朝、浮上する意識。

ベッドから起き上がり、枕の下からハンドガンを取り出す。

旅先以外での、朝のルーチン。

襲撃をけたことを想定しての、弾戦をイメージ。

無理のないきを考えつつ、仮想敵を倒す。

そうして何人かの仮想敵を沈めた後、は完全に目覚める。

「私は……何をす？」

最近、時間があるたびに自問している。

結局のところ、自分はほぼ間違いなく設計され、作られた人類だ。

石の、星の力を引き出して戦うすべをに著けた、超人のようなもの。

ジュエリストとして、活躍できたのも當然だ。

一般のジュエリストとは、そもそもが違うのだから。

（だからといって、なんでもしていいわけじゃ、ないわよね）

自由にしていいというのは、わがままであっていいということではないと思う。

決斷は好きにしていいが、その結果の責任もセットなのだ。

「私は、人の営みを見守りたい。だから、世界を染め上げるような戦いは、つぶしておきたい」

例えばそう、無人機を引き連れて統一國家でも作る気なのか？なんてきは。

爭いあうべきというわけじゃなく、世界はその意味ではばらばらがいいと思うのだ。

「ふう……今なら弾丸も回避できそうな気がするわね」

ただのよくあるハンドガンだけど、その銃口まで意識を向けてポーズ。

空気のきまで、じられるようだった。

まるでそれは、自分の中から石の力を引き出すような不思議な覚。

調べたことはないけれど、私のの中にも普通にはないナニカがあってもおかしくはない。

記憶の通りなら、生でそういう戦いをした記憶すらある。

この世界で、そんなことはあまりしたくはないけれどね。

「よしっと。カタリナ、ぐっすり寢てる。整頓するデータ量が多いのね」

私が起きたのが、まだ空が白くなるかどうかのころだから仕方ない。

まだ、彼は別のベッドで靜かにしている。

起こせば起きてくるだろうけど、それもちょっとね。

彼は、演算と記憶領域としての機械を頭に埋め込んだ、機械のの持ち主だ。

いうなれば、自意識のあるJAMとも言える。

私にとっては人間で、今も昔もそれは変わらない。

記憶の中の別が、男どちらかあいまいな私だが、彼のことは気にしている。

私を理解できるのが彼だけだろうという思いも間違いなく、ある。

（できるだけ、一緒にいたいわね）

これが、世間でいうなのか、なのか。

他人へのなのか、家族へのなのか。

それはわからないけど、大事な。

「ま、なるようになるでしょ。なんでも、ね」

呟きながら、裝備を適當にに著ける。

數日は、準備のためにこの街に滯在予定。

その間に暇にならないように、簡単な仕事をけるべく外へと出る。

外は、まだ朝早いがすでに人々の営みがじられる。

朝早くでかける人もいれば、畑仕事に行くのだろう人もいる。

多くの人が、騒な裝備をしてることを除けば、平和な街の姿だ。

農作業に向かうだろう人が、ミュータント対策の大きな猟銃を背負っていたりなんてことはあるが。

「こういう景を、守らないとね」

「レーテなら大丈夫ですよ」

思っていなかった聲に、慌てて振り返る。

そこには、聲の通りの……カタリナ。

急いで出てきたのか、ちょっとだけ髪のがぼさっとしている。

「おいていかないで下さいよ。気配でわかっちゃいましたけど」

「ごめんごめん。記憶領域の整頓、大変でしょう？」

ごまかすような指摘に、確かにそうですけどなんていう姿も、かわいいと思う。

まさに、人間らしい反応だ。

手足とかのは、調の悪い人よりさらに冷たいのが殘念ではあるけれど。

「今回はごまかされておきます。それより、何かやるなら海のものやりましょう。沿岸部に來る相手の対処、覚えておいて損はないと思います」

「なるほど、それはいい考えね」

盲點だった、海洋ミュータント相手の経験。

ゼロではないけれど、迎撃ぐらいしかしたことがない。

気持ちを新たに、カタリナを引き連れて仕事を探しに出歩くのだった。