《ネコと和解せよ〜ネコとカフェ店長の謎めく日常〜》12話 謀論を調べてみた

藤也に送ってもらったわけだが、別に甘い雰囲気は1秒たりとも流れなかった。それどころか前髪に白髪が一本あると指摘され、カチンとしてしまった。

「ちょっと、藤也。けっこう失禮じゃない?」

「なんか杏奈って中男なのに必死に子裝っているのが、キッツイよ〜」

飄々と指摘され、怒る気力も失せた。さっそく明日からミャーと一緒に伝道や宣教に向けてく事になり、明日の朝ミャーを送っていく事を約束して別れた。

「本當に失禮しちゃう。何なのよ、あのサブカルモヤシ男」

『でもそのおかげでちょっと気分も紛れてきたじゃない』

「確かにそうだけど」

杏奈とミャーはしばらくリビングで白湯を飲んでいた。

この特殊な貓の狀態であるミャーは、本當は食べや飲みを取らなくても生きられるらしい。

ただ、気分的にすごい溫い白湯は飲みたいというので、作ってやった。すごい緩い白湯がいいという。やっぱり貓舌らしい。

杏奈もミャーと同じく白湯をちびちびと啜った。

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確かに藤也の失禮な態度にぷりぷりと怒っていると、ミケ子の死を見たショックはほんのし薄れてはいくが。

『私は眠くなっちゃった』

ミャーはだんだんとうとうととし、寢室にある貓用ベッドの方に向かってしまった。

「おやすみー」

杏奈はミャーに聲をかけると、風呂にはいった。「子力高!」なカモミールの匂いがついたバスソルトをれて、心ゆくまでリラックスした。カモミールはリラックスできる香りだと浴剤のパッケージに書いてあった。

ミケ子や飼い主の鳩子の事を思うと心が痛むが、今一人で傷的になっても仕方がないだろう。やっぱり自分は冷靜すぎる部分があると嫌な気持ちになった杏奈だが、今日の夜は々あって疲れた。

白湯とカモミールの香りのおかげですぐ眠れると思った。

しかし、ベッドにると目が覚めてきてしまった。

寢ようとすればするほど、目が冴える。やっぱり今日の出來事はショックだった。

一方、ミャーはスヤスヤと丸くなって眠っていた。時々人間らしいいびきまでかいている。

ミケ子の死を見てしまったショックはもちろん、ミャーがこんな人間のように話せる事が、やっぱり異常だ。普通にれたが、やっぱりいつもと違う様子のミャーを思うと、神経が高ぶる思いだ。

仕方がないので、再びキッチンに行き白湯を作り、リビングのソファでちびちびと飲んでいた。白湯で健康になったり、ダイエットの良いと聞くが、今のところはあまり効果はじていない。結局、子力高めのポーズでもやってる気がして虛しくなってくる。自分の中は男っぽい自覚があるので、外側は子力高めに過剰包裝をしたがるのだ。

思えば、付き合った男にも最後までこの過剰包裝が剝がせなかった。結婚までいく深い関係になるわけもなく、元カレの三朗の言い分や態度はごく當たり前のものだったのかもしれない。

杏奈はため息をつき、スマホートフォンを取り出してSNSを開く。

ミケ子の報は何かないかと見てみたら、あのDMを送ってきたアカウントが消えていた。

やっぱりイタズラか何かだったんだろうか。

杏奈はため息をつきながらタイムランをざっと眺める。本來なら寢る前にスマホートフォンをいじるのはやホルモンによくないらしいが、やっぱりついつい見てしまう。

謀論者のSNSを見ると、悪魔崇拝儀式があるという事だった。

悪魔崇拝者たちは、聖書で書かれている神に反逆し、悪魔を拝んでいる。その忠誠を示すためにの死骸や人の死を捧げ、悪魔から恩恵をけているという話だった。

「そんなのアリ?」

杏奈はイマイチ信じられないが、ミャーと藤也の様子から、そんな事も全く無いとは斷言できなくなってしまった。

ただ、こんな儀式をやっているのはあくまでも金持ちや政治家、蕓能人などの支配者層。こんな田舎の地平町で、悪魔崇拝者がいるとはどうしても思えない。

日本に多くあるカルトもこの儀式を行なっていたり、悪魔崇拝者達に協力しているという報もあった。

とくに銃価という日本が誇るカルト教団が、こんな儀式の実行部隊で、子供をよく拐しているという報もある。銃価系列の遊園地では、子供が何人も行方不明になっているという都市伝説も載っていた。

その辺りも眉唾ものだが、地平町にも銃価の施設があり、空谷の家もその信者だった事も思い出した。

しかし、これがミケ子殺害に関係あったりする?

空谷のやる気無い態度もとても気になる。

「げっ。藤也の謀論アカウントじゃん」

謀論アカウントを見ていたら藤也が作っているSNSやブログも発見してしまった。フォロワーも3萬超えでその界隈ではちょっとしたアイドル狀態だ。藤也の自撮り寫真にはファンのコメントがいっぱいついていて気持ち悪い。

何故かクリスチャンと謀論は相が良いようで、クリスチャンの謀論アカウントがわらわらと出てきてちょっとため息が出そうだ。中にはカルト風のネット教會を立ち上げてる人や有料記事を売ってる人もいてディープで怪しい雰囲気だ。

それにしてもミケ子を殺した犯人は誰?

考えてはみたが、答えは出るはずもない。もちろん、謀論者のアカウントにも答えは載っていない。

とにかくミケ子を喪った鳩子が心配だ。明日、もし會えたら様子を聞いてみよう。もし、気落ちしていたら絵や母と一緒にめた方が良いかもしれない。

ミケ子殺しの犯人も気になるが……。

そんな事を考えていたら、眠たくなってきた。杏奈はベッドに潛り込み、眠りについた。

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