《パドックの下はパクチーがいっぱい/子大の競馬サークルの先輩が殺された?著ぐるみの中で?先生、どうする? 競馬ファン必見、妖怪ファン必見のライト・ラブリー・ミステリー》58 サルが一聲鳴いた
クマザサをかき分けかき分け進んだ。
蛇が追ってきているのかどうか、もうわからない。
ササに埋もれて、いつ何時、背後から襲われるか。
恐怖に苛まれながらも、足を運ぶしかない。
いよいよ徑の痕跡はかすかになり、進めなくなった。
正面は盛大にクマザサが茂り、がびっしりと屏風のように行く手を阻んでいる。
これを超えてくのは骨が折れそうだ。
左に回れば緩い上り坂。徑はあるようなないような。
右に回れば、急な下り斜面である。
躊躇している場合ではない。
登っていこう。
と、すぐ目の前の木にサルが腰かけているのが見えた。
白銀のを持つ大きなサル。
見た目はニホンザルだが、二回りほど大きく、チンパンジーほどの軀を持つ。
そいつが、右に降りろというように、左手を挙げて、一指し指まで突き出している。
ん?
何を言う。
徑は左の登りだ。
ミリッサが一歩踏み出すと、サルが一聲鳴いた。
びくりとしてサルを見上げると、また右を指さす。
くそ!
こいつを信じればいいのか。
迷いを察したか、サルは、何度も何度も右へ降りろと指さして見せる。
よし。
となれば、従うしかあるまい。
ここで、もたもたしているわけにはいかない。
いつ何時、足首を蛇に喰いちぎられないとも限らない。
ミリッサは勢いよくクマザサをかき分けて下っていった。
沢の音が聞こえてきた。
水辺に近づき、幸い、クマザサは勢いを減じた。
幾分疎になり、進むに支障はない。
さらに下ると沢に出た。
小さな流れだ。
で、どうする。
飛び越えて前方に進むのか。
前は急斜面。見上げるほどの崖。
それとも、沢に沿って下っていくのか。
こちら側を。
それとも右岸を。
ミリッサはけなくなってきた。
俺は何をやっているんだ。
ランを恨む気持ちは全くない。
しかし、なんだ、このざまは。
このわけの分からないところで、蛇に追われて逃げ回り、サルに助けられてここまで來たものの、それでどうするというのだ。
あいだみちなどという妖怪の腹の中で、出口もわからず途方に暮れるばかり。
まさかいつしか消化されるのではあるまいな。
今度は崖の上からサルが現れた。
また教えてくれる。
沢を渡り、そのまま沢沿いに降りていけという。
わかったよ。
従うよ。
あまりにふがいない。
ランにも蛇にもサルにも、さほど怒りが湧かないこと自がふがいなかった。
それとも、俺はもう、なにか別の人間になっているのだろうか。
PHとやらに。
ミリッサは沢を飛び越え、足元を濡らしながら下って行った。
なるほど、これは徑なのだろう。
水や巖に阻まれることなく、曲りなりに進んでいける。
ランを思った。
今頃どうしている。
俺を探して走り回っているだろうか。
それとも、あいだみちとやらに聞いているだろうか。
テンポが上がってきた。
調子よく下ってきたと思いきや、やれ、けない。
ぬか喜びとはこのこと。
大きな巖が行く手を阻んでいた。
巖は水系から突き出たようで、水にえぐられた川底は深い。
とても水の中を進むことはできない。
となれば山側。
よく見ると、けもの道らしき痕跡がある。
山の草が踏まれた跡が。
ん?
クマザサではない。
ん?
んん?
おお?
気付かぬに、いつしか、よく見る山の景の中に立っていた。
そうか。
あいだみちの口から出ていたのか!
それはいい。
いい兆候だ。
だが、まさか、大峰のただ中ではあるまいな。
ミリッサはけもの道を登った。
すぐに尾筋にたどり著いた。
おっ。
おおおおおっ!
谷筋のはるか向こう、街の明かりが見えた。
よし、いいぞ!
いいぞ!
やれ、うれしや!
やれ!
やれ!
やれ、だ!
ホントに!
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