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( ^-^)_旦~

薬の調合を學んだ次の日。

今度はオーレンがけた傷の回復合を確認することになった。

私と同様の説明をけたオーレンは、「傷は冒険者の勲章ですから！男ですし、気にしません！」と斷言してるけど……ホントのところは違う。

「ウォルトさん…。オーレンは派なので、傷痕で箔を付けようとしてるんです。の子に「これは魔と闘ったときの傷なんだぜ！凄いだろ！」とか偉そうに言ってる姿が目に浮かびます」

「そんなことのために、傷付けるわけないだろ！ふざけんな！ウォルトさん！違いますからね！」

私達にとっては日常茶飯事の下らないやりとりだけど、ウォルトさんは笑ってくれた。

「じゃあ、包帯を外すよ」

「お願いします！」

ゆっくり包帯は解かれていく。わになっていく自分のを見たオーレンは、驚きを隠せないでいる。

「完全に治ってる！？？」

アホ面のオーレンを見ながら、うんうんと頷く。驚く気持ちはよく解る。実は見ていた私も同じくらい驚いてる。なぜなら、オーレンの方が傷も深くて重癥だったはずだから。本當に不思議だ。

「傷はもう大丈夫だね。アニカと同じで、うっすら傷痕が殘ってしまったけど…」

治療してくれて、傷痕まで気にしてくれる優しい恩人。でも、そんなことないから気にしないでしい。

「オーレンはもっと傷痕があるくらいで丁度いいです！むしろ、治りすぎてるくらいです！」

「何でお前が答えるんだよ！」

「うるさいなぁ…。男のくせに」

「男なのは関係ないだろ！」

言い爭うほど元気になった２人を見て、ウォルトは思わず笑みが零れた。

★

傷の回復合を確認したあとは、今日も薬の調合について學ぶ。容は昨日と同様で真新しいことはない。

繰り返し作ることによってコツを摑んで、自然と手際もよくなり、尋ねることなく作ることができるようになってきた。

「うん。基礎はもう充分だね。あとは機會をみて自分達でとにかく作ること。作れば作るほど調合は上達するからね」

「ありがとうございます！あとは自分達で勉強します。貴重な経験ができました」

「でも、俺達はなんのお返しもできないのに、こんな技を教えてもらって良かったんですか？」

薬の調合なんて普通教えてもらえない。それを生業としている者からすれば死活問題だ。

直に學んだから解る。ウォルトさんがその気になれば、冒険者や一般人相手に商売して一儲けすることも可能だ。

駆け出し冒険者の私達ですら解るほど、ウォルトさんの作る薬と調合技は凄い。教えるのも上手い。優しく丁寧で解りやすい。

「構わないよ。前にも言ったけど、ボクが考えたモノじゃないからね。それに、ボクはお人好しじゃないから教える相手は選ぶよ。君達なら正しく知識を使ってくれると思ったんだ」

笑顔を見せてくれるウォルトさんに向かって、ずっと気になっていた疑問を口にする。

「ウォルトさんは…なんで私達みたいな出會ったばかりの新人冒険者を信用してくれるんですか？」

オーレンも同意見だったようで隣で頷いてる。

「信用してる…とはし違うかもしれないけど」

そう告げたウォルトさんは、しだけ思案したあと「ちょっと付いてきてくれるかい？」と席を立った。

★

案された場所は、住み家の裏手。

し離れた森の中に、幾つかの十字架が立てられているのが見えた。

「あれは…？」

「オーレンとアニカのように、ボクがこの森で出遭った冒険者達の…墓なんだ」

「「冒険者の！？」」

まさかの答えに驚いて固まる。どういうことなのか。

「そう。ボクが埋葬した」

真剣な表でウォルトさんは続ける。

「怪我を負っていて、治療したけど間に合わなかったり、発見したとき既に亡くなっていた冒険者が眠ってる。聞けば名を挙げようと魔に挑んで敗れた者がほとんどだった。君達のように若かったよ」

「この森であんなに…」

十字架から目が離せない。オーレンも黙って見つめている。

「埋葬できたのは、きっと森で倒れた冒険者や旅人のほんの一部なんだ。おそらく実際に亡くなってる人はもっと多い。獣や魔に食われて人知れず土に還ってる冒険者もいるはずだよ」

私達は決して自ら強大な魔に挑んだわけじゃない。けれど、１歩間違えればああなっていたのかと思うとゾッとする。

ウォルトさんは言葉を続けた。

「冒険者はいつだって死と隣り合わせだよね？」

「はい」

「今回、に染みてじました」

２人とも無事だったことや、味しい料理を食べて元気を取り戻したことで恐怖が薄まってはいる。でも…思い返すと、魔と対峙した恐怖の景は鮮やかに脳裏に蘇る。

「彼らは…亡くなる直前まで後悔してたんだ」

十字架に目を向けたままウォルトさんが呟く。

「…何をですか？」

「冒険者になったことを…だよ」

「「！」」

「『冒険者になんてならなければよかった』『甘く考えてた』『まだ死にたくない』って後悔してた。…最初は、夢や希に満ち溢れていたはずなのに」

ウォルトさんは目を細める。

「助かった冒険者もいるんだ…。皆、冒険者をやめると言ってたよ。これからは靜かに暮らすと…。後癥が殘った人もいたし、それも當然だと思う。でも…君達は違った」

私達に向き直って、真剣な眼差しを向ける。

「自分達より遙かに強い魔に遭遇しても勇敢に闘って、一歩間違えたら命を落とすほど恐ろしい目に遭ったのに、夢だった冒険者に戻ると言ったね。ボクは…君達のような若者に初めて會った。そんな２人を…応援したくなったんだ」

返す言葉が出ない。そんなことを思っていてくれたなんて。

ウォルトさんは微笑みながら、優しく語り掛けてくる。

「この先、君達の冒険に何が待ちけているか分からない。これからの冒険で、知識をしでも役立ててくれたら嬉しいよ」

「「…ありがとうございます」」

がいっぱいになって、それだけしか答えられなかった。

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