もうすぐ完結です

町の中は靜かで、不気味なほどに綺麗だった。

もちろん、戦いの跡はあるわけだけど、それ以外がきれいすぎる。

観察する余裕ができた私の目には、まるで片付けられたようにも見える。

がれきがそのままだし、そんなはずはないのだけど……。

（誰かが住んでそうなのに、住むのは無理だと何かじるのよね）

「食、ですね」

「そうね、食だわ。人間サイズ……でも変ね。これじゃあ使えないわ」

どこにも、コンロや水場がない。

これでは炊事ができないのだ。

男たちを生産設備だった場所に案して、私たちはそのそばの探索中。

家屋に見える場所に、機を降りてってみたのだ。

「建の高さなどは人間サイズですね。でも確かに、あちこちがおかしいです」

「ええ、真似してるだけ……」

言いながら、記憶がちらつく。

ゲームとしての記憶でも、生活らしい生活をした覚えがないぞと。

視界の報としてはいろんな部屋、設備はあったように思う。

でも、それらを利用した記憶はあいまいだ。

例えばそう、食堂で調理をする、したものを食べるといった行為。

ほかのことでもそうだ。

機の何か以外で、買いをした記憶は？

パーツの購以外に、何か支払いをしたか？

「ふぅ……どうやら私の設計をした人格も、おそらく人間の文化、生活報は一部劣化していたようね。それは無人機の親も同じみたい」

「だからどこか変だと？　そうまでして再現したのはなんででしょう？」

それには答えず、機と椅子だけど、座ることができない形の家を見る。

人間の生活を再現しようとしたのだとわかるけど……実際はどうなんだろう。

生という人間じゃなくてもいいのではないか、と考えているように思う。

生活のためにというより、安定のため……。

「環境を再現するのは、人としての人格がおかしくならないため、じゃないかなって。全く変わり映えしない生活環境は、どこかで歪みを生むと思う。ほら、だいぶ前にずっと命令を待っていた子がいたでしょ」

「それは確かに。でもそうなると、は人じゃなくてもいいということでは？」

だからよ、と言って寢室も何もないがらんどうの建を出る。

見た目はきれいな町。

けれど、ここでは人は暮らせない。

なくとも、そのままでは。

「無人機、機械アリだと考えていた相手は……新人類、人類の形……かもしれない」

「私としては、管理AIの暴走に一票です。自分たちがり代わろうと考えたっていうほうがやりやすいですよ」

彼の意見はもっともだし、私もそう思いたいところだ。

問題は、相手と話すことはおそらく難しいだろうということ。

時機を見て、滅ぼさないといけない相手だからだ。

（それも、時間の余裕はあまりない）

「カタリナ、次の季節は味わってる余裕がないかもしれないけど、大丈夫？」

「いつでも、どこでも。貴とならば、大丈夫ですよ」

言外に、危険へと飛び込むことを告げる。

返答は、はっきりとした承諾だった。

そのことをうれしく思いつつも、無事に帰ることを考える。

そう、中央に突撃し、無人機の親……機械でこの星を制圧しようとしてる存在との対決を。

「考えてみれば、ゲームみたいなものよ。人類に仇なす存在を排除、平和を取り戻す」

「レーテならできますよ」

微笑みつつ、機へと乗り込み、し移。

生産設備たちの探索は終わったようで、男たちが出てきた。

表は明るいので、々なことがどうにかなりそうなんだろう。

その後も、彼らについて回り町の探索は無事に終わった。

流用できそうなものは、數多いようだ。

報酬として、資をけ取りつつ、今後のことについて話す。

「俺たちはここを拠點化、引っ越す予定だが、どうする？」

「好きにくわ。そのためにこっちに來たんだもの」

多分、一緒に行するだとか、依頼があればと告げれば、そうなったと思う。

けれど、そうはしない。

記憶は誰かに刷り込まれたものではあるけれど、選択は自分でしてきたのだ。

たとえ、夢のような眠った狀態での判斷と記憶だとしても、それは私のものだ。

であるならば、自分の判斷、やりたいことをやろうと思う。

記憶でそうしたように、人類の手助けをする。

自分1人……いや。

機を作する私の後ろには、今も慣れ親しんだ気配。

「終わったら、旅に行きましょうね」

「はい。食べは摂取できます。々食べに行きましょう」

周囲の警戒をしてくれているカタリナをじつつ、東に進路をとる。

目指すは、大陸中央。