《モフモフの魔導師》21 久々の訪問

暇なら読んでみて下さい。

( ^-^)_旦~

の再會から數分後。

ウォルトとマードックは、サマラの同僚であろう店員たちに囲まれ、問い詰められていた。

「サマラちゃんになにしてるんですか!」

「付き纏ってるんですか!衛兵を呼びますよ!」

ヒドい言われようだ。そんなに怪しく見えるかな?サマラのことを守ろうとしてくれてるんだろうけど…。

サマラは抱きついたまま泣き続けていて弁解してもらえず、マードックは『サマラは俺の妹だ!』と説明したんだけど…。

「噓でしょぉぉぉ?!」

「全っ然、似てない!吐くならもっと上手い噓にしなよ!」

「サマラちゃんは狼だけど、貴方はゴリラの獣人じゃない!どんな噓よ?!」

集中砲火を浴びて、不貞腐れていた。強面獣人のマードックを相手に、1歩も引かない同僚達。は逞しい…。

一方、ボクはというと…。

「貴方は……うん。獣人にしては痩せ型で、良い型ね。ローブも似合ってる」

初めて言われたけど悪い気はしない。

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「確かにモデル型だわ。貓みたいでカワイイし、悪い人ではなさそうね」

貓みたいではなく貓だけど。

「サマラちゃんが懐いているから、悪い獣人じゃないわね!」

最早、見た目は関係ないんだね。

とりあえず、好意的にけ止めてもらえて良かった。日頃の行いの差かな。マードックには「同じ獣人なのに不公平すぎんだろ!」と言われたけど。

その後、どうにか従業員達の誤解を解いて、納得して帰ってもらった。

しかし……サマラが離れてくれない。

こんなところを、もし知ってる誰かに見られたら……と気が気じゃない。誰かと番になろうという若い娘が、見知らぬ男に抱きつくのはよろしくない。

とはいえ、ボクも離れがたい。仕方なく頭をで続けていると、やがてサマラも落ち著いたようでようやく離れてくれた。

「ウォルト!私に會いにきてくれたんだよね?」

赤い目をしたサマラが笑う。

「そうだよ」

「今日は街に泊まるの?」

「決めてないんだ。サマラに會えたから、どっちでもいいんだけど」

「じゃ、泊まっていって!家、部屋あるから!マードック、いいよね?!」

とびきりの笑顔で泊まりのおい。マードックを見ると、コクリと頷いた。

「じゃあ、お言葉に甘えて泊まっていこうかな」

「やった!晩ご飯は、腕によりをかけちゃうよ♪」

「ふんふふ~ん♪」

その後、街で食材を調達した3人は、マードック兄妹の家に向かう。ご機嫌な鼻歌を奏でるサマラは、2人のしだけ前を悠々と歩いている。

そんなサマラの後ろ姿を見つめて微笑む。

マードック達の両親は故郷の町で暮らしていて、この街に住んでいるのは兄妹2人だけ。

「今もあの家に住んでるのか?」

「お前がいた頃と変わってねぇよ。引っ越すのも面倒くせぇしな」

2人は、ボクが街に住んでいた頃と変わらぬ場所に住んでいるらしい。

「ウォルト!そろそろ著くよ!」

「うん。場所は覚えてる」

「そっか!」

家に到著するや否や、サマラは臺所に向かう。

「ボクも手伝おうか?」

「大丈夫!今日は任せて!座って待ってて!」

サマラは昔から料理が好きで得意だった。食べさせてくれた料理が、とても味しかったのを覚えてる。

直ぐに臺所から軽やかな鼻歌が聞こえてくた。とても楽しそうだ。

しかし…落ち著かない。この家は、あちこちにサマラの匂いがちりばめられていて心がれる。

そんなことを考えていると、マードックはどこからか酒を持ってきて、ドン!とテーブルに置くと、手酌でぐいぐい飲み始めた。どこか腹立たしそうに…。

ここで、気になっていたことを聞いてみる。

「もしかして…あの娘たちに言われたことを気にしてるのか?」

「はぁ?!そんなわけねぇだろ!俺がゴリラの獣人に見えるっつうことは、すげぇ力があるように見えるってことだろうが!」

誰もそんなこと言ってない。けど、これでハッキリした。

『思いっきり気にしてるな…』

獣人は、や獣が長い年月をかけて進化した存在と云われていて、それぞれの種族の特徴が濃く殘るとされている。

犬の獣人なら総じて嗅覚が優れていて足が速い。ゴリラや熊の獣人なら力が、貓なら俊敏が優れているといった合だ。

だから、マードックのように狼の獣人なのに異常に力が強い、というのは結構珍しい。だからこそ、ゴリラの獣人に間違えられるんだけど…。

獣人は、己の種族に誇りを持っているので、なからずショックだったのだろうと、マードックの気持ちを察した。

『そっとしとこう…』

しばらくして「それにしても… 悪ぃな…」とマードックが呟く。

「なにが?」

意味が解らなくて聞き返した。マードックには何もされてない。

「久しぶりにお前に會ったっつうのに、サマラは……結構、普通なじで…。…お前のことは吹っ切れてるっつうか…。すまねぇ…」

なるほど。サマラがボクのことを気にしている様子がないことを気に病んでるのか。この狼の友人は間違いなく『脳筋』だけど、は優しくて気遣いもできる。

サマラは好きな男ができたら、昔のことに未練なんか微塵もじないはず。そもそもボクのことが好きだったかも解らない。マードックはそう言ったけど。

「お前…今、失禮なこと考えなかったか?」

ジロリと見てくる。顔に出てたかな?と思いながら、無視して答える。

「サマラはボクみたいに過去に囚われず、ちゃんと前に進んでる証拠だ。それに、ボクの意志で來たんだから、どんな結果になってもお前が気に病む必要はないんだ」

もしかしたら會ってくれないかもしれない…と想像していた。

再會した時、聲を上げて泣いてくれた。普通に會話してくれる。それだけで充分だ。ボクの心は満たされてる。

「これ以上何かをんだら、罰が當たるんじゃないかと思う」

「そうかよ…」と酒を煽ったマードックが、「全然話は違うけどよ」と別の質問をしてくる。

「お前、冒険者に興味はねぇか?」

「なんだ、いきなり」

「お前が強ぇのは解った。けど、魔法も全部見せてねぇだろ?」

「そうだけど、それがどうかしたのか?」

「自分がどれだけ強いか、試してみてぇと思わねぇか?」

しだけ思案して答える。

「思わない…な」

「けどよ、お前も獣人だ。力を示したいだろ」

「その気持ちはないとは言わない。今日の闘いでも、やっぱり自分は獣人なんだって再確認した。けど、今のボクに冒険者は無理だ」

「何で?」

「今の暮らしが好きなんだ。冒険して命のやり取りをしたいとは思わない。それに…今はまだ住み家を出るわけにはいかない」

「そうか…。しょうがねぇな」

ってくれたのにすまない。でも、冒険する時があったら聲をかける」

「あぁん!?絶対だぞ!忘れんなよ!」

「あ、あぁ。約束する」

そんな時が來るかな?と思いながらも、冒険者になった自分を想像して、ほんのしだけ心が高揚した。

読んで頂きありがとうございます。

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