《ネコと和解せよ〜ネコとカフェ店長の謎めく日常〜》番外編短編・真澄先生の惚気
ある日の閉店間際、真澄が杏奈のカフェにやってきた。
真澄は元同僚だった英語教師で、時々店に遊びに來てくれる。
ちなみに婚約中で、相手は牧師だった。
「一つ聞きたいんだけど、真澄先生はお相手にどこがいいの?」
杏奈からしたら疑問だった。牧師というと藤也の顔がチラつき、どこが良いのか疑問だった。
「えー、だって彼は聖書に書いてある通り、命懸けで奧さんすって言うんだもん。そんな事言われてキュンとしないはいないでしょ」
「へぇ。聖書にはそんな事が書いてあるのね」
「そう。ただ、は夫に従いなさいって書いてあるの。だから私も結婚前にクリスチャンにになる為に洗禮準備中」
「は?そこまでする!?」
杏奈は信じられなかった。
「そう。クリスチャン同士でしか結婚できないんだって。彼の教會の信徒では、彼がクリスチャンになるまで何十年も待った人もいるみたい。そんな事聞かされるとねぇ……」
「へぇ……」
杏奈の頭には再び藤也の嫌味っぽいドヤ顔が浮かぶ、あんまり憧れない。
「でも同じお墓にれるし。っていうか天國まで彼とずっと永遠に一緒にいられるっていうのが、素敵過ぎて…。そんな事聞かされたらさ……」
そう言って微笑む真澄は、いつもよりちょっと可く見えた。
「ところで杏奈先生はあの教會の牧師さんとは仲良さげだったけど、いいじなの?」
「はー? 藤也? それは無いわ。今月もお金なくてコンビニでバイトしている男は嫌です!」
ばっさりと言い切る杏奈に、真澄は苦笑しながら首を傾けた。
「私は杏奈先生とお似合いだと思うんだけどなー」
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