《パドックの下はパクチーがいっぱい/子大の競馬サークルの先輩が殺された?著ぐるみの中で?先生、どうする? 競馬ファン必見、妖怪ファン必見のライト・ラブリー・ミステリー》6 當て字だらけの捻った名前
「植込みのところに先生が倒れていて」と、メイメイが説明を続けている。
「意識を失ってるみたいで、急いで人を呼びに行って」
醫務室に運びこまれたのだという。
メイメイ(依依)は、紅焔子大の三回生。
教え子の一人である。
「原因はここではわかりませんので、病院で何らかの検査をしていただかないといけませんが」
看護師は、ここでできるだけのことをはしてくれるようだ。
「これまでも、こういうことがあったとか、心當たりはありませんか?」
心當たりはない。急に意識を失うなど……。
「、かせますか?」
「大丈夫みたいだ」
恐る恐る腕や足を上げ下げし、首を回し、を捩じってみたが、痛いところはないし、どんな違和もない。
「怪我はないようだ」
「ええ。呼吸や脈拍も安定していますし、心電図も中酸素濃度も正常です」
ミリッサはゆっくり大きく息を吸い、吐き出した。
急速に意識がしっかりしてくる。
「念のため、救急車を呼びましょう」
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「いえ、それには及びません」
ミリッサはを起こし、に異常がないことを確かめるとベッドから降りようとした。
「大丈夫です」
醫務室のドアが開いた。
「先生!」
「遅いよ、ハルニナ先輩!」
フウカの叱責を無視し、ハグでもしそうな位置にハルニナが立った。
「もういいんですか?」
「ああ、大丈夫だ」
先ほど見たあの記憶の斷片は実際あったことだろうか。
記憶とは違い、ハルニナは心配顔だ。
やはりあれば、幻影だったのか……。
ミリッサは疑問を口にすることはなかった。
看護師が點滴の針を抜き、書類を突き付けてきたからだ。
後ろでジンがフウカに言っている。
先輩って言ったでしょ。
そりゃ、こういうときだもの。
「ここにご署名を」
彼の働きを証明するために。
ミリッサはできるだけ丁寧な文字で「mm差」と記載した。
普通、そう書くと、面白いですね、などとなにがしかの反応が見られるものだが、彼は名の意味を問うこともなく、腕時計をみて時刻を書き込んだ。
ミリッサもつられて時計を見た。
十六時四十分。
十二レースが終わって、さほど時間は経っていない。
人の呼び名。
十數年ほど前から、ほとんどの場面で通稱で通る。よほどの重要な公的書類でない限り、実名を明かすことはない。
大學でも學生の実名を教師が知ることはないし、その逆もない。
たとえばフウカ、つまりフウウカは、漢書きすれば「風雨香」ということだそうだが、本名ではない。
ミャー・ランにしても、ジンやメイメイにしても、ハルニナやアイボリーもそうだ。
それぞれ、貓・蘭、神、依依、仁菜、穂梨となる。
それぞれに思いがあって、いろいろな名を自分に付け、場面、つまり流のグループごとに使い分けている者さえいる。
學校での通稱とアルバイト先での通稱は違うかもしれないというわけだ。
ミリッサにしても、その通稱も、「mm差」という當て字も、競馬サークルR&Hの顧問になることを機に改めて付け直した名だ。
クビサ、ハナサ、センチサ、というのも候補だったが、聲にした時のらかさで決めただけのこと。
「もうし、ここで休んでいただいても結構ですよ」
と看護師は言ってくれるが、もうその必要はない。
「お世話になりました」
辭そうとするミリッサに看護師がなおも聲をかけてきた。
「ご職業、伺ってもいいでしょうか」
いかなる手続きにおいても、生年月日はもちろんのこと、職業や年齢、別さえ聞かれることはない。
政府レベルのデータベースでは、位置報と「mm差」だけで、ミリッサの個人データに紐づくことができるのだ。
通稱とはいえ、政府データベースへの登録は義務付けられている。
その方法は極めて簡便で、役人の手を煩わせるようなことはない。ひとり三つまで枠が設けられている。
ただ、あまりに一般的、すなわち同名の通稱が多すぎる場合は、拒否されるということだけだ。
結果的に、當て字の多いし手の込んだ、というか捻った通稱が多くなる。
「大學で講師をしています」
ミリッサは隠すことはしなかった。
ただ、大學名まで明かすことはない。
話せば、フウカ達がむとまざるとにかかわらず、在籍中の大學名をこの看護師に知られてしまうことになる。
きっと、知られて得することは何もない。
「紅焔?」
「え?」
紅焔子學院大學。
「懐かしいですね」
「ええ?」
卒業生ということか。
でも、なぜ。
「先生、お忘れになりましたか?」
「えと……」
「昨年まで、大學の保健室で働いていました」
「あ、そうだったんですか」
「先生のお顔は覚えていますよ。それにこんなにかわいい娘さんたち。先生って呼ばれてますし、これは、って」
聞けば、ミリッサを診たことがあるという。
「あの時も確か、気を失われたとかで」
ん……。
そうか。
そんなことがあった。
數年ほど前になるが。
「あの時も、一時的に意識を失われて倒れられた、ということだったように思います」
「そうでした……」
「立ち眩みがしたからって」
あの時は、放課後、ひとりで教室や教材の後片付けをしていた時だ。気が付いたら周りに人だかりができていて、恥ずかしかったものだ。
「やあ、いろいろとお世話になって。えっと」
「クスリユと呼ばれています」
ああ、そうだった。
いい名だとじた記憶がある。
「じゃ、學生さんたちがお待ちかねのようですし」
學生たちが、中でもルリイアが深々と頭を下げた。
ハルニナが腕を組んで支えてくれた。
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