《視えるのに祓えない、九條尚久の心霊調査事務所》謎解き

翌朝。

私が寢てる間にも、九條さんは々働いていたようだった。

調べをしたり、伊藤さんとメールをしたり、看護師さんと話したりしていたようだ。

私は慣れない展開に疲れも出ていたのか一人睡。嫌な夢も見ず、スッキリとした目覚めで朝を迎えた。

まだ日も登り切っていない早朝4時、その時九條さんは部屋にはいなくて、私は一人歯ブラシを持ってトイレへ出た。

朝というだけで病院の不気味さはまるでない。人気もないし薄暗いけれど、どこか爽やかさをじるほどだった。朝日の偉大さを思い知る。

すでに看護師さんが忙しく歩きながら仕事をこなしている姿を見て、やはり頭が上がらないなぁなんて心する。

トイレで歯磨きと洗顔を済ませ、私が會議室へ戻ると、九條さんが座ってパソコンを眺めていた。

「あ……おはようございます」

「おはようございます」

「すみません、私だけぐうぐう寢ちゃって」

「いえ、あなたがられた経験が無ければ今回ここまでスムーズに事は進みませんでしたから」

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「え、もうすずさんが怒っている原因確定したんですか!?」

私は食い気味に九條さんに聞いた。彼はし考えるように口元に手を當て、しだけ眉をひそめた。

「狀況的に私の仮説は正しい可能が高いと思いますが……今のところ証拠がない」

「証拠……ですか?」

「ですが十中八九間違いないと見ています」

「それで……すずさんをどうやって鎮めるんですか?」

1番重要なのはそこだった。すずさんの殘した思いの原因が分かったとして、そこからどうするのか。

名取さんに原因があるとしたら、彼が謝ればいいのか?

九條さんはポッキーに手をばし、すぐに絶したように目を丸くした。もうなくなったらしい。

仕方なさそうに私が買ってきたプリッツの封を開けてそれを口にれる。

「黒島さん。私は霊を祓うといったことは出來ませんが、供養はできます」

「……はあ」

「特に私は霊の聲が聞こえます。この特を活かして供養します」

「でもすずさんは會話にならないんじゃ?」

「恨みと怒りで我を失っていますからね。だからこそ、彼が殘る理由を知る必要があったんです。無闇に話しかけても無駄ですが、真相を突いて聲をかければ伝わる事もある」

「……」

正直なところ、今まで霊と関わらないよう過ごしてきた私にはうまく想像がつかなかった。

でも、どこか決意したように話す九條さんの橫顔を見て、それ以上は何も聞けなかった。

日勤帯になり看護師たちがまた多く出勤し出す。

中には名取さんもいた。だが九條さんは、まだ待つ時だと斷言した。

私はもう彼に従うしか出來ないのでその通り待機する。今日も白につけてナースステーション奧の休憩室にらせて貰った。

その間何度か麻薬の金庫の鍵は開け閉めされたが、本日は特に問題なく鍵は使えたようだった。

何もすることがなく手持ち無沙汰の私はソワソワするも、九條さんは何も気にしていないようにただぼーっと椅子に座っている。眠いのかもしれない。

これまた「難しい患者のオペを済ましてきた醫師です」みたいに見えてくるから人って顔が結局大事だな、なんてどうでもいいことを考えていた。

「もういいですね」

晝前になった頃、突然九條さんが発言した。

もはや暇で空腹と眠気に悩まされていた私は驚いて顔をあげる。

九條さんはゆらりと立ち上がり、肩を回してばした。私も慌てて立ち上がる。

「ど、どうするんですか」

「名取看護師を810に連れていきましょう」

「あ……あの部屋ですか……」

「責任者である田中さんも聲を掛けましょうか。今回の場合、あちらの上司もいてもらわねば困る」

「……は、はあ」

イマイチ彼は私に事の真相を話してくれていないのだが、もう仕方ない。このマイペース男についていくと決めたのだから。

九條さんが休憩中のカーテンを開けると、幸運にもそこには名取さんと田中さんがパソコンを見ていた。

「名取さん」

「はい?」

振り返る名取さんは相変わらず人で、化粧もしっかり施されていた。ニコニコと想のいい顔で答える。

「何か?」

しお話したいことが」

「はあ……?」

「ああ、田中さんもお願いします。ここでは何なので場所を変えましょう」

二人はキョトンとして顔を見合わせた。不思議そうに私の方を見られるが、すみません、私もよく分からないんです。

想笑いを浮かべて、とりあえず話しかけた。

「そんなに長い時間はとらせませんので…(多分)、お願いします」

二人は渋々と言った形で手元の仕事を切り上げ、九條さんに続く形でナースステーションを出た。

無論目指すは810號室だった。4人が縦に並ぶようにして廊下を進む。

すぐに到著したその部屋は、昨日私が夜にみたままの形だった。あの鮮明すぎる夢を思い出し、つい反的に拳を握る。

ここで私は縛られて、痛みと戦ったんだ。

九條さんは中にり、どうぞと二人を促した。ゆっくり室したところ最後に私がり、部屋のドアを閉めた。

今日は部屋の中は爽やかだった。窓から青空と白い雲が見えた。窓は閉め切ってあるというのに、外の風すらじそうなほどここは優雅な空気が流れている。

昨夜とはまるで別世界のようだ。

なんとなく居場所に困った私は、九條さんとし距離を取りつつも隣へ移した。不安で彼を見上げるが、特に何も変わりない顔だった。

九條さんは二人を振り返り淡々と言った。

「単刀直に言います。今回の訶不思議な現象の原因が分かりました」

「原因……?」

田中さんが首を傾げて聞き返す。

「病棟に居付く霊がいます。名は神谷すず」

「神谷さん!?」

意外そうに田中さんが目を丸くした。認知癥の高齢な方というのは、予想外だったのかもしれない。

「神谷すずさん。認知癥も患い末期癌で痛みのコントロールをされていた……そうでしたね」

「ええそうですよ。でも神谷さんとはトラブルなんてありませんでしたよ?おっしゃる通り認知癥で……」

「認知癥で何も分からないと思ったら大間違い、ってことです」

「……ええ?」

「名取さん」

どこか厳しい九條さんの聲に、名取さんが顔を上げる。真っ直ぐな目をした無表だった。

「神谷すずさんがあなたがけ持ちの日に限って、痛みの訴えが強かったのはなぜですか」

はまるでたじろがなかった。ニコリと笑い、常識ですと言わんばかりに説明する。

「疼痛はその日によって違いますよ。患者様の気分や天気ですら左右されますし、たまたま私のけ持ちの日に痛みが強かったんでしょうね」

堂々とした態度に、これまた九條さんもたじろぐ事なく続けた。

「神谷さんは麻薬の投與をしてましたね」

「そうでしたね」

「痛みの訴えが強い時は醫師の指示の元早送りをする」

「よくご存知で。もしかして、私が意地悪して早送りしてあげなかったと言いたいんですか? そうなれば使用量と殘量にズレが生じるからすぐバレてしまいますよ」

「ええ、あなたはちゃんと早送りしていたと思いますよ」

「よかった、変な疑いをかけられるのかと」

コロコロと笑う名取さんを見ながら、どこか違和を覚える。

じっとその姿を見て見た。

綺麗に纏められた髪、しっかりされた化粧、ずっとびた手足。相変わらず綺麗な人なのだが……。

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