《ネコと和解せよ〜ネコとカフェ店長の謎めく日常〜》37話 アイシングクッキー
翌日、杏奈はご機嫌で仕事をしていた。
三郎とデートする日が決まった。三郎とは何となくいいじで連絡を取り合っていたが、々大袈裟に喜びを表現した聲で電話したら、トントン拍子にデートの日付が決まった。
やっぱり藤也の言っていたモテテクニックは効果あり?
信じられない気持ちだったが、今までにない手応えをじた。
仕事は忙しかったが機嫌が良いので、そんなに苦にもじず、閉店の時間になった。
今日はとりあえず藤也に頼まれたクッキーの試作品を作ってみようと思う。
クッキーのデザインは、昨日ミャーと藤也に相談して何パターンか決めた。黒貓のアイシングクッキーと花の形のアイシングクッキーだ。いかにも子ウケするデザインだ。
正直、材料費も手間や時間も痛いが、たまにが損得勘定抜きの仕事も良いのかもしれない。
藤也の教會では生活困窮者に食糧を配布するイベントもたまにやっているらしい。ボランティアで食糧を配布してくれる飲食店や農家もあると聞き、やっぱり頭の中で電卓叩き過ぎるのも良くないと思わされた。どうも最近は頭の中の電卓の能が悪くなってきたようだ。
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自分だっていつ生活困窮者になるかわからないし、日本はこう言ったボランティアや寄付はあまり付いていない事を考えると、たまには良い行いもしても良い気がした。
さっそく廚房にり、アイシングクッキーの試作品を作ろうとしたところ、マユカがやってきた。
今日は制服姿でなくジーンズに白シャツという格好だった。梨子に看病の帰りで、ろくに學校にも行けていないようだ。今日はちょっと勉強を教えてもらう為に來たそうだが、廚房で何かやっている杏奈を見て気が変わったらしい。
「杏奈さん、アイシングクッキー作るの?」
「ええ。ちょっと藤也に頼まれちゃってね。今日は試作品だけど」
「いいなー。私も作ってみたいな。アイシングクッキーってSNS映えする可いのでしょう?」
どうもマユカは、アイシングクッキー作りに興味がありようで、手伝ってもらう事にした。
まず材料を計るのをマユカにやって貰い、生地を作った。
生地は30分程度冷蔵庫に寢かせる。
その間、ボウルやヘラを片づけ、クッキーカッターなどの準備をする。
し手が空いたので、マユカに梨子の事を聞いてみる事にした。
「ところでマユカ。お母さんは大丈夫?」
マユカは微妙な表を浮かべた。
「全然大丈夫じゃないじ。事件の時の記憶もあんまり無いみたい。警察が來たけれど、あんまり話せてなかった」
「警察は調査してるの?」
「さあ。でもあんまりヤル気無いみたい。まだママの自殺疑ってる」
そんな話をしているうちに生地が出來たようで、のし臺にうちをふり、麺棒でばす。なぜかマユカがこの工程をやりたがった。
「なんか麺棒って楽しくない?」
「よくわかんないわね……」
ジェネレーションギャップかマユカの考えてうる事はよくわからない。
ただ、型抜きする作業は楽しく、杏奈もマユカとキャッキャと言いながら手をかしていく。
「すでに可い! 萌える!」
マユカは貓や花で型抜きされたクッキーを見てとても喜んでいた。この姿を見ていると、やっぱり人が喜ぶ様子を見ているのは悪い気持ちにならない。とすると藤也というか聖書が言っている事は本當か?
そんな事をチラチラと考えてつつ、型抜きされたクッキー生地をオーブンにれる。
その間にアイシングの準備をする。砂糖に卵白をれ混ぜ、泡立てる。ツノが出るまで泡だてたら著していく。
その間にマユカにはアイシングするために使うコルネを作ってもらった。
そうこうしているうちにクッキーが焼き上がり、甘いバターの香りが廚房に広がる。
クッキーを冷ましたら、いよいよアイシングだ。
貓の形のクッキーに竹墨の黒アイシングを絞ってつけていく。それができたらその上に目や鼻も描いていく。
なかなか細かい作業で骨が折れるが、杏奈もマユカも集中して何枚か完させていく。
マユカは初めてアイシングクッキーを作った割には、用でよくできていた。
「っていうか、すごく無い? 杏奈さん。可い!」
出來上がった貓のアイシングクッキーを自畫自賛していたが、確かに悪い出來ではない。
ここで杏奈の頭で計算が働く。アイシングクッキー作りをマユカに手伝って貰えればかなり時間と手間が削減できる。
杏奈は事を説明し、しばらく閉店後クッキー作りを手伝ってくれないか提案した。
「もちろん、タダでとは言わないわ。夕飯奢ってあげる。勉強も見てあげる。これでどう?」
「やります! ミャーちゃんの役に立てるなら嬉しいし!」
即決だった。
こうしてマユカとしばらく閉店後一緒にアイシングクッキーを作る事になった。
出來上がった黒貓のアイシングクッキーはミャーそっくりだ。
手作りだけあって一枚一枚微妙に表が違って味がある。そして可い!
「杏奈さん、これなら教會のイベントに興味持ってくれる人増えるんじゃないですか?」
「そうね、そうだと良いわね」
出來上がった可いクッキーを眺めながら、杏奈は事件の事などすっかり忘れていた。
「確かに可いわね!」
「ですね、杏奈さん!」
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