《モフモフの魔導師》33 怪我の功名?
暇なら読んでみて下さい。
( ^-^)_旦~
ザァザァと雨が降り止まない晝下がり。
ウォルトは軽く晝食を終えると、今日は家に籠もって研究三昧と考えていた。
研究といっても、何かの真理に迫るとか、魔改造を極めるといった大層なものではなく、主に魔法の改良と新たな薬の開発。研究というより、考案といったほうが正しいのかもしれない。
機に向かって『今日は魔法の改良をやろう』と意気込んでいたら、コンコンと玄関の扉がノックされる。
こんな雨の日に誰だろう?と玄関へ向かう。
雨の日は、雨の匂いと音で自慢の五も鈍るので誰だか判らない。扉を開けるとアニカが立っていた。傘もささずに來たのかずぶ濡れだ。
「ウォルトさん…。こんにちは…」
「どうしたの!?そんなに濡れて」
「突然、ごめんなさい。ウォルトさん……私、もう冒険者を辭めるかもしれません…」
アニカの突然の告白に、険しい表を見せる。
「話はあとだ。とにかく中にって」
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「お邪魔します…」
アニカ達がいつも使っている部屋で、の手れと著替えてもらいながら、溫かいお茶を淹れる。服は、寢間著代わりの貫頭しかない。
年頃のに申し訳ないけど、服を持っていないので我慢してもらうしかない。
その頃、服を渡されたアニカは、濡れた服を著替えようとしていたが…。
『これは…。大丈夫かな?』
しばらくして、アニカが部屋から出てきた。何の気なしに目をやると、丸い目がさらに丸くなる。
ちゃんと、渡した貫頭を著てる…。でも、明らかにサイズが大き過ぎる。
元はがっつり空いて、丈が中途半端な長さのワンピースみたいだ。太から下の生足がわになってしまっている。アニカは、ほんのり頬を赤く染めて恥ずかしそうだ。
『これはダメだ!判斷を誤った!』
直ぐに目を逸らす。あられもない姿に著替えさせた挙げ句、見てしまってホントに申し訳ない。
『どうにかしなきゃ』と考えを巡らせるうちに、あることを閃いて目を逸らしたまま話し掛ける。
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「アニカ。に合わない服を渡してゴメン!ちょっと思いついたことがあるから、濡れた服を持ってきてくれないか?」
すると、意外な答えが返ってきた。
「乾くまで、この服のままでいいんですけど」
ちょっと聲が元気になってるような…。
「良くないよ!の出が多すぎる!いや、ボクのせいなんだけど…。大きな聲を出してゴメンね…」
さらにアニカが呟く。
「ウォルトさんが揺してるなんて…。珍しいですね♪」
「いいから、早く持ってきて」
耳が良いから丸聞こえだ。
「このままでいいのに…」
アニカは渋々といった口調で、濡れた服を持ってきてくれた。出來る限りアニカを見ないようにしながらそれをけ取ると、部屋干し用のロープに服を引っ掛ける。
「今日、試そうとしてた魔法を使う良い機會だ」
「新しい魔法を試すんですか?」
「うん。新しくはないけど、魔法の改良をしてみようと思って」
「魔法を改良?そんなことできるんですか?」
「改造じゃなくて、改良だから何かが大きく変化する訳じゃないよ。ちょっと便利になる、くらかな」
「へぇ~!近くで見ていいですか?」
アニカがすぐ隣に來て、思いがけず空いた元が視界にる。斷じて見ようとしたわけじゃないけど、目をギュッと瞑った。
顔が熱い…。自分でも解る。多分、顔が真っ赤に染まってる。
その反応は、目ざといアニカに気付かれていた。
『ウォルトさんが真っ赤になってる!めっちゃ可い!こんな一面を見れるなんて…ちょっと恥ずかしいけど、怪我の功名!』
初めて照れた表を目にして、落ち込んでいたこともすっかり忘れて小悪魔全開の笑顔で次の行を待つ。
し経って落ち著きを取り戻したウォルトさんは、こっちを見ないようにしながら説明を始めた。ホントに…真面目な獣人だ。
「魔法には生活魔法や戦闘魔法があるのは知ってるよね?」
「はい。あと補助魔法や付與魔法なんかもそうですよね」
グイッ!とウォルトさんの視界にろうとしたけど、見ないようにの角度を変えられてしまった。素早い…。
ただ、今はらしさをアピールするチャンス。逃してなるものか!
「その通り。今からやるのは、戦闘魔法を組み合わせて、生活魔法として使えないか試してみようと思う」
「そんなことができるんですか?」
「解らないから試してみるんだ。服は痛まないように魔法を調整するから、心配しなくていいよ」
ウォルトさんはしだけ神統一して魔法を発する。
右手には炎を、左手には渦巻く風を発現させた。これには目を見開いて驚いた。
『えっ!これって、魔法の多重展開じゃ…』
魔法を2つ以上同時に発するのは不可能だって云われてるはず。でも…ウォルトさんは容易くやってのけた。どういうこと?
混しながら見ていると、そのまま両手をゆっくりと重ね合わせるようにして、干した服を目がけて解き放つ。
すると、溫かい風が優しく吹き抜けて、服が前後に揺れると同時に水蒸気のような煙が立ち上った。
「功したと思う。ちょっと服にれてみて」
濡れてびちょびちょだった服をって驚く。
「ほとんど乾いてます!」
「魔法の配分をし間違えたと思う。微調整したら、次からは大丈夫だと思う。この魔法は、名付けるなら『速乾(カーク)』ってとこかな。もうとっくに誰か使ってるだろうけど」
その言葉の通り、もう一度魔法をかけた服は完全に乾いてしまった。
「乾いたし、著替えていいよ」
相変わらず視線を外したまま著替えを促してくる。…そういうわけにはいかないんです。
「このままでいいんですけど」
まだまだウォルトさんの照れる表を見たい!拒否気味に告げてみる。
「駄目だよ!ただでさえ、さっきまでずぶ濡れだったんだから!熱が出るよ!」
ウォルトも「これ以上は心臓に悪すぎる」と、珍しく強い言葉を発した。
「むぅぅ~!じゃあ、著替えてきます!!」
アニカは頰を膨らませたまま、ドスドスと不機嫌そうに部屋に戻った。部屋にったのを確認して、ホッとをなで下ろした。
『アニカは、ちょっと無防備すぎる…。今度オーレンに注意してもらおう』
著替えてきたアニカと淹れ直したお茶を飲む。訪ねてきたときより元気になってるようで、それだけは良かった。
「アニカの話を先に聞かなきゃいけなかったのに…。本當にごめん」
「いえ。いいんです。珍しいものが見れました」
魔法の多重発に、ウォルトの照れた表も見れたことでアニカは満足だった。
「冒険者をやめるかもしれない、っていうのは何故だい?」
「それは…この間教えてもらった魔力の調整がどうしても上手くならなくて行き詰まっちゃって。私には才能が無いんじゃないかって…」
「なるほど…」
アニカは才能かな魔法使いだ。ボクとは比べものにならない可能をめている。それでも、行き詰まることはある。
どう助言すればいいか悩んでいると…。
「でも、もういいんです」
「?」
「ウォルトさんの魔法を見て思ったんです。魔法を使うだけじゃなくて、いろんなことを試して、失敗しても『次こそは!』って気持ちが大事なんだって」
「アニカ…」
「だから、教えてもらうだけじゃなくて、自分で考えて悩んでにつけなきゃいけないんです。やる気出ました!ありがとうございます!」
「うん。その意気だ」
「何も言ってないのに、問題解決しちゃうウォルトさんは凄いです♪」
「完全にたまたまだよ」
「あと、ウォルトさん」
「なんだい?」
「今日、雨やみそうにないし、傘も持たずに來たんで泊まってもいいですか?」
「構わないよ。食材も充分あるしね」
『よっし!邪魔者(オーレン)がいない初めてのお泊まりだ!またあとで貫頭も著ちゃったりして…ぐふふ!』
アニカは心の中でガッツポーズを決める。
再び玄関がノックされた。「私が行きます」とアニカが玄関に向かう。
扉を開けると、そこには傘をさした笑顔の邪魔者(オーレン)が立っていた。
「あれ?いつの間にかいなくなったと思ったら、お前もここに來てたのか?いやぁ、剣でちょっと行き詰まってさぁ~。雨で稽古もできないし、助言もらいにきたんだよ。ウォルトさんは?」
「家、間違えてますよ?」
ニッコリ笑ったアニカは、素早くドアを閉めて鍵をかけた。
ウォルトさんと2人っきりでゆっくりしようと思ったばかりなのに、邪魔されてなるものか!
「開けろ!おい、アニカ!開けろって!ふざけんな!おい!」
オーレンは、ドンドンと扉を叩く。
「どうしたの?」
その後、ウォルトに招きれられたオーレンは、ウォルトの提案で泊まっていくことになったのだが、帰るまでアニカに睨まれ続けた。
★
次の日。
帰路の途中で、オーレンがウォルトから聞いた貫頭の一件をニヤニヤしながら注意すると、ボコボコになるまで毆られて森に捨て置かれた。
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