《迷宮宿屋~空間魔法駆使して迷宮奧地で宿屋を開きます~》24
………。
命懸けで狩りに行ってる人たちがいるのに何だけど、暇だった。
ロベルタの人達は拠點の見張りをしつつ裝備の手れを念りに行っている。
だが、よく見ると転送魔法使いのお兄さんは本を読んでいたし、結界師と空間師の人達は雑談をしていた。
いやまあ、確かに輸送部隊は輸送までは暇なんだけども。
ここまで必死に守って連れてきて貰ったトールさん達になにかお禮がしたくて、私は空間の中に走った。
sideトール
「撤収だ!各々戦果を持って拠點に帰るぞ」
指示を出して余裕をもって戦闘を切り上げる。帰路はスカウトのムサシの活躍でほぼ戦闘は皆無で拠點まで引き上げられた。
「あ、おかえりなさい」
拠點の結界にって一番に気になったのはすごくいい匂いだった。
疲れたが思い出したかのようにぐうーと腹の蟲を鳴かせる。
「あ、ああ、マリィ何をやってるんだ?」
「ご飯の準備をしてました。いつでも食べられますが、まずは素材を預けてからを拭きましょうか。タライに水を張っておきますね」
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俺達の鍋やフライパンなども使って、細々と食事の支度をするマリィ。
言われるままに素材を一番に帰る空間魔法師に預けてテントに戻ると本當に水を張ったタライと布が何枚も置かれていた。
「お著替えも出そうと思ったんですが流石にそちらは私だったので」
「……いや、助かる」
「マリィちゃん俺のカバン漁っていいからシャツ持ってきてくれるかな?」
「良いですよ」
「おいっ!」
「良いじゃん。きっと手持ち無沙汰なんだよ」
ヘラヘラ笑うムサシを叱っても何処吹く風でシャツをいであっという間にパンツ姿になりタオルで全を拭きだす。
そんなムサシのを見てもケロッとしたマリィはここに置いておきますねと言って著替えを置いてった。
「……トール、マリィちゃんうちのパーティに勧出來ないか」
始めにそう言ったのは胃袋を摑まれたダーンだった。
暇だったのでお漬け込んで置いたんです。そう言って出された野菜との炒めはめちゃくちゃ味かった。ライスと合って、彼は食事処でも働けるんじゃないかと心した。
また漬け込んだは他のパーティにも配布され、それを食べたアイズは真顔で後で金を払うからうちの飯も頼む。と言えばマリィは軽く了承した。
「あ、そのタライに洗濯をれといてください。後で洗剤をれて浸け置きしますんで」
その言葉に陥落したのはユーリだった。綺麗好きなあいつも真顔で「あの子うちにしい」と言い出したので苦笑した。
そしてれ替わりで狩りに行ったロベルタも全力で食材と食類を差し出して頼み込み彼は小さいのに全員分の食事を引きけることになった。
流石に負擔が大きいんじゃ…と思ったら大人數の食事は慣れてますとケロッと笑っていた。とは言え俺達も輸送部隊も仕込み程度は手伝うことにしたが。
翌朝、テントからテントに張った紐に洗濯が干されて居た。それもうちのパーティだけじゃない。おい、どこまで子供に寄りかかるつもりなんだと思ったらユーリとドラゴン殺しとロベルタの魔法使いたちが風魔法で洗濯を乾かしていた。
しっかり働く仲間の姿に一番何もしてないのは俺なんじゃ、と焦ってマリィの元へ行くと予想通り數人が野菜を切ったりを切ったり手伝う中マリィが楽しそうにき回っていた。
「おはよう、俺も手伝う」
「おはようございます。じゃあ、パンを半分に切って炙っといて貰っても良いですか?溫めた方が味しいですから」
パンくらいそのままで食えるのに一手間をれる彼。いやでも、確かにその通りなので言われるままに手伝う。
驚くことにこの、朝數人で手伝ったことで一日分の仕込みは終わったらしく狩りから戻ってもマリィは暇そうにしていた。
曰く、今は遠火でコトコト煮てるので暇だと。
「みんな別料金払うからやってやって言うんですけど、このままじゃ私がっぽり稼いじゃいますよ」
とケラケラ笑いながら彼は破棄ポーションを飲んでいた。
彼がスキル上げを熱心に行っているのは知っていたが、まさかこんな狀況下でもやるとは。
ストイックな彼に負けないよう、俺も靜かに鍛錬と武の手れをするのであった。
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