《ネコと和解せよ〜ネコとカフェ店長の謎めく日常〜》43話 あれ
「みなさん、ようこそいらっしゃいました。昨今は、カルトの事が問題視だされる中、教會に足を運ぶ事自、大変な事だったのかもしれません」
藤也が挨拶をし、イベントが始まった。いつもと違ってちゃんと髪をセットし、スーツを著ている。ちょっと堂々としていてサブカル系モヤシ男っぽい雰囲気が消えている。
「ま、そうは言っても今日は気軽なイベントです。テーマは可い貓です。今日は貓視點もった聖書の創世記の説明畫を流します。アイシングクッキーでも食べながら、楽しんで言ってください」
藤也がそういい終えると、禮拝堂の照明が落ち、プリジェクターから畫像が出てきた。「創世記と貓」というタイトルだった。語風に進んでいくようだ。
客達は、思わず拍手をしていた。杏奈の膝の上にミャーが乗ってきた。
プロジェクターの畫像と藤也のナレーターと共に始まった。
聖書の創世記を引用しながら、神様が7日でこの世界を創っていく過程が語られていた。
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神様は「あれ」と言葉を発すると、実際に想像できる。畫像では神様の顔ははっきりと描寫されず隠されて描かれてうたが、杏奈にもその凄さは伝わってくる。
「神様は言葉を発して何でもつくれるんだ」
『そうよ、杏奈。人間の言葉にもそこそこ力はあるけど、スピリチュアルみたいに言霊で思い通りにする事は無理だからね』
杏奈とミャーは小聲で話すが、やっぱりここで騒ぐのは良くないので口を閉じる。
こうして神様は1日目に、地、夜を創った。その後、空、海、植、太、魚、鳥と創っていく。
藤也の語り口も堂々としているし、プロジェクターの畫像のイラストも意外と上手い。杏奈もついつい引き込まれて見ていたし、客の子供達も大人しく聞いていた。
「そして6日目だ。獣と家畜、そして人間を創りました」
藤也がそういうと、一匹の三貓のイラストがプロジェクターに現れる。
前の方の席に座っている鳩子の様子は、後ろに座っている杏奈にはわからないが、し気になってしまった。
「この貓も神様に創られた。あぁ、可いね!」
子供達が「可い」と騒いだので、藤也も笑いながらそう言っていた。こうして見るとちょっと保育園の先生みたいにも見える。
貓の畫像が切り替わる。橫に漫畫みたいにセリフが描かれていた。
『わたしは、神様に完璧に創ってもらった。この模様も耳もしっぱも、モフモフな並みも完璧でしょう?』
この貓ちょっとナルシスト?とも杏奈は思ったが、その貓の視線の先には神様の姿があった。自分より神様が大好きな事は子供でもわかる絵の構図だった。目もハートになっている。
畫像が切り替わり、アダムという人間が創られた絵が出てくる。
「ここで神様は人間を創りました。アダムと言います。おや貓は、アダムがちょっぴり羨ましそうですね」
また畫像が切り替わる。
貓も絵と共にセリフがあった。
『アダムはいいな。神様と直接會話できるし、祈れるし。讃歌も歌える。貓は霊を持っていないから、神様をする事はできないの』
ょっと寂しそうな貓の絵がプロジェクターに切り替わる。
「人間は、神様が息を吹き込んで創られました。これが『霊』です。にはこれがありません。人間だけが特別に神様に祈ったり、讃する事が出來ます。はできません。人間は特別なんですよ」
藤也に説明を聞きながら、杏奈はと人間の違いは実する。まだ聖書の話を信じているわけでは無いが、確かに人間だけは違うとじる。
「人間は神様の似せて創られました。いわば親と子のようなじですね。だから人間にも良心や正義みたいなものも一応備わってはいるんです」
「牧師さん、質問! だったら、何で戦爭があったり、いじめがあったりするの?」
一人の子供が質問した。
確かに神様は完璧に大地や獣、人間を創ったのになぜか悪い事があるのか杏奈も疑問に思う流れだった。
「それは、これから説明しよう。こも完璧な神様が創った世界だったが、悪魔もいたんだ。神様に反抗して勝手に墮落した悪魔がね」
畫像は蛇の絵に切り替わる。
『特別扱いされてる人間が憎い!そうだ、人間をして墮落させてやろうby悪魔』
嫌らしい蛇の絵に、今までのほのぼのムードふが壊れる。
こうして蛇に擬態した悪魔は、アダムの妻・イブにし、夫婦共々墮落させる事に功。
こうして世界に罪がったしまった。人間ももちろん、獣や植も全て呪われたものになってしまった。
再び貓の畫像に切り替わる。今度の貓は、しハラハラした表だった。
『お願い、人間!神様と和解して!』というセリフとともに、食べを自分で捕まえて得なければならなくなったり、大きなに支配されていじめられる可哀想な貓の絵が次々と現れる。
「こうして貓も巻き添いをくらって大変なことになりました」
「牧師さん、これからどうなるの?」
子供が質問する。
「そこで救い主が現れます!」
藤也は笑顔を見せて、再び切り替わった畫像には十字架に架けられたイエス・キリストの絵があった。
「罪の無いイエス様が、我々の罪も呪いもこの十字架で全て背負ってくださいました。イエス様を信じることによって罪が浄められ、神様と和解できる事ができるのです! 行いでは信じるだけでです。もちろん、無料です。神様は人間を死ぬほどしていますから」
なぜかわからないが、この話を聞いてに込み上げるものがあった。
貓の畫像に切り替わる。
神様のそばで笑顔で走り回っている貓の絵だった。
こうしてプロジェクターに畫像も終わり、藤也の発表も終わった。子供達の質問に次々と藤也は答えていて、禮拝堂の中は騒がしくなった。
「意外と良かったわ。これだったら、なぜ『神と和解せよ』ってキリスト看板で言ってるのか腑に落ちたわ」
杏奈は小聲でミャーに話しかける。
「それにしても貓みたいな可いも創れる神様ってすごいわねぇ。この耳とか、どんな考えで創ったのかしら」
膝の上に乗ったミャーの姿形を見ながら、杏奈はしみじみ呟く。
『杏奈も神様の事知りたくなった?』
「う、そう言われると知りたくなったかも……」
意外とこのイベントは盛り上がり、大好評で終了した。貓のアイシングクッキーも全部配り終え、「またやってほしい!」と子供達に言われるほどだった。
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