《パドックの下はパクチーがいっぱい/子大の競馬サークルの先輩が殺された?著ぐるみの中で?先生、どうする? 競馬ファン必見、妖怪ファン必見のライト・ラブリー・ミステリー》29 あ・く・ぉ?!

ミリッサは、昨日、彼らに聞き取ったことをジンに話して聞かせた。

「監視カメラの畫像、もらう予定だ」

「おっ、すごいすごい。飯食ってる場合じゃないな」

「まあな。晝飯はおにぎりでも買おう」

清掃員、警備員、どちらでもいい。

まずは探し出そう。きっと、同じ持ち場にいるだろう。ノーウェが死んだあの階段のあたりだ。

二人して歩き出すと、ジンがを寄せてきた。

「スペーシアにも參加してもらうのかな」

「さあ、フウカが決めるだろ」

「あの子、事件の時、いたかな」

「いた」

「そう……」

ジンは、スペーシアを苦手としている。

ジンだけではない。

フウカは、さわらぬ神に祟りなし、という態度だし、ハルニナやランはほぼ相手にしていない。

スペーシアが自分からくことはない。全員のために、という意識がないのだ。

しかし、全員で何か事をし遂げたときには、記念寫真の中央に収まる、というタイプ。

それは授業でのグループワークでもそうだし、サークルにおいてもそうだった。

いわゆる困ったちゃんなのである。

ミリッサは講師として、また顧問として、分け隔てなく接していても、呼応してくれなければ意味はない。

「結束がどうなるか、だよね」

ジンの危懼はもっともだが、こればかりはり行き任せにならざるを得ない。

「鹿児島のおばあさん、もっと長生きしてくれたらよかったのにね」

「おいおい。それ、意味、違うだろ」

ノーウェ殺人事件の捜査會議というデリケートな課題に、スペーシアはどう反応し、どう行するだろう。

決して面と向かっては言えないが、できることなら関わってしくない、と思うのはジンだけではないだろう。

「でもさ」

ジンは、さらに言いにくいことなのか、聲を潛めている。

「なんていうか、これって、無駄じゃない?」

「ん?」

「決していやだって言ってるんじゃないよ。なんていうか」

とじれったい。

それはそうだろう。

疑問はもっともだ。

素人探偵に何ができる、と言いたいのだ。

しかも、ジンの心にスペーシアが影を落としている。

し違った。

「ノーウェ先輩って、ミリッサ、どう思う?」

「ん?」

「だから、好きかってこと」

「好きとか嫌いとか、じゃなく、俺の生徒」

「まあね。でも」

どことなくジンは、ノーウェのことが気にらなかったらしい。

ストレートに言う。

「あの人、良くない噂があるよ」

「へえ、どんな?」

「ボクは直接會ったことないと思う。競馬場では見かけるけど、話したことはないと思う。でも、噂は何年も學校に殘るもんだし。特に、ああいう死に方をしたなら」

ジンが、年のように肩をすくめた。

「いわゆる、悪

「へえ!」

ミリッサは我ながら、変なリアクションだったと思った。

「あ・く・ぉ?!」

「そうさ。噂ではね」

「どんな?」

「男をさ、そう、たぶらかしては、ひどい捨て方をする、というか、男を漁って遊んでるって」

ミリッサはジンに相槌を打つことはできなかった。

「そんな噂が?」

「先生たちはあまり知らないかもしれないけど、授業準備室とか、職員連中の中では有名な話らしいよ」

「ふうん」

「だからさ、なんかこう、殺人事件ってのは、あり得るなあと思うんだ。けど、解決を目指してっていうのが、あまり気乗りしないんだな」

ジンは、だからって手は抜かないよ、と言った。

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