《ネコと和解せよ〜ネコとカフェ店長の謎めく日常〜》第1話 杏奈の朝

杏奈の朝は早い。5時には起きる。

朝起きたら、白湯とグリーンスムージーを作りストレッチをしながら、ちびちびとそれを消費する。

白湯もグリーンスムージーも「子力高!」ってじで、朝からせっせと作っていた。

朝食は食べない。中途半端に謀論の知識があるためだった。謀論では朝食はトースターを売るために支配者層が植え付けた習慣というのが定説だった。朝食べる小麥料理も消化に悪いらしい。真にけたわけではないが、なんとなく生活に取りれていた。

謀論は基本的にのめり込まないと決めているが、この界隈の人達は今のご時世、基本的に飲食店には優しいので、カフェ店長としては參考になる。確かに今の時代はいわゆるコロナ脳をターゲットにするよりは、怖いもの知らずの謀論者をターゲットにした方が商売としては良いだろう。

杏奈は白湯とグリーンスムージーを飲み干すと、メイクをし支度を整えた。

年相応にシミやソバカスはあるものの、メイクをきちんとすればそこそこ「子力高!」というじになる。眉の形はどれが一番顔にあうか、メイクアップアーティストに相談して決めたので、それだけでも結構垢抜ける。

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といっても一人暮らしで、今のところ彼氏がいない狀況なので、オシャレしてどこかに出かける事は滅多にないが。謀論は半信半疑。コロナもただの風邪ではなく実際にある気がするので、遊ぶ気になれない。それに実家のカフェを継いでて忙しい。

「にゃー」

メイクを終えた杏奈の足元に一匹の貓がまとわりついてきた。ふわふわな尾も振っている。

黒貓だ。

艶々な並みと黃い丸い目が特徴的な貓だった。

杏奈のカフェがある地平商店街で、迷っていたこの貓を保護した。首はしていないが、誰かが飼っていた貓の可能が高い。

張り紙やSNSを駆使して飼い主を探していたが、全く見つかる気配がない。仕方がないので、杏奈が家で飼い続けていた。

黒貓には名前もつけた。名前はミャーという。

英語ではmeowという単語がある。これが貓の鳴き聲を示す単語で、名詞にも詞にもなる。発音も貓の鳴聲っぽい。

ミャーの名前の由來はこの英単語だ。とっても可い英単語だが、トイックや英検などの英語教材にはあまり登場しないのは殘念である。ちなみに貓がゴロゴロを鳴らすという意味の英単語はpurrだ。こちらも別に英語教材にあまり出てこないが、貓好きは一緒にまとめて覚えておきたい英単語だろう。

「ハイハイ、ミャーちゃん。おはよう。ご飯ね?」

キッチンにいき、貓用の皿にキャットフードをもりつけミャーの餌をつくった。

ミャーは実にうまそうに餌を食べていた。この貓は、時々人間っぽい表を見せるのが不思議だった。

杏奈が海外ドラマを見ていると、テレビの俳優に興味があるような表を見せてくるし、仕事から家に帰ってくると妙に嬉しそうな目をみせてくる事もあった。

餌も安いキャットフードを盛り付けると、不機嫌そうにする。舌打ちっぽい音も出してきた事もあった。

人間っぽい表を見せるミャーには、時々首を傾けるが、やっぱり貓は可い。艶々な並みもり心地は最高だ。本音でいえばミャーの飼い主は見つからなくても良いと思っていた。

ただ、これだけ貓に癒される一人暮らしは、ますます婚期を逃しそうだ。三郎の事もあって婚活はほとんどやっていなかった。

杏奈は餌を食べ終えたミャーの背をなで、仕事向かった。

一瞬、ミャーが寂しそうな表を見せたが、どうせ晝間は母親からが勝手に家にって來ている。母親はバレていないと思ったが、スナック菓子やパンが消えているので杏奈は気づいていた。

母親の図々しさは今に始まった事ではないので、諦めていた。時々母の好きなじゃがりこやカントリーマームをわざわざ置いているぐらいだ。

カフェもこうして娘が継いでしまったので、退屈もしているのだろう。

杏奈はしため息をつき、仕事向かった。

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