《後は野となれご令嬢!〜悪役令嬢である妹が婚約破棄されたとばっちりをけて我が家が沒落したので、わたしは森でサバイバルすることにしました。〜》の決著(仮)ですわ!

アルベルトは立ち上がると、皆に向かって言った。

「ここの始末は、我が家の兵にやらせましょう。皆さんいかがですか、ひとまず僕の家でを隠されては? 父はいないし、まさか僕が匿っているなんて誰も思わないでしょうから」

彼らしい、最善の提案だ、とヴェロニカは思った。

「それは……もしそうしてくれるなら、有り難いことだが」

カルロが娘二人を見る。どちらともなく頷いた。決まりだ、彼の家に行く。

それからアルベルトはヴェロニカに向けて微笑むと、當然のように片手を差しだした。

「おいでヴォニー」

先ほどまでの張した聲ではない。優しい響き、する人に向ける聲。

目の前に、婚約者の手がある。それでもヴェロニカは躊躇した。隣に、ロスがいたからだ。この先の展開を考えると、どちらへ進むべきかは明白なのに、心の中に、未だ迷いがある。

しかしロスはヴェロニカの背中に手を添えると前に押し出した。

「行け、ヴェロニカ」

見上げると、目が合う。彼が微かに口の端を上げて、笑ったように思えた。

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「あなたは、それでいいの?」

こう言っては、二人の間に何かただならぬことが起きたと言っているようなものだ。迫する父と妹に反して、ロスは肩をすくめて言った。

「ままならないのが人生だ」

「……本當ね」

ヴェロニカは一歩進む。もうそこに迷いはない。

アルベルトのらかな手を取る。彼はその手にキスをして、まるで大切な寶を扱うように、恭しく握った。

アルベルトの屋敷に向かう道中、チェチーリアがロスに興味津々といった様子で話しかけてきた。

「ロスさんとおっしゃるの? あなた、すごく強いんですのね。マイティ・ソーみたいですわ!」

「無敵の雷神か。山の神よりは悪くないな」

このくらいの歳のと會話することはない。何でもおかしく思う年齢だそうで、関わったら最後、めんどくさいことになりそうで可能な限り近寄らないようにしていたからだ。

適當に返すが、チェチーリアは何かに気がついたように目を丸くして大聲を出した。

「もしかして、あなたが山の神、もといゴリラの人ですのね!?」

なぜわざわざゴリラと言い直したのか全く不明であるが、ヴェロニカの妹は中々個的な人らしい。目を輝かせて尋ねる所などを見るとまださが殘ってはいるが、なにかを見かしたようなその表に、どこか自分よりも歳が上のと対面するような奇妙な覚をロスは覚えた。

チェチーリアはなおも続ける。

「やっぱりあなたはお姉様との間に人には言えないことが起こっていたとわたくしが疑っている方ですのね!?」

ヴェロニカは妹にどこまで話しているのか、流石のロスも突然の問いに反応が遅れる。それをさらに怪しまれる。側にいたカルロも我慢できず、とっいったように悲鳴に似た聲を上げた。

「な、なにィそうなのか!? ロス君、ヴェロニカに手を出したのか!? 君は命の恩人だが、それとこれとは話が別だぞ! うちのかわいい娘をな、そう簡単に。第一あの子にはアルベルト君が」

ロスはカルロの言葉を手で遮り、最後まで待たずに言う。

「よせ。俺と彼がどうしたって、あり得るわけない。彼の名譽のために言っておくが、俺など相手にもされなかったよ」

顔を見合わせる二人を無視してアルテミスをでた。彼はロスと再會してから、もうずっと側を離れようとしない。

ロスはもう一切のあの日々を森の中へと閉じ込めて、ただ何もなかったのだと納得させ終わらせることにした。誰も知りはしない以上、それが最善だ。

「あの、ずっと思っていたのですが」

今までぬぼっといただけのグレイが口を開いた。ずっとロスを凝視していたので、やや居心地は悪く、外國人を見たことがないのかと皮の一つでも言ってやろうかと思っていた。A國の貴族たちがたびたび自分に抱くは知っていた。が、年はそうではなかったらしい。むしろ尊敬のまなざしを向けられる。

「もしかして、あなたがあのロスさんですか!?」

「どのロスかは知らんが、確かにそう呼ばれてる」

「やっぱり、すごい! 伝説をこの目で見れるなんて。え、ということは、アルテミスがあなたの犬!? 知らずにずっと旅していました。オレが猟師から傷ついたアルテミスを預かったんですよ! それで修道院に運びました。あ、よかったら握手してください。オレはグレイ・ベルガモットです」

無理矢理手を握られる。離した後、グレイ年はよっしゃーと天に向けて拳を作った。常識人に見せかけて、彼も変わっている。

今度はチェチーリアがたたみかけるように言う。

「ロスさんはお姉様が好きなんですのね? 振られてしまったんですの? でもそう気を落とさないでくださいまし。いつだって、勝つのはファントムではなくラウルなのですから」

「そうだとも。ヴェロニカは天使のようにらしいから好意を持つ気持ちも分かるがね」

前を行くヴェロニカとアルベルトを見る。二人は何かを話している。ヴェロニカは時々快活な笑いを見せる。アルベルトは大切そうに彼の肩を抱く。

グレイの興とチェチーリアのよく分からぬめの言葉と、カルロの行き過ぎた親馬鹿に、どいつもこいつもぶっ飛んでやがる、と眉を顰めることしかできなかった。

この話にはとある映畫のとあるセリフをれてみました。お姫様がヨーロッパのとある都市で新聞記者と遊ぶあの映畫です。

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