《ネコと和解せよ〜ネコとカフェ店長の謎めく日常〜》番外編短編・名付け

「それで、うちの子の名前をなんてつけようか困ってるのよねぇ」

鳩子はコーヒーを啜るとため息ついた。

今日は午後、鳩子が杏奈のカフェに遊びにきた。謀論者たちが押し寄せるカフェに鳩子と絵はドン引きし、最近はあんまり來なかったが、新メニューのアイシングクッキー目當てでやってきたようだ。

鳩子は新しく飼うことになった虎貓の名付けに困っているという話で相談された。元々三郎が飼っていた貓を幸運が重なり、鳩子が飼う事になった。

「三郎は神って名前つけたけどね」

そんな事を思い出し、三郎の異常な貓好きに杏奈もため息が出そうである。今は犯罪者として警察に捕まってるが、もう彼は貓はを飼わない方が良いだろう。

「そんな、神だなんて名前はやめた方がいいっすよ」

カフェでバイトするようになった藤也がテーブルを拭きながら口を挾む。

「神様はお一人だけです。正確にいえば父、子、聖霊の三位一の神様ですが。神なんていませんよ」

「そう牧師さんに言われるとガチっぽいわ!」

「それはともかく、鳩子さんちの虎貓の名前、どうするの?」

杏奈はそう言い、いくつか思いついた名前をあげてみた。

「うーん、イマイチぴんとこないわねー」

鳩子は杏奈の提案にはあまり納得していないようだった。

「じゃあ、聖書からとりましょうよ。マルコとかどうですか? 響きだけはやたらと可いですよねぇ」

「まあ、牧師さん、いいじゃない。マルコ、確かにいいかも!」

藤也が口を挾み、鳩子の家の貓の名前はマルコに決定してしまった。

後日、鳩子からマルコとツーショット寫真が送られてきた。鳩子の膝の上でだらけるマルコは、幸せそうだった。

元の飼い主が犯罪者というマルコだったが、とりあえず良い飼い主の元に行けて良かったと思う杏奈だった。

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