《【書籍化決定!】最強スキル持ちは、薬草採取しかできない》18 エンカウント天馬

なんか々あったけれども気を取り直して。

いつもと変わらぬ仕事の日々を過ごしますよ。

そう、薬草採取だ!

「頑張りましょうね! 薬草摘みを!!」

そして今日は同行者がいる。

スェル。

薬師協會所屬のの子だった。

「祝! 外出止令解除!」

かつて冒険者ギルドから薬草採取クエスト全撤廃された直後、何とか薬作りを継続するために直接森の中にる猛者がいた。

それがスェル。

案の定モンスターに襲われて生命の危機にあったがそこへ偶然通りかかった僕が助けた。

それが運命の出會いだったなあ。

そこから薬師協會さんとの繋がりができて、薬草採取で報酬が貰える狀況が続くようになった。

との出會いが運を切り拓いたように思える。

そんな彼と今日は一緒に薬草採取です。

「本當に大丈夫、森は危険だよ?」

魔の森は戦うを持たない普通の人には厳しい。

出會った時だって、モンスターのお腹にる五秒前みたいなスェルだったものな。

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「そこは大丈夫ですよ! エピクさんが守ってくれますので!」

全面的に僕頼みなのか。

「お父さんもエピクさんと一緒なら大丈夫だって言ってくれましたし。そもそもエピクさんと一緒じゃないと森にる理由が果たせませんしね」

そうだった。

わざわざ彼が危険を押して森にるのは、他でもない僕のフォローのため。

薬材として使われるモンスター素材のことをきっちり俺の頭に叩き込もうと実地の指導を行ってくれるそうだ。

「こないだ薬師協會本部でやったので充分じゃないの?」

「あれはエピクさんが無作為に運び込んだモンスター素材だけでしたからね。薬にすることができるものはもっとたくさんあるんですよ。薬調合の世界は深くて広いんです」

そこで今回は、実際に森の中にってまだ僕の知らない素材がどんなモンスターのどの部分にあるか教えてくれるんだって。

実踐教育ですよ。

「ズドットさんからも頼まれていますから、どんどん狩っていきましょうね!!」

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「どんどん薬草採取から遠ざかっていく気がする……!?」

まあ、見返りとばかりにズドットさんから贈られた軽裝鎧はたしかにいいじだけれども。

マジョロウグモの薄甲殻を素材に作られた冒険用裝備。

つい先日完して、今日の薬草採取から裝著していくことにした。

製作者本人が自慢する通り、丈夫なくせに薄くて軽いモンスター素材で作られているためからかく、鎧というよりジャケットというような風だった。

普通に袖を通して著たし、らかくてきやすいわ、通気があって蒸れにくいわ、あっちこっちにたくさんポケットがあるわで凄く著心地がいい。

こないだまで著ていた、あちこちり切れてい目も緩みバラバラになる寸前の古著と比べたら、なんときやすいことか。

古くて壊れかけた服ってあれでけっこう著る人のきを阻害するんだな。

やっぱり冒険を効率よく行うためにも、著ていく服にまで気を配らないといけないんだなと思った。

できるだけ新しくていいものでなければ。

々心機一転で、楽しい薬草採取ライフを拡充していこう!」

「おおー!」

「そこで、まず最初の獲だけれど……」

アイツでいいかな?

ちょうど目の前に、明らかに尋常ではない生が蹲っているんですが。

俺の知っているどの生とも當てはまらないんだが、あえて知識と照らし合わせるんなら馬だな。

ベースは馬。

しかも目が覚めるほど真っ白な並みで、降り注ぐをそのまま反して眩しいほどだ。

そこまでならうっとりするほどしい名馬で済むんだろうが、その馬の背から翼が生えている。

翼のある馬。

ってことはやっぱりただの馬じゃないんだろうな……。

「エピクさん! これペガサス! ペガサスですよ!?」

「屁が刺す?」

それは一どういう狀況なんだろう?

僕にはまったく報がないので、ここはスェルの解説に聞きるしかない。

「ペガサスは聖獣の一種です! ありがたくておめでたいんですよ!!」

「せいじゅう?」

「もしかして知らないんですか聖獣を!?」

すみません存じません……!?

でもそんなに睨みつけられることなんですか?

「聖獣は、本來この世のものではない特別な生命です。でもモンスターともまったく別で、存在のあり方は極めて神聖なるものなんです!!」

そうかぁ、なるほど。

「たくさんの人から崇められて、教會からも信仰対象として認められているんです。エピクさん、あれ討伐なんかしたら絶対ダメですからね!? 世界中の信心深い人を敵に回しますよ!?」

「はいッ!?」

そんなに大層なモノだったとは。

気軽に『狩ろう』なんて言ってごめんなさい、すべては無知のなせるがゆえなんです。

なんまいだぶ、なんまいだぶ……!!

「あ、でももう手遅れかもしれない」

「なんでです?」

「あのペガサス怪我している」

ホラよく見て覧?

腳をたたんで地面にうずくまってる有翼馬、その腹部からどばどばが流れ出ているではありませんか。

けっこうな出量。

あれ命に係わるんではないか?

「エピクさんなんてことをしたんですか!? 絶対攻撃しちゃダメって言ったじゃないですか!?」

「なんで迷いなく僕の犯行って決めつけるの!?」

僕が気づいていた時には既にああなっていた。

恐らく怪我は最初からだ。

どこかで負傷し、耐えきれなくなってここに急著陸したんじゃないか?

それなら普段まったく見かけないこの森でペガサス様がご降臨あそばせた理由にもなる。

『……煩いな人間どもは』

「ひぃッ!?」「何この聲!?」

見たところ僕らとペガサス以外に誰もいなさそうだが。

するとこの聲はペガサス!?

馬がシャベッタ!?

『喋って何が悪い? 聖神の極み、貴様ら人間など遙かに超越するこの聖獣ペガサスが、人語程度も使いこなせんと思ったか?』

めっちゃ偉そうこの馬!?

でも怪我のせいか、聲に張りがなく弱々しい?

『それゆえに、このような無様な姿を見咎められるのは不甲斐ない。我が主の命を遂行する中不覚にも傷を負い、ここまで戻ってきたはいいが、ついに力も盡きたようだ。聖獣ペガサスももはやこれまでか……!?』

「そんなッ!?」

スェルがいそいそと駆け寄る。

「諦めちゃダメです! 私は薬師です! 怪我を治す薬ならたくさん……!」

『心優しきよ、気持ちは嬉しいがこの傷は人間程度ではどうにもならぬのだ。よく見てみるがいい』

促されてペガサスのお腹の傷を凝視。

するとちょうど出の水源となっている部分に、何か突き刺さっているのが見えた。

尖っている真っ黒な鉱のようなものだ。

黒曜石?

何やら禍々しい気配を放っている。

『コレは呪いの産だ。ひとたび突き刺さればけっして抜けることなく、生命力を吸い取り続ける。刺さった相手が死ぬまでな。この私ですらどうにもできないモノを人間に処理できるとは到底思えぬ……』

「ちょっとよく見せて」

ここでく僕。

こういう時こそ僕の出番だと思った。抜いてダメなら消してみろ、だ。

「気を付けてエピクさん! ペガサスさんは処以外寄せ付けないと言いますからエピクさんが近づくと蹴られるかも!?」

『それはユニコーンだ!! あんな変態馬と一緒にするな!!』

ペガサスさん今日一番の怒號。

じゃあ僕がれても安心ということでしゃがみ込み患部を凝視する。

……うん、行けるか。

『どうする気だ? 力任せに抜くつもりならやめてくれ。そうされると激痛が走るのだ』

「『消滅』」

『はああああああッッ!?』

よし、上手いこと刺さってる黒い鋼片だけ消せた。

多分できるとは思っていたけれど、やっぱり僕の『消滅』スキルに消せないものはないんだなあ。

『よ、依り代どころか呪い自まで綺麗に消えている。質概念雙方を完なきまでに消し去るスキルを人間が持ちうるのか!? いや……!?』

危機の元兇を消し去って、最悪は除けたと思しきこの狀況。

ペガサスさんは、その長い馬面を左右に振って、僕とスェルを互に見る。

『……そういうことか、因果は確実に回っているのだな』

「そ、それより治療を始めないと! 刺さったモノが抜けても怪我はまだあるんですから、治療しないとダメです!」

『ありがたいが、先にも言ったように人に効く程度の治療薬では聖獣たる私には効かぬ。だが……そうだな……!』

ペガサス、先ほどまでに比べれば明らかに楽そうだ。

それでも開いた傷の大きさを考えればまだまだ安心できない。

『優しいお嬢さん、アナタが薬師だというなら今から言う材料を調合してほしい。聖獣にも効き目のある強力な薬だ。アナタほどの才能があればきっと功することだろう』

やっぱりコイツも変態馬なんじゃないだろうか?

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