そして、芋蟲が顔を上げ……吼えた。

「データ採取開始！　何かに似てないかを探るわ！」

「了解！　かなり高音です。金屬同士がこすれるような……」

コックピット部では、調節された音が聞こえる。

確かに、甲高い鳴き聲だ。

人間が聞いても大丈夫そうな調整がされたそれは、孤獨をじさせる。

どこか悲しい、誰かを探しているような聲。

「探してる？　なら……探査範囲を拡大！　ほかにいない！？」

「待ってください……います！　右奧2500！」

とっさに機をかし、山を回り込むように飛ぶ。

眼下には、いくつも溶巖があふれる山。

そして、もう1匹の芋蟲。

「2匹は確定か……。目的は合流？　ううん、違う……」

「あれじゃ、外敵もいないでしょうし、一緒にいる理由は薄いですよね」

そうなのだ。誰が好き好んで溶巖地帯に狩りに行くのか。

まだ機械か生きかはっきりしていないけど、彼らぐらいなものだ。

そうこうしてるうちに、それぞれの芋蟲は溶巖の採取を続け、巨大化している。

倍ほどの大きさになったとき、さらなる変化が起きた。

「部が丸くなりましたね。まるでボールを飲み込んだ蛇のようです」

「けなそうな見た目のわりに、力をじる。あの部分が核ね。なくとも、発掘品と同等な力をじるわ」

さて、ここで私がどうくか、それが問題だ。

あの芋蟲を確保し、あわよくば核を……というのが一番。

スミスおじいちゃんの記憶が確かなら、世界全でも各所に存在していたようだ。

となると、生きならば繁もしているはず。

「あれにオスメスあるんですかね？」

「さあ……でも、増えることはするはずよ。じゃないと、あれが最初の個って話になってしまう」

観察する先で、芋蟲は數度吼えたかと思うと、山におを突っ込んだ。

私の目には、それが見える。

から移する石の力。

それはまるで……。

「卵、か。たぶん卵だわ。ああやって山に卵を産み付けて、次の噴火までふ化しない」

「気の長い話ですよ、それ。あ、き出しました」

いつ噴火して、その影響でふ化できるかは確かに気の長い話だ。

でも、邪魔がらないという點ではありなのかもしれない。

そんなことを思いつつ、親芋蟲のきを確認する。

思ったより早いきで、1匹が火口方向へと……まずい！

「溶巖に飛び込もうとしてる！　確保しにいくわ！」

「マーキングします。いつでも！」

浮いたままだった機を加速させ、一気に急降下。

ブレードにはダイヤの力をまとわせる。

機械か、生きか、はたまた混ざったやつか。

その正を確かめるためにも、逃がさない。

空中からの強襲で、芋蟲の頭部を一気に切斷。

核のある方面をつかむ。

「部は機械だらけです！」

「了解っ！」

思ったより重量は軽い。

ブリリヤントハートでも、摑んだまま飛び上がれるほどだ。

斷面は、確かに機械だ。

（ということは、生命を模倣して、自己増できる機械ってこと？）

あの鳴き聲のようなものも、再現なのか、別の理由か。

よくわからないが、ひとまず研究材料にはなりそうだ。

「再生はしないわよね……いてきそう」

「今のところは大丈夫そうですね。でも、死んではいませんよ、この子」

カタリナから見ても、機械として停止してはいないようだ。

未知への怖さと、何がわかるかというドキドキが同居する。

そのままどうにか街近くまで戻った私は、無線でスミスおじいちゃんを呼び出す。

謎の機械サンプルを採取したこと、まだ機械としては生きていることを。

「ようし。中を出して、ブリリヤントハートに核を増設するか！」

「そんな方法が？」

街の外に出てきて、芋蟲のを観察したおじいちゃんは、そんなことを言い出すのだった。