《崩壊世界で目覚めたら馴染みのあるロボを見つけたので、強気に生き抜こうと思います》JAD-245「逃避行」
「まずい、思ったより規模が大きいかも……」
すでに出発の準備は整い、いざというところだった。
私の目には、火山の本から石の力をめたものが昇ってきているのが見える。
ただのマグマじゃない、力が出てくる!
『どうする。どこかで隠れるか、しでも逃げるか』
「ひとまずはできるだけ離れましょ」
急いでこちらもブリリヤントハートを進ませる。
しかし、さすがに1人で逃げてしまうのも目覚めが悪い。
対処できるように、一番後ろに自分も參加する。
トラックの方は、カタリナの力で自縦だ。
だいぶ先行させてるし、地図通りにだから事故もないはず。
「怖いのは大きな飛來と、いわゆる火砕流ですね」
「まったくね。地下施設は閉めておいたからいいとは思うけど……」
また訪れる時を考え、シャッターはまた閉じておいた。
さすがに溶巖に覆われたら溶けるだろうけど、ね。
「このままJAMで逃げ切るのは難しいかもしれませんね。幸い、人員は足りましたが」
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そうなのだ。車両に乗っていたのは、ジュエリストも含む。
結果として、すべてのJAMは起に功、合計3機が確保された。
それらが手にするのは、おそらく部品や機材のったコンテナ。
燃料としての石英や水晶は分割して投したから、補給の問題も出ている。
果たして、どこまで逃げ切れるか……。
(いっそのこと、ここから山を狙撃して調整する?)
どこか適當なところに大を開けて、というのはどうだろうか。
そこまで考えたけど、さすがに時間が足りない。
そうこうしてるうちに、力の流れがゴールにたどり著いた。
「噴火を確認!」
「ラストピースより全機へ。お目覚めだわ! スミスおじいちゃんや車両はとにかく遮蔽を意識して!」
『そちらもな! 生きて戻っていじらせてもらうぞ!』
上等、そう呟いて武裝をすべて展開する。
修復をけ、再度裝備することになった背面ライフル2丁。
それに使い続けている手持ちライフルも2丁。
危ない軌道のものだけでも、どうにかする!
「さあて、腕の見せ所よ!」
力のメインをダイヤ、サブをペリドット、イエローダイヤ。
ダイヤの熱線で大きいのをどうにかし、小さいのは風で吹き飛ばす!
機を反転させながら、背面飛行。
結果として、空を舞う無數の粒をモニターにとらえる。
「數が……多いっ!」
當然のことだけど、飛んでくる巖の數がとんでもない。
小さいものは撃ち落とすより、吹き飛ばした方が早いはずだ。
まずはすべてのライフルで暴風を上空へ。
狙い通りに小さいものや靄のような何かが吹き飛んでいく。
合間をうように突き進んでくる大きな巖へは、ダイヤによる閃だ。
小さいものは、これに巻き込まれることもあるだろう。
「止める……ダイヤの閃、ジェーマレイ!」
當たれば車両はもとより、JAMも相當なダメージになるだろう巖たち。
しかも、今なら高溫マグマの付著もありだ。
かなり、遠慮したい気分である。
そんな気持ちのこもった一撃を何度も放ち、巖たちへとぶつけていく。
幸い、多くは砕かれるか、角度を変えて関係ない場所へと落ちていく。
「計算続けます。噴火自は続いてるようです」
「そりゃそうよねって……明らかにマグマがあふれてきてるじゃない」
幸いにも、噴石自は最初だけだったというか、向こう側に主に噴出したというか。
私たちのいる方向は、メインではない様子。
けれど……山の頂上付近、巖盤が薄かったのだろうと思われる個所が、崩壊していた。
結果、ズームしなくてもわかるほどにマグマが噴出している。
(これだとすぐに火の嵐が地面を突き進んでくる!?)
現に、すでに山を茶褐の煙が大量に降り始めている。
おそらくは、山の中にたまっていたガスなんかも一緒に出てきたんだろう。
すべてを焼き盡くすかのような、おそるべし力だ。
「噴石の迎撃は中斷! バリケードをひたすら重ねる!」
「バリケード!? そういうことですか!」
うなずき、後ろを向いたままは変わらずに、今度は地上へ向けて力を放つことにする。
メインをダイヤからトパーズに切り替え。サブはダイヤ2種にする。
生み出すのは、巖の壁。
できるだけ大規模に、まっすぐに、長く。
海で波を防ぐもので、消波ブロックというものを知っているだろうか?
あれの狙いは、防ぐというより、力を減らすものだ。
むかーし昔から使われていたものだ。
どうせどんな壁を作ったところで、すべての範囲を覆うのは無理。
重要なのは、時間稼ぎであり、火の暴力、その減速だ。
一定の壁、遮蔽をいくつも作っておくことで力を分散させようというのだ。
「こっちはなんとかする。そっちは逃げてね」
『なんとかなっ! だがこの全力では30分も持たんぞ』
「10分も逃げられたら十分でしょう、距離的に」
返事に覚悟を決めつつ、森を切り裂くように力を放つ。
最初に作った壁が、赤い力に飲み込まれるのを確認しつつ、後退を続ける。
「軽減、約4パーセント。今の調子ならなんとか!」
「了解。いっそがしいわねえ」
ぼやきつつも、何度か繰り返すうちに明らかにその効果を実する。
明らかに、速度が落ちているのだ。
おかげで、より効率のよさそうな防壁を生み出すこともできた。
そうして、安全な距離まで逃げられた……と思う。
山が、赤い服を著こんでいる。
足元まで真っ赤な、恐ろしい服を。
周囲を、逃げるたちが通り過ぎていく。
一目散に遠くへ、遠くへ……。
『終わりか?』
「たぶんね。まだ噴火はしてるけど……」
溜息のように深く息を吐き……それが何かを確認する前に、力を放った。
それは森から襲い掛かろうとしていた、大きな大きな甲蟲を貫いた。
確かな殺気のようなものを、じたのだ。
まさか、こんな甲蟲とは思わなかったけど。
『助かった。まさかこの狀況で逃げずにこちらに來るとは……』
「気にしないで。よくあることよ」
親世代なのか、あのシリンダーにも収まらない大きさな甲蟲の死骸。
持って帰るお土産が、1つ増えたのだった。
終盤戦突です。
終わりまでお付き合いよろしくお願いします。
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