暇なら読んでみて下さい。

( ^-^)_旦~

オーレンが目を覚ました次の日。

アニカはウォルトとともに朝食の準備をしている。に若干のだるさは殘っているものの、２日も眠っていたを揺り起こすように、積極的にきまわる。

「そんなにいたら、また傷が開くよ」

優しいウォルトさんは気遣ってくれるけど、どこも痛くないのにジッとなんてしてられない。私はそういう分なのだ！

「大丈夫です！痛みもないし、迷でなければ手伝わせて下さい！」

をかしている方が落ち著くので、恩返しも兼ねて手伝いたいと伝えた。

「わかった。ただし、しでもに違和をじたら、すぐ休むと約束してくれる？」

「わかりました！」

そうは言ったものの、手際よく調理するウォルトさんを見て『何か手伝えることあるかな…？』と不安になる。私は料理が得意じゃないのだ。

獣人には詳しくないけど、聞いた話だと獣人の男は料理が苦手だと云われているはず。でも、ウォルトさんはそんな雰囲気を微塵もじさせない。オーレンのために、わざわざ消化に良いカーユを作ってくれている。

カーユは米(マイ)という穀を刻んだ野菜などと一緒にらかくなるまで煮たもので、の弱った病人でも食べることができる家庭料理。

ちなみに、ウォルトさんの腕は皮でモフモフしてるけど、手や足の作りは人間と変わらないし、貓のような球もない。

特製だと思うけど、料理中は長い手袋をはめてが料理にらないようにしている。

「よし。できたよ。オーレンのところに運んでもらっていいかい？」

「わかりました！」

カーユをけ取ると、オーレンが安靜にしている部屋に向かって覗いてみる。すると、ちょうどベッドから下りようとしていた。

驚いて、すぐさま聲をかける。

「何してんの？！まだ寢てなきゃダメだよ！」

「大丈夫だよ。も全然痛くないし。アニカだっていてるだろ？」

忠告を聞く気が無いようなので、厳しい口調で告げる。

「ほとんどミイラ狀態のくせに、傷が開いたらどうすんのよ！オーレンのほうが傷は酷かったんだから！ウォルトさんが大丈夫って言うまで、じっとしときなさいよ。とりあえず朝ご飯持ってきたから食べて！ほら！」

「解ったよ…」

渋々といったじで、オーレンはベッドに戻る。まったく…油斷も隙も無い兄貴分だ。

「カーユだ…。ありがたく頂きます」

「ウォルトさんが作ってくれたんだから、ゆっくり味わって食べなさいよ」

「わかってるよ。ウォルトさんに無禮はできないからな」

昨夜、オーレンが目を覚ました後、しだけ話したときにウォルトさんのことを伝えた。助けて保護してくれた事実を聞いて、涙を流して謝していた。

オーレンは熱々のカーユをスプーンで掬って口に含む。

「ただのカーユに見えるけど、めちゃくちゃ味い…。これは何ていうか…五臓六腑に染み渡るというか…」

よほど味しかったのか、あっという間に平らげてしまい、仕上げとばかりに水をグイッと飲み干している。ちゃんと元気を取り戻しているようでホッとする。

「ふぅ～。生き返る…。カーユをこんなに味いと思ったのは初めてだ」

「ウォルトさんの料理は味しいよね。私も味見で食べたけど、が楽になった気がするんだよ」

「確かに。けど、見た目には何かってるようなじはしないけどなぁ？」

オーレンが言うように、どこをどう見ても普通のカーユにしか見えないんだけど、気のせいじゃないと思う。

「実は、薬草がってるとかかな？」

「可能はあると思う。あとでウォルトさんに聞いてみよう」

そうだね、と食を片づけてウォルトさんの元へ戻った。

「オーレンは食べてくれた？」

笑顔で聞かれる。ウォルトさんは表も口調も全てが優しい。

「はい！凄い勢いで食べてました。味しかったそうです」

「それはよかった」

「私も手伝います！」

引き続き自分達の朝食を準備してくれるようなので、隣に立って手伝いながら気になったことを聞いておこう。

「ウォルトさん。ちょっと聞いてもいいですか？」

「なんだい？」

「ウォルトさんの料理は回復効果があるようにじたんですけど、気のせいですか？」

それを聞いたウォルトさんは、心したような表を見せてくれた。

「いや、合ってるよ。薬草というか、回復薬をれてあるんだ。しだけね」

「やっぱり…。そんな高価なものを…なんてお禮を言ったらいいのか…」

回復薬は、駆け出し冒険者では手が出ないほど高価なモノだ。量でも値が張る。私達では買うことすらできない代。

「気にしなくていいよ。ボクが森の薬草から調合したものだから、お金もかかってないしね」

「えっ！？回復薬って薬草から作るんですか？ウォルトさんって、もしかして錬金師だったり？」

「違うよ。ボクの師匠が教えてくれたんだ。普通に売られてる回復薬とは製法が違うかもしれないけど、それなりに効果は高い。別に伝でもないから、知りたいなら教えようか？」

まさかの提案に、驚きとともに目を見開いて鼻息荒く答える。

「是非、お願いします！今後もきっと使う機會があると思うので！もちろん、ウォルトさんが教えていいと思う範囲で構いません！」

目を輝かせていると、碧い目で見つめられる。

「解った。今後も使うかもってことは…アニカは冒険者を辭めるつもりはないんだね？」

「はい！助けられた命で、また危険な世界に戻るのは申し訳ない気持ちもあります…。だけど…冒険者になるのは、小さな頃からの夢だったんです！」

本當に怖い験をした。きっと魔に殺されなかったのは運が良かっただけ。それでも、不思議と冒険者を辭めたいとは思わない。

元気になったらもっと鍛えて、２人でアイツにリベンジしたいと思える。

オーレンはどう思ってるか解らないけど、きっと同じことを考えてる。冒険者になりたい意志は、昔からオーレンの方が強かったから。

ウォルトさんは料理していた手を止めて、こちらに顔を向ける。

「アニカの人生だよ。気にせず、好きに生きていいと思う」

目を細めながらそう言って微笑んでくれた。

その後、出來上がった朝ご飯を居間のテーブルに運んで２人で食べる。

「いただきます！……めちゃくちゃ味しいです！」

「ありがとう。お代わりもあるよ」

ウォルトさんの料理は見たこともないものだ。獣人が好む料理なのかもしれないけど、私は食べたことない。

とんでもなく味しくて、冗談でもお世辭でもなく今まで食べた料理で１番味しかった。

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