《視えるのに祓えない、九條尚久の心霊調査事務所》急な知らせ
その後結局、當たり障りない會話をして二人で食事を終えた。買ったデザートは半分伊藤さんに分けて一緒に味わった。程よい甘さとらかさはコンビニスイーツとは思えないクオリティで、さすが伊藤さんが勧めるだけのことはあるな、と心した。
寒空の中時間もすぎ、ようやく事務所へ戻ろうと腰を上げる。伊藤さんと並んでそのままいつものビルへとった。
さっきの発言の意図を尋ねる勇気もなく、私たちは普段通り笑いながらエレベーターに乗り込み、その後廊下を進んでいく。
そして伊藤さんが事務所のドアを開けようとした時だ。
それより先に扉が勢いよく開かれる。驚きでそちらを見ると、九條さんがどこか怖い顔で立っていた。私と伊藤さんは驚きで顔を引き攣らせる。
「九條さん? 一どうし」
「さん、一緒に來てください。
麗香が院しました」
突然そんなことを言われ、頭が真っ白になった。ほんの二日前に會った麗香さんの顔が思い浮かぶ。最後に私を見て笑ってくれた顔。麗香さんが、院?
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すぐに反応したのは伊藤さんだ。
「朝比奈さんが!? 一何があったんです?」
「除霊に失敗したと思われます」
「あの朝比奈さんがですか!?」
伊藤さんの聲がひっくり返る。私も信じられない言葉に聲すられなかった。
麗香さんは若いけど有能な除霊師で、有名な人だと九條さんたちは言っていた。実際その力を目の當たりにしたことがあるし、間違いない。その代わり、私たちよりずっと強い霊の依頼ばかりくるらしいが。
そんな麗香さんが除霊に失敗した? 信じらない。
「意識不明だそうです。なので大人數の面會は許されていません、伊藤さんは申し訳ないですが待っててもらえますか」
「そ、それはしょうがないですけど……」
「私もまだ詳細を聞けていないんです。影山さんから連絡をもらってすぐに來てしいと言われただけで」
「ああ、影山さんですか……」
二人のそんな會話を聞きながら、聞き慣れない名前にし疑問を持ったが、聞いている場合じゃなかった。私はようやく聲を振り絞る。
「わかりました、すぐに行きましょう!」
「とりあえず車へ。中でまた話します」
急いで飛び出す私たちを、伊藤さんが心配そうに見送った。私は一度だけ振り返り、行ってきますとなんとか聲をかけ、急ぎ足で九條さんの背中を追いかけた。
いつもの車に乗り込むとすぐに発進させた。まだ冷え切った車はシートも冷たくぶるっと震えがくる。でも、この震えは寒さじゃなくて恐ろしさからなのかも、と思った。
あの麗香さんが除霊に失敗して院だなんて。今どうなってるんだろう、まさかそんな危ない狀態だなんてことはないよね?
祈るように両手を握る私に、普段より低い九條さんの聲がした。
「除霊は100%功するものではありません」
「……はい」
「あの麗香でも、今まで失敗したことはありました。ですが、失敗を重ねて最終的には除霊は功させてきました。院するほど痛手を負ったのは初めてかもしれません」
「容はどうなんですか? 意識がないって……」
「一命は取り留めていますし、そこそこ安定しているようです。が、意識だけは戻らない。時間が経てば戻るのか、それとも何か目には見えないのせいなのか……」
ぞくっと寒気がする。もし麗香さんが除霊できなかった霊のせいだとしたら、これから麗香さんはどうなるんだろう。萬が一、なんてことがあれば……
泣きそうになっている私に、九條さんは勵ますように言った。
「先ほど言った影山さん、という方ですが、麗香よりさらに古くからこの世界では有名な除霊師です」
「え? 凄腕ってことですか!」
「はい。麗香は元々除霊方法は自己流ですが、それでも一応基本なことを學ぶために、一流の人の元で勉強していた時期があります」
「あ、聞いたことあるかも……」
確か一緒に銭湯に行った時だ。昔先輩について現場を回ったことがある、と言っていたような。私は顔を上げて九條さんにいう。
「それが、その影山さんという方なんですか!」
九條さんが頷く。
「麗香と今でも親しくしている人です。この業界ではあまりに有名な方です。その人が私に連絡してきてくれました」
「じゃあ、もし麗香さんが霊のせいで意識が戻らなかったとしても、その影山さんという人がなんとかしてくれますよね?」
「恐らく」
ほっとをで下ろした。私と九條さんは視えるだけで、祓う能力はまるでない。麗香さんを救うなんてことは到底できない人間なのだ。でも、そんなすごい人がそばにいてくれるなら一安心。麗香さんの師匠、みたいなじなのかな?
「よかったです……ちょっと安心しました」
「ですが、麗香が失敗した案件の詳細などはまだ聞けていません。それについても相談があると言われたので。まだまだわからないことがたくさんです。気を引き締めて行きましょう」
九條さんに言われて、またぐっと姿勢を正した。そうだよね、まだわからないことがたくさんある。麗香さんの様子も、ちゃんとこの目で見ないと安心できない。
靜かな車で、私は呟いた。
「麗香さん、この休みに會ってランチしたんです。その時は元気そのもので……そういえば、今來てる依頼もすごく面白そうだってワクワクしてました」
「彼らしいです」
「どんな依頼が來ていたんでしょう。あの麗香さんが院するほどの相手……強敵であることは間違いないでしょうけど」
想像するだけで震える。きっと私にはまるで相手にならない兇悪なものなんだろう。
一何が、麗香さんをこんなふうにしたのか。
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