まあ、あるわよね」

足元のスミスおじいちゃんは、いつの間にか大きなガスマスクを裝著していた。

考えてみれば、金屬加工となればそういうこともあるか。

準備完了の返事を聞きながら、壁を大きく開いた。

特に何かあるようには見えないけど、いやなじだ。

経過したであろう年月のわりにきれいなのは、荒らすようながいなかったから？

いや、火山活自は最近活発になったはずだし……。

「石で浄化とかできたかしら？」

「やれなくはないと思いますけど、特定の部屋の中ぐらいが限界かと」

直接可能な石自に心當たりはないけれど、風を応用したらできなくはなさそう。

そんなことをつぶやきつつ、壁の側を見て回る。

外壁近くには、銃座が複數。

工場らしい建もまだ形を殘している。

そして、多くが一度植に覆われたのだろうとわかる。

わかるのだけど……今は枯れている。

その結果、廃墟に見える場所も多い。

「外の木々が調子悪くした原因、火山関連のガスは最近ってことかしら……」

「そうですね。あるいは規模は小さく、壁にさえぎられていたということでしょうか」

今ってきた場所も、閉じておく方がいいだろうか？

何かあったときにスムーズに逃げられないのは問題かな？

と、発砲音。

「狀況は！？」

『何かがいてたんだ。逃げやがった！』

なくとも生の人ではないだろう。

それに、私の知っているでもなさそう。

となれば、答えは限られる。

無人機か、環境対応の……ミュータント！

あえて前に飛び出ると、周囲へ一気にサーチを仕掛ける。

敷地全が暖かいけど、さらに暖かい箇所が複數。

川であったり、日向であったり、不自然な熱の塊であったり。

「そこっ！」

これまでにはできなかったような、生でやるようなきで撃。

トパーズによる石の弾丸が塊に吸い込まれ、悲鳴。

すぐに、ほかの気配は逃げ出すのをじた。

『確認は任せろ。警戒を頼む』

「了解。仕留めきれてないかもしれないから気を付けて」

JAM以外の面々を陣形の中にれつつ、周囲を警戒する。

一度見つけると、古ぼけた建たちのに、何か潛んでいそうな気がしてくるから恐ろしい。

そしてしばらくして、引きずられてきたのは……昆蟲？

しかし、大きい。

羽のある甲蟲の類のようだけど、犬ぐらいある。

つややかな狀態であることから、たまたまいたとは思えない。

ここで、暮らしていたんだ。

「どうする？　ちょーっとお寶さがしするには時間制限がありそうだけど」

『多は想定だ。こちらは続行してもいいと思う』

「室なら、迎撃はしやすくはありますね」

し目を閉じ、集中。

そうして承諾の返事を返した。

めぼしい場所からということで、大きめの建へと向かう。

外はだいぶ傷んでいるが、建自はまだ健在。

どれだけの年月を過ごしてきたかはわからないけれど……。

『こんな時にだが、意識して力の使い方が変えられるはずじゃ』

「ほんっと、もうし早く言ってよね」

結局、こういう武は石の力を増幅するものであり、使いやすくするためのもの。

究極的には、JAMの指先から撃つこともできる。

溜息1つ、構えたままのライフルに意識を集中。

通常通りの発から、拡散、至近距離へ。

中に、あいつらがたくさんいる可能を考えて、だ。

『迎撃は頼む』

「ええ、開けて頂戴」

言うが早いか、隙間にくものを見つけ、発。

細かい砂粒、石礫上の力が放たれる。

それは、隙間から飛び出ようとする甲蟲らへと吸い込まれた。

「撃てるだけ撃ちなさい！　おじいちゃんたちは隠れてて！」

幸いにも、無數にというほどではない。

何かの遊戯のように、何匹もが順番をずらして飛び出てくる。

それをひたすら撃ち落とす時間が……続いた。