《ネコと和解せよ〜ネコとカフェ店長の謎めく日常〜》2話 嫌がらせ
杏奈のカフェ「喫茶・ハシグチ」は地平町ちだいらちょう商店街にあった。
地平町ちだいらちょうは関東にある小さな町だった。意外と都まで一時間程度で行けるので、そこまで田舎ではないが、老人が多く子供がなく過疎化しつつあった。
駅の側にある地平商店街も、そのほとんどが老人が細々と経営していた。アラフォーに片足突っ込んでいる杏奈が一番若いぐらいだ。
近隣には大きなショッピングモールもあるので、子供がいる若い夫婦などの世帯は、地平商店街よりそちらに行ってしまう。地平商店街の主な客層も老人だった。
ただ、2020年ごろから昭和レトロがちょっとしたブームになっている。レトロな食やレトロなカフェなどがメディアの取り上げられている事も多い。
そのおかげで単にダサい過疎化している商店街が、昭和レトロな商店街として見られる事もあった。地域新聞が取材に來た事もある。杏奈のカフェも「ダサい」から「昭和レトロ」に印象が変わったようで、そこそこ若いの客も増えてきた。両親のカフェを継ぐ事の迷いはあったが、メディアの昭和レトロブームを考えると、勝算があるのではないかと考えた。
杏奈は、地平商店街のアーケードにり、ケーキ屋や花屋に挾まれた喫茶・ハシグチに向かった。
ケーキ屋の野田はまだ開店準備中で挨拶できなかったが、花屋の椿さんと會った。60歳過ぎの椿だが、元気に毎日仕事していた。もっとも息子のと共同営業だが。
「杏奈ちゃん。おはよう」
「おはよう、椿さん」
なぜか椿は顔をしかめていた。
「杏奈ちゃん、また『コロナ脳』がなんかやったみたいよ」
「えー、またですか? 嫌になっちゃいますね」
杏奈は椿と別れた後、自分の店に直行した。
レンガ作りで小豆の屋の杏奈のカフェは、いかにもレトロな雰囲気だ。
ショーケースには、メロンソーダやケーキ、オムライスなどの料理の見本が綺麗に並べてある。
遠目では本と見間違えるほどの食品サンプルだ。
大きく看板には「喫茶・ハシグチ」と書かれているが、り口を見ると杏奈は顔をしかめて。
數々の張り紙がってあった。
『コロナ禍で営業すんな!』
『アルコール消毒しろ!』
『アクリル板おけ!』
『ワクチン打て!』
杏奈は深いため息をつく。最近は、コロナ脳たちがこうやって嫌がらせをする事が多かった。
どうやらWordで打ち込んだもののようで、手書きではない。犯人は誰だか検討もつかないが、コロナ禍を怖がっている人である事は確かだ。
こんな張り紙があるだけで、イタズラ電話などの営業妨害はない。ここで警察に相談するべきかは悩むところだった。得不明なウィルスが悪いだけで、こんな行をとるのも仕方がない気もしている。
杏奈は再び深いため息をつくと、ベリベリとチラシを剝がす。
裏手に回って営業の準備を始めた。
コロナ禍だっていつかは終わるだろう。
こんなチラシを作った人もその日にはここで味しいプリンやメロンソーダを楽しんでしい。
杏奈はそう願いながら一人で黙々と営業準備に取り掛かった。
【書籍化】誰にも愛されないので床を磨いていたらそこが聖域化した令嬢の話【コミカライズ】
両親の愛も、侯爵家の娘としての立場も、神から與えられるスキルも、何も與えられなかったステラ。 ただひとつ、婚約者の存在を心の支えにして耐えていたけれど、ある日全てを持っている“準聖女”の妹に婚約者の心まで持っていかれてしまった。 私の存在は、誰も幸せにしない。 そう思って駆け込んだ修道院で掃除の楽しさに目覚め、埃を落とし、壁や床を磨いたりしていたらいつの間にか“浄化”のスキルを身に付けていた。
8 69【書籍化】『ライフで受けてライフで毆る』これぞ私の必勝法
「Infinite Creation」 株式會社トライアングルが手掛ける、最新のVRMMOである。 無限の創造性という謡い文句に違わず、プレイヤーたちを待ち受けるのはもう一つの世界。 この自由度の高いオープンワールドで、主人公「桐谷深雪(PNユキ)」は、ある突飛な遊び方を思いついた。 『すべてライフで受けちゃえば、ゲーム上手くなくてもなんとかなるんじゃない?』 配信者デビューしたユキが、賑やかなコメント欄と共にマイペースにゲームを楽しんでいくほんわかストーリー。今ここに始まる。 何をどう間違ったのか。ただいま聖女として歩く災害爆進中!! 20220312 いつのまにか、いいねとやらが実裝されていたので開放してみました。 (2020/07/15 ジャンル別 日間/週間 一位 総合評価10000 本當にありがとうございます) (2020/08/03 総合評価20000 大感謝です) (2020/09/10 総合評価30000 感謝の極みっ) (2022/03/24 皆様のお陰で、書籍化が決まりました) (2022/03/29 総合40000屆きましたっ)
8 73ひねくれ魔術師が天才魔法使いよりも強い件について
『大魔法世界』この世界で懸命に生きる ひねくれ魔術師の物語 強者揃いの魔法學園で暴れ回る! こちらの作品は様々な事情から『ひねくれ魔術師と魔法世界』に移行しました。 ご迷惑をおかけして大変申し訳ございません。
8 187都市伝説の魔術師
ゴールデンウィークが明け、六月。『事件』後、家族と仲睦まじく暮らしていた柊木香月とその妹夢実。 彼の本業である學生生活と、『裏の仕事』も順風満帆に進んでいた。 彼の裏の仕事は魔術師だった。それも魔術師として優秀な存在であった。 最強の魔術師にも弱點はある。 「私は……仕方がない。都市伝説に『殺されても』仕方ないのよ……!」 「そうであったとしても、罪を裁かれようとしても……女性が涙を流している。それだけで助ける理由には充分過ぎると思うのだが?」 魔術師柊木香月は都市伝説から彼女を守るべく、取った行動とは――! 「……どうしてお兄ちゃんは毎回のように女の子を助けてくるのかな? もうこれで數えきれない程の回數なのだけれど。お兄ちゃん、慘殺か虐殺、どっちがいい?」 「ちょっと待ってくれ夢実! いつから君はヤンデレになったんだ! 頼むからそのコンパイルキューブを仕舞ってくれ! なあ!? 頼むから!!」 現代に生きる魔術師とその爭いを描く、シリーズ第二弾登場!
8 85出雲の阿國は銀盤に舞う
氷上の舞踏會とも形容されるアイスダンス。その選手である高校生、名越朋時は重度のあがり癥に苦しんでおり、その克服の願をかけに出雲大社を訪れる。願をかけたその瞬間 雷のような青白い光が近くにいた貓に直撃!動揺する朋時に、體を伸ばしてアクビをすると貓は言った。『ああ、驚いた』。自らを「出雲の阿國」だと言う貓の指導の下、朋時はパートナーの愛花とともに全日本ジュニア選手権の頂點を目指す。 參考文獻 『表情の舞 煌めくアイスダンサーたち』【著】田村明子 新書館 『氷上の光と影 ―知られざるフィギュアスケート』【著】田村明子 新潮文庫 『氷上の美しき戦士たち』【著】田村明子 新書館 『DVDでもっと華麗に! 魅せるフィギュアスケート 上達のコツ50 改訂版』【監】西田美和 メイツ出版株式會社 『フィギュアスケートはじめました。 大人でもはじめていいんだ! 教室・衣裝選びから技のコツまで 別世界に飛び込んだ體験記』【著】佐倉美穂 誠文堂新光社 『フィギュアスケート 美のテクニック』【著】野口美恵 新書館 『表現スポーツのコンディショニング 新體操・フィギュアスケート・バレエ編』【著】有吉與志恵 ベースボール・マガジン社 『バレエ・テクニックのすべて』【著】赤尾雄人 新書館 『トップスケーターのすごさがわかるフィギュアスケート』【著】中野友加里 ポプラ社 『絵でみる江戸の女子図鑑』【著】善養寺ススム 廣済堂出版 『真説 出雲の阿國』【著】早乙女貢 読売新聞 また阿川佐和子氏『出雲の阿國』(中公文庫)に大きな影響を受けておりますことを申し述べておきます。
8 156幻影虛空の囚人
プロジェクト「DIVE」と一人の犠牲者、「So」によって生み出された究極の裝置、「DIE:VER(ダイバー)」。長らく空想の産物とされてきた「ゲームの世界への完全沒入」という技術を現実のものとしたこの裝置は、全世界からとてつもない注目を集めていた。 完成披露會の開催に際して、制作會社であり技術開発元でもある「吾蔵脳科學研究所」は、完成品を用いた実プレイテストを行うためにベータテスターを募集した。 その結果選ばれた5名のベータテスターが、新たな物語を繰り広げる事となる。
8 87