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( ^-^)_旦~

森の住み家で、ウォルトはそわそわしていた。今日は、し前に知り合った２人の冒険者が訪ねてくる日だ。

たまたま森で倒れていたのを助けたことが縁で、嬉しいことに今でも流が続いている。

『そろそろかな？』

待ちわびていると玄関のドアがノックされた。ピン！と耳を立てて玄関に向かって、おもむろにドアを開けた。

そこには笑顔のオーレンとアニカの姿があった。

「ウォルトさん。こんにちは！」

「またお邪魔しにきました」

２人は元気良く挨拶してくれる。いつも気持ちがいい。

「やぁ。いらっしゃい」

「今日はウ・サギを倒せました。コイツは食えますか？」

オーレンはウ・サギという耳の長い小さな獣型の魔を仕留めていた。耳を持ってぶら下げている。

「ウ・サギのはクセがあるけど、調理次第で味しく食べられるよ。晩ご飯で出そうか」

「やった！もうし、外で狩りをしてきていいですか？」

「うん。あまり奧に行かないよう気を付けて」

２人と出會ってから、もう１ヶ月。すっかり元気になったオーレンとアニカを見て微笑む。

聞いたところによると、オーレン達は住み家を離れたあと街に戻って直ぐにギルドへ向かった。

事を説明したら、その場にいた皆が無事に戻ったことを喜んでくれたみたいだ。やっぱりクエストの途中で逃げたと思われていたらしい。冒険者にはよくあることだと。

その後の２人は、新人冒険者らしくコツコツとクエストを達して、ギルドに貢獻していると聞いた。作り方を教えた薬も、冒険の役に立っているようでなにより。

別れのあと、直ぐに２人が訪ねてきた時は正直驚いた。過去、回復して森を去った冒険者や旅人の中に、再び此処を訪ねてくれた人はいなかったから。

それも當然だと思う。命を落としかけた森に２度と近付きたくないという気持ちは理解できるし、出來る限りのことはしたつもりだけど、お禮をしてしくて治療したわけじゃない。

今日２人に來たもらったのは、以前伝えられなかった魔法のことを伝えるためで、こちらから聲を掛けた。

話はとりあえず後にするとして、夕食の準備を始めた頃、アニカだけが戻ってきた。

「私も準備手伝います！」

アニカは元気一杯で隣に立つ。元気溌剌で、笑顔が可いの子だ。

「まだ狩りをしてても良かったんだよ？」

「料理も、魔やを捌く勉強になります！邪魔でなければ手伝いたいです！」

屈託のない笑顔でそう言われて、それならばと遠慮なく手伝ってもらう。夕食の準備を終えると、オーレンを呼びに行ってもらった。

★

オーレンが「味いっ！これがあの魔なんて…信じられない」とバクバク食べ進めると、隣でアニカも「味しいぃ～！何を作っても全部味しいなんて…。ウォルトさんって、もしかして料理の天才なんじゃ？」とオーレンよりパクパク食べ進めている。

やっぱりオーレンの言う通り、アニカは食いしん坊なんだな。気にしてるみたいだから、口には出さないでおこう。

「大袈裟だよ。抜きも上手く出來てたし、２人とも料理も狩りも腕を上げてるね」

夕食をキレイに食べきって後片付けを終えると、２人に改めてテーブルに著いてもらう。

「２人とも忙しいのに、呼んでしまってごめんね」

「ウォルトさんに呼ばれたら、俺達はいつでも來ますよ」

「最優先事項です！」

２人は笑顔でそんなことを言ってくれる。嬉しい限りだ。

「ありがとう。それで本題なんだけど…今日は２人に話したいことがあって」

「はい。なんでしょうか？」

２人には、ウォルトがちょっと張しているように見えた。空気が微かに張り詰める。

「実は…。ボクは２人に伝えてないことがあって…」

「「伝えてないこと？」」

やっぱり口に出すのは勇気がいるな…。でも、このためにわざわざ來てもらった。言わないわけにはいかない。

意を決して語り出す。

「ボクは……魔法が使えるんだ。２人の怪我を治すのにも、実は回復薬じゃなくて『治癒』の魔法を使ってた」

アニカ達は驚愕の表を浮かべる。

「ウォルトさんが…？」

「魔法を使える…？」

「２人も知ってると思うけど、獣人は魔法を使えないって云われてる。今まで誰にも信じてもらえたことがないから、あの時は言えなかったんだ。黙っててゴメンね」

自分でも耳とヒゲが力無く垂れ下がったのが解る。謝罪の言葉を聞いた２人は、黙り込んでしまった。

『やっぱり信じてもらえないか…』と苦笑したが、ホントのことを伝えることができた。それだけで気持ちは晴れている。

『これで話は終わりだよ』と口を開こうとした瞬間…。

「すっげぇ～！！」

「凄いです！！」

２人は同時に聲を張り上げた。耳をパタンと閉じてのけ反る。

「魔法を使えるなんて凄いです！！」

アニカは満面の笑みだ。

「だよな！獣人で使える人は今までいなかったかもしれないけど、ウォルトさんは使えるなんて凄い！」

オーレンも興している。

２人には、微塵も疑っている様子はない。

「ボク的には、ホントに？とかそういうじだと思ってたんだけど…。信じてくれるの？」

「「當然です！」」

２人の即答に表が綻ぶ。

純粋に嬉しかった。まさか、すんなり信じてもらえると思ってなかったから…。

アニカが言った「いろんな獣人がいるんですよね？」という臺詞が脳裏をよぎる。

「でも、それが何で謝ることになるんですか？」

「俺達が信じやすいように黙ってくれてたんですよね？」

「２人に薬で治療したって言ってしまったから、何処かで噓つき扱いされるかもしれないと思って…。回復薬では、傷は治せても消すことはできないんだ」

「「へぇ～！そうなんですね。知らなかったです！」」

気に留める様子も無くニンマリ笑う２人。その笑顔を目にして『伝えて良かった』とをなで下ろす。

「ちなみに、ウォルトさんはどの位魔法が使えるんですか？」

興味津々な様子でアニカが聞いてきた。そういえば、アニカも魔法を使えると言っていたことを思い出す。

「どの位というと？」

「詠唱できる回數とか、種類とか」

「回數は解らないなぁ…。種類は…數えたことないけど３０くらいかな？」

「「え…？」」

「ん…？」

「３じゃなくて？」とアニカが聞き直してきたけど「いや、３０だよ」と答える。

「「……………」」

「………？」

どうしたんだろう？何かおかしなことを言ったかな？

「「えぇぇぇぇぇぇ！！？」」

２人の聲に驚いて、また耳を閉じる。タイミングが送れて耳がキィーンとなる。ここが森の中じゃなかったら苦が出るレベルの聲量だ。

「そんなに驚くことかな？」

「驚きますよ！一応、私も魔法を使えるんですけど、幾つ使えると思いますか？」

アニカの問いに、しばし思案する。

『う～ん…。生活魔法と戦闘魔法と他の魔法で……冒険者になろうというくらいだから、多分…』

「１０個くらい？」

『どうかニャ？』とか言いそうな顔で答えてみた。

「全然違います！４つです！生活魔法を３つと、戦闘魔法が１つです！これでも結構驚かれるんですよ！」

「へぇ～」

知らなかったなぁ。ちょっと大袈裟だったのか。

「ウォルトさんを信じてますけど…３０個はちょっとだけ信じ難いです…」

ボクが使えなさそうに見えるのは理解できる。何故なら獣人だから。…とはいえ、噓じゃないと伝える何か良い方法は無いか考えてみる。

「じゃあ、今日はもう遅いから、明日実際にボクの魔法を見せようか？」

「是非、お願いします！」

「今でも、ちょっとなら見せられるよ」

「「え？」」

「はい」

立てた人差し指の上に、人の頭ほどの炎を発現させた。これは『炎(フィア)』という魔法。それを指先に燈る程度まで小さく変化させて、そのままテーブルに置かれたランプに燈を點す。

これで魔法をれるのは解ってもらえるはず。今日はそれだけでいい。

「ね？」

「「…………」」

２人は何故か固まってかない。

「どうかした？何か変だった？」

「いえ。何でもないです…。とりあえず、今日のところは休みます。オーレン、部屋に行くよ」

「あ、あぁ…」

アニカはオーレンの手を引くようにして來客用の部屋へと向かった。

２人の言に違和をじたものの『まぁいいか』と、いつものように機に向かった。

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