《ネコと和解せよ〜ネコとカフェ店長の謎めく日常〜》28話 犯人を捕まえるぞ!

杏奈と子高生は、土管に座って話していた。

ミャーは、子高生の足元にすりより注意深く話を聞いていた。

子高生の名前は坂口マユカ。そう、あのカルト信者・坂口の登校拒否中の娘だった。

今朝 マユカは両親がケンカしはじめ、たえられなくなって逃げてきたという。

「最悪だよ。父が不倫しているなんて。しかも両親とも銃価信者だなんて」

マユカは自稱・コミュ障だったが、ミャーがいるおかペラペラとよく話してくれた。

「朝からずっとお経唱えたり、銃価の集會にも子供の頃から強制參加。勘弁してほしい」

心底両親のカルトっぷりにマユカは困っているようだった。

頭上でカラスが間抜けな聲をあげて鳴いていた。マユカの話す容は呑気なものではないが、カラスの聲を聞いて杏奈はし冷靜になってきた。

「そういえばカルトの子供ってメディアで問題になっていたわね」

「そうよ、杏奈さん。宗教なん大嫌いだよ」

杏奈は英語教師時代は高校生に教えていた。別にカウンセリングのプロではないが、世間の人よりは慣れている。杏奈は辛抱強く、マユカの愚癡を聞く。

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銃価が売るパワーストーンやお札も高額のようで、坂口一家の家計も圧迫しているらしい。

「あんなパワーストーンやお札でパパの不倫止めるわけ無いじゃん!」

「それは同ね」

一円の得にもならない事が嫌いな杏奈にとっては、パワーストーンやお札に頼る気持ちは全くわからない。

「ミャーちゃんのところのキリスト教はお札売ってなかったけ? 歴史の教科書で読んだよ」

『免罪符ね。昔、カトリックがやってたけど、そんなもので罪が浄められるわけ無いじゃない。だから、ルターが宗教改革やってプロテスタントっていう宗派が生まれたの』

「ミャーちゃんは々知ってるのね」

『バチカンなんかはイメージ悪いけど、それはキリスト教の全てでは無いから。まあ、今のプロテスタントの信者も自由したり、サンデークリスチャンが多かったり問題ある多いけどね。ルターの言ってる事真似して萬人祭司とか言って無教會派も超多いし、終末にはプロテスタント信者にも裁きはあるでしょう』

「そっかー。どこの宗教も問題あるんだ」

「マユカ、それは私も初耳ね。カルトじゃない伝統宗教は問題ないように見えてたわ」

『そうね。カトリックも々問題あるけど、プロテスタントよりは行いはしっかりしてるのよね。プロテスタントの連中、この世の人達みたいに自由に彼氏とか彼作りすぎねー。本當は結婚前の渉は我慢しなきゃいけないけど、プロテスタント信者はあんまり守ってないわ』

マユカはミャーを抱き上げ、膝の上に乗せる。心底嬉しそうのミャーの背をでている。こうして見ると普通に貓好き子高生だ。カルト信者が両親だなんて杏奈はが痛い。日本は信仰の自由があると言うけれど、何も知らない子供には無いではないか。

そういえば臺灣に住んでいた友達が一人いるが、向こうでは學校で宗教について習う時間があるという。日本はそんなものはなく、歴史の授業でサラッと流すだけだ。

自由というのは選択がある事だ。マユカの狀況は選択なんてなく、親に言われたままにカルトに関わってしまう狀況は、社會の構造的問題にもじる。せめて學校で宗教について學べる時間があっても良いと思うのだが。杏奈は、マユカの狀況については自己責任だとは決して言えなかった。

『マユカの狀況はわかったわ。で、この町で貓が死んだり、いなくなっている事は何か知ってる?』

マユカは目が泳ぎ、口籠るがミャーの可さに負けたようだ。ミャーの背中をでながら、事を話し始めた。

マユカのよると銃価では「願いを葉える儀式」というのがあるらしい。それは貓を生贄にし、天使サマを召喚し願いを葉えて貰うものだった。

し意味合いは異なるが、藤也が言っていた悪魔崇拝儀式そのものだった。ということは藤也が言っていた事が正しかったわけだ。ミケ子は銃価のこも儀式で殺されたと見て良いだろう。

『でも何で貓なの?』

「わからない。ただ、貓は汚れただから殺してもいいんだって。そうすると貓も來世で良いものに生まれ変われるっていう教え」

マユカの説明を聞いていると、人間の自分勝手さの杏奈の表が曇る。ミャーがいつか言っていた「人間の罪のせいでが巻き添いくった」という話も本當なのかもしれない。

杏奈はよく知らないが、ペット業界も闇が深いと聞く。玉子や、牛にとっては殘酷な方法で得ているらしい。

別にベジタリアンになりたいわけではないが、わざわざを痛めつけてや卵を得る事は必要なのかわからない。ミャーがいう罪という事はよくわからないが、結局人間が自分のを抑えきれないから、が傷ついているという事は杏奈も理解できた。が「人間よ、自分のを悔い改め、神様と和解しろ」と願っていたとしても、不思議ではない。

「この町であった三貓が殺された件だけど、銃価の連中の仕業ね。うちの親は実行部隊でさ、拐するのが仕事なの」

こうしてマユカの証言をえて、ミケ子を殺した犯人があっさりとわかってしまった。やっぱり藤也の言う事は間違いなかったようで、杏奈はため息が溢れる。

本來なら仕事の準備をする時間を過ぎているが、今日は仕方ない。マユカの話を聞くのが優先だろう。

「銃価の連中、また貓殺すみたい。うちに一匹白い貓いるし。たぶん、今日の夜。気をつけて」

マユカの話を聞いて、時間が迫っている事に怖くなったが、この忠告するような口ぶりはSNSの屆いていたDMを思い出す。聞くと、やっぱりマユカが杏奈のSNSにDMを送っているようだった。

『でもどうするの、杏奈。このままでは、ナァちゃんも殺されちゃうわよ』

「杏奈さん、銃価の連中を止めてくださいよ!」

マユカに泣きつかれたが、どうすれば良いのかわからない。

「警察は頼っても無駄。うちらの町の警察、ほとんど銃価信者だもん。言っても聞いてくれないよ」

さらにマユカにこんな事も言われ、杏奈は頭を抱える。

「どうしよう……」

単なるネコ殺しだとは思っていなかったが、もうこの事件は杏奈の手に負えない。

とりあえず、ミャーやマユカを藤也に教會に連れていき、丸投げする事にした。

「よし、銃価の連中を捕まえるぞ!」

逆に藤也は、燃えていた。

この事件、どうなる?

とりあえず、貓のナァだけは助かってしいと願いながら杏奈は自分のカフェに向かった。

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