《パドックの下はパクチーがいっぱい/子大の競馬サークルの先輩が殺された?著ぐるみの中で?先生、どうする? 競馬ファン必見、妖怪ファン必見のライト・ラブリー・ミステリー》33 花賞は大荒れ

第十一レース。

本日のメインレース、花賞のスタート時刻になった。

スタンドの定位置に全員が揃った。ハルニナも顔を出した。

スペーシアも久しぶりの京都競馬場。興気味だ。

一番人気は十六番ビワイチ/単勝オッズ1.9。

二番人気は八番ハクシュウノウワキ/単勝オッズ2.2。

五番人気までが、オッズ三倍臺以下と來れば、配當は安い。

天邪鬼なミリッサならずとも、オッズを睨みつつの組み合わせとなる。

今日は運よく、かなりのプラスが出ている。ミリッサは勝負に出た。

1番 アレガハツコイ 三番人気(単勝オッズ 2.9)

2番 サンセンゴウリュウ 十一番人気(単勝オッズ 45.2)

3番 オーエンノヤイバ 七番人気(単勝オッズ 6.8)

4番 ユウトスウチャン 九番人気(単勝オッズ 13.8)

5番 ニューキーツ 十四番人気(単勝オッズ 88.5)

6番 ワタシヲシンジテ 八番人気(単勝オッズ 10.9)

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7番 レイチェルノウソ 十番人気(単勝オッズ 20.4)

8番 ハクシュウノウワキ 二番人気(単勝オッズ 2.2)

9番 セイントノーレ 十七番人気(単勝オッズ )

10番 コウヤノキヅナ 五番人気(単勝オッズ 3.8)

11番 カタオモイダッタネ 六番人気(単勝オッズ 5.6)

12番 パリサイド 十六番人気(単勝オッズ )

13番 オレガワルカッタ 四番人気(単勝オッズ 3.1)

14番 マコトノデンセツ 十八番人気(単勝オッズ 155.2)

15番 ウジガワノアユ 十三番人気(単勝オッズ 55.3)

16番 ビワイチ 一番人気(単勝オッズ 1.9)

17番 チョットマガスキ 十二番人気(単勝オッズ 49.5)

18番 ハクシュウノリキガク 十五番人気(単勝オッズ 100.0)

馬場中央のメインビジョンに凝りに凝った演出畫像が流れ、スタンドにはうなりのような歓聲が沸き起こる。

ファンファーレが鳴り響き、もう遅いが、客たちは自分が購した馬券を確認する。

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アナウンスが流れる。

競馬界の人間國寶と呼ばれる名調子。

花賞のゲートインが始まりました。

十八頭の馬が、自分の番號のゲートを見つめています。

もうここでいななくような馬はいません。

靜かな闘志をめた十八頭のサラブレッドたち。

まずは奇數番の馬。

一番アレガハツコイが、最初にゲートにその馬を収めました。

五番ニューキーツ、十一番カタオモイダッタネ、九番セイントノーレと続いていきます。

走りこむようにゲートにった十五番ウジガワノアユ。

促されて十三番オレガワルカッタ。

続いて十七番チョットマガスキ。

張するね」

アイボリーがジンに話しかけている。

その橫顔は幾分紅しているようで、ミリッサは素直にうれしかった。

偶數番の各馬も順調にゲートインしていきます。

すこしゲートインを嫌がっていた四番ユウトスウチャンもりました。

殘るは三頭。

二番サンセンゴウリュウ、十四番マコトノデンセツ。

最後は大外十八番ハクシュウノリキガク。

収まりました。

全馬、ゲートの中!

スターットしました!

全馬、好スタート!

ほぼ、橫一線!

向こう正面に十八頭がひしめき合っています!

わずかに、六番ワタシヲシンジテ、勢いがつかないか!

先頭爭いは七番!レイチェルノウソと、十番コウヤノキヅナ。

側からは三番オーエンノヤイバが続き、その直後、黃い帽子二頭、十二番パリサイドと十四番マコトノデンセツ。

三コーナー手前、一団となって、登り坂に差し掛かりました。

まだ一団です!

先頭は、七番レイチェルノウソが鼻を取りました。

飛ばしています。

早くも十番コウヤノキヅナに三馬の差をつけ、その差をなおも広げようとしています。

坂の頂上に向かって勢いをつけて一気に駆け登っていきます。

徐々に隊列ができつつあります!

六番手には、このレース唯一の葦、あのゴールドシップのを引く十六番ビワイチ。一番人気に押されたビワイチはこの好位置です!

続くは、五番ニューキーツ、十七番チョットマガスキ、十五番ウジガワノアユ、九番セイントノーレ。

八番ハクシュウノウワキはここにいます。

これらが中段グループを形

十一番カタオモイダッタネが負けじと追いすがる。

先頭七番レイチェルノウソは早くも坂を駆け下り、第三コーナーと第四コーナーの中ほど。

後方グループは、まだ下り坂の中間あたり。中段グループから四馬ほどおいて、一番アレガハツコイ、四番ユウトスウチャン、二番サンセンゴウリュウ、その後ろにしあいて十三番オレガワルカッタが一団。

十八番ハクシュウノリキガクはこの位置、後方待機。

しんがりは、六番ワタシヲシンジテ。

七番レイチェルノウソは、第四コーナーを曲がり切り、正面スタンドにってきました。

各馬、次々に正面スタンドにってきます。

先頭グループの中から、五番ニューキーツ、押して順位を上げようとしています。

隊列が長くなってきました。

逃げる七番レイチェルノウソ!

依然、先頭!

最後尾の六番ワタシヲシンジテまで、二十五馬ほどか。

距離三千メートルの長丁場。

最後にゴールを先頭で駆け抜けるのは、はたしてどの馬か!

拍手が沸き起こります!

七萬人の観衆の前、十八頭の鍛え抜かれたサラブレッドが駆け抜けていきます。

馬群の足音が、怒濤のようにスタンドを揺るがします!

ジリッ、ジリッと順位を上げる十七番チョットマガスキ。

人気急上昇のジョッキーが騎乗。

一段と大きくなる拍手!

先頭、七番レイチェルノウソは早くも第一コーナーへ!

逃げる逃げる!

追う十番コウヤノキヅナ!

十六番ビワイチが三番手にまで上がってきました!

稀代の差し足、十八番ハクシュウノリキガクは依然後方。ようやく正面スタンド前!

最後尾にまで下げて、足を貯めています!

先頭グループの順位は激しくれ替わっています。

逃げ切り態勢のレイチェルノウソを睨み、不気味なハクシュウノリキガクのきも気になり、熾烈な駆け引きが始まっています。

後ろを振り返るジョッキー。

はやる馬に折り合いをつけさせようとするジョッキー。

秋晴れの下、ここ京都競馬場は異様な興に包まれています!

池の白鳥も、この雰囲気に呑まれたか、固唾をのんで見守っているのか、じっとしてきません!

馬群は早くも向こう正面!

十番コウヤノキヅナ、ズルズル後退。

代わって二番手は十六番ビワイチ。

負けじと追いすがる三番オーエンノヤイバ、十三番オレガワルカッタ、十四番マコトノデンセツ!

と外に分れ、先頭を虎視眈々と狙っています!

おっと、ここでジョッキーの手がいて二番サンセンゴウリュウがスルスルッとき始めました!

中段グループまで追いつきました。

かわしていく勢いです!

二回目の坂の登り。

先頭レイチェルノウソのアドバンテージがし小さくなってきました。

側の好位置をビワイチ、中をオーエンノヤイバ、外側のオレガワルカッタの二番手爭いが激しさを増しています。

その直後につける十四番マコトノデンセツは様子見か!

中段形の馬も差をめてきました。先頭グループに接近!

後方グループも押し寄せてきます。

ハクシュウノリキガクはまだ最後方!

上がってきたサンセンゴウリュウ、すでに先頭集団にとりつき、オレガワルカッタをかわす勢い!

レイチェルノウソが第四コーナーを回り正面を向きました!

依然先頭!

その差は二馬

二番手、三番手の爭いは混戦!

差はまらない!

各馬橫に広がって最後の直線勝負!

あと二百メートル!

レイチェルノウソが一段と加速!

突き放しにかかる!

そうはさせじと他馬にも鞭がる!

ビワイチが抜け出たか!

レイチェルノウソを追いかける!

つれて出てくるアレガハツコイ!

間をついて、マコトノデンセツ!

五、六頭がレイチェルノウソに襲い掛かる!

ここで來る!

大ッ!外から!

來たーーッ!

ハクシュウノ! ウワキ!

さらにその後ろから、ハクシュウノリキガク!

二頭、足が違う!

一気に抜き去る!

他を寄せ付けない!

ハクシュウノリキガク!

追いつくか!

ゴールまであと百メートル!

ビワイチに並ぶ!

かわす!

前を行くのは、レイチェルノウソのみ!

あと五十メートル!

レイチェルノウソ、逃げる!

追うハクシュウノリキガク!

一気にくる!

マコトノデンセツ!

ハクシュウノウワキ!

ウソか、リキガクか!

デンセツか、ウワキか!

ハツコイが追いすがる!

五頭並んでゴーーール!

レイチェルノウソ、押し切ったか!

ハクシュウノリキガク、差し切ったか!

デンセツわずかに遅れたか!

噓か誠か、力學か!

か浮気か!

どっちだ! どっちだ!

アレガハツコイ、ハクシュウノウワキ、首差及ばず!

四著以下は混戦!

ハツコイ、やや有利か!

花賞は、逃げに逃げたレイチェルノウソと、稀代の差し腳ハクシュウノリキガクの一騎打ち!

素晴らしいレースになりました!

いえ! とんでもないレースになりました!

人気筋は総崩れ!

誰が、この結果を予想していたでしょうか!

掲示板は寫真判定!

四著は十六番のアレガハツコイ!

これ以外はまだなにも表示されません!

お、ハクシュウノリキガクのジョッキー、ハヤトマイが手を挙げています。

勝利を確信したか!

結果を待ちましょう!

アナウンサーが沈黙した。

続いて、競馬場ののアナウンス。いつもと変わらぬ落ち著いた聲。

勝ち馬投票券は、レース確定まで捨てずにお持ちください。

ミリッサを含め、サークルのメンバーも押し黙っていた。

ハクシュウノリキガクは、見事な差し足を持つとはいえ、先の三レースで大敗。

もはや、お前の時代は終わったといわんばかりのオッズ。百倍ちょうどの十五番人気。

レイチェルノウソは十番人気、マコトノデンセツはと言えばまさかのブービー人気。

とんでもないことになったことは、アイボリーにでもわかる。

「すごい……」

と言ったきり、誰もが電掲示板にくぎ付けになった。

第十二レースのパドックを見に行こうと席を立つ者は誰もいない。

ミリッサは、自分の馬券を見た。

五枚買ったうちの二枚。

レイチェルノウソと、ハクシュウノリキガクと、マコトノデンセツの三連複。

ハクシュウノリキガクと、マコトノデンセツのワイド。

八番の二番人気ハクシュウノウワキと十四番マコトノデンセツを間違えて買った馬券。

的中か?

馬券をまた見直した。

確かに、三連複は七-十四-十八。

ワイドは、十四-十八。

これはもしや帯封。

生まれて初めての帯封。

ではないだろうか。

いや、帯封どころではないかもしれない。

馬券を持つ手が震えた。

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