《パドックの下はパクチーがいっぱい/子大の競馬サークルの先輩が殺された?著ぐるみの中で?先生、どうする? 競馬ファン必見、妖怪ファン必見のライト・ラブリー・ミステリー》43 そろそろ、キスしてくれてもいいころだと思うんだけど

それで、メイメイとハルニナはどうなのだ。

「ハルニナと私、二人ともルアリアンです。私は昔からメイメイ。このも意識もメイメイ」

「いつのまに、その誰かさんの意識が、んっと、含まれるようになったんだ?」

「いい質問ですね。でも、ある日と特定はできません。二、三年程前かな」

「自分で、変わったってわかるのか?」

「いいえ。いつの間にか、私変わったなって思う程度。でも、新しい知識とかはある。以前はこんなこと知らなかったのにな。とか、事を違う目で見るようになったな、とか。だから、ちょっとは私もいつしか大人になったんだなって、思ってた」

「自分がPHだと意識したのは?」

「またいい質問ですね。さすが」

「先を急げ」

「ハイハイ。きっかけは、実は鮮烈でした。ある日、というか、二年生の時、先生の授業が終わった時、ある學生が話しかけてきたんです。ミリッサ先生をいつもよく見ておいて。なにか変わったことがあれば、すべて報告してって」

「……」

「それがハルニナでした」

「えっ、そうなのか」

「でも、私、全然不自然に思わなかった。その時、すべてわかってたんです」

「なにが?」

「私がPHだってこと。それに、この、ハルニナがルアリアンの総帥だってこと。そして、私のやらなくちゃいけないことも」

「ちょっと待ってくれ。ということは、メイメイ、俺を見張るのが、君の仕事だってことか?」

「そうなんです。見張るって、人聞きが悪いですよ」

「よく見ておけって、見張るってことじゃないのか」

「うーん。ちょっと違うんです。なんていうか、先生がマニフェストしたかどうかが、重要なんですね」

「ちょっと待て。俺がPH?」

メイメイが微妙な笑みを見せた。

「ハルニナもそう言ってたでしょ。ミリッサはPH。まだマニフェストしていないみたいですけど」

「おい!」

「そうなんだから、もう」

「俺は、だな!」

「もう、覚悟を決めてくださいよ」

「決められるか!」

「でもね、普通はそんなこと、PHの総帥がごちゃごちゃ言うことはないんです。でも、先生は特別」

「なにが!」

「その理由は私の口からは言えません。ハルニナに直接聞いてくださいな」

ミリッサは、ある程度は予想していたこととはいえ、こうストレートに言われては、心わななかせるほかなかった。

「なあ、メイメイ」

ミリッサは心の整理をするために、かなり意識して穏やかに言った。

「俺は、俺はPHとかいう、そんな人間じゃないと思う。誰かの意識が流れ込んできて、今までの俺とは違う人格になっているとは、ほども考えていない。それにだ……」

「それに、なんですか?」

「そもそも、PHなんて……」

「先生、これだけははっきりさせておきますね。私もハルニナもPHです。ルアリアンです。本人がそう言うんですから、信じてもらうしか」

ミリッサは思わず頭を抱えた。

他人の意識が自分の意識の中に含まれている?

「普通、マニフェストしてない人に、こんなお話をすることはありません。混させてしまうだけですし、そもそも意味もありませんから。でも、先生はハジカミに襲われた。もう、普通の人じゃない。PHなんです。マニフェストしていようがいまいが。それに」

ミリッサは、自分が襲われ、殺されかけたことを思い出した。

そうなのだ。

自分のに起きた事件をきちんと見據えなければ。

その理由を、正しく知らなければ。

それにしても……。

「聞いてください」

「ああ……」

「今日、こんなお話をしたのも、ハルニナの意思です」

「うん……、だろうな」

「彼は、何としてでも、できるだけ早く先生にマニフェストしてしいと考えています。それには理由があります」

メイメイの手がって、太ももをで、落ち著かせようとしている。

ミリッサは、思わずその手の上に自分の手を重ねた。

「その理由。私からお話しするのはやっぱりやめておきます。これにはハルニナの個人的な思いも混じっていますから、私が説明するのは違うと思います。先生自で、ハルニナに聞いてください」

ミリッサはそれからもいろいろな質問をメイメイに投げかけた。

しかしそれからのメイメイは、ハルニナに直接聞けというばかり。

「だって、私の役割、つまり先生に前提となる事実を解説しておく、という役割は十分果たしたと思いますから」

と、言うのみだった。

そして、とうとう言葉が途切れた時、メイメイは手をり込ませ、

「そろそろ、キスしてくれてもいいころだと思うんだけど」

と見つめ、ゆっくり瞬きをして見せたのだった。

「へへ、冗談ですよ。ハルニナに怒られるし」

と、笑いながら。

「それに、逆セクハラかな」

「どっちにしても恐ろし」

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