《キチかわいい猟奇的とダンジョンを攻略する日々》日比野天地 彼の地にて、斯く戦えり
ざんねん!!
わたしのぼうけんはこれでおわってしまった!!
脳裏に不吉な辭世の句が流れる。
目の前のコブラソルジャーが、大鎌を持った死神にしか見えない。
待て待て、こういう時こそ落ち著いて考えろ。
俺が今取るべき行……この死地から生還するための行を。
と言っても、ない知恵をどれだけ絞っても、選択肢は三つしか出てこない。
①強行突破、倒してゴールイン
②倒すとかマジ無理、何とかすり抜けてゴールイン
③安全第一、後ろを向いてダッシュ
……うん、考えれば考えるほど絶的だ。
まず、③は論外。
この辺りで、他にセーブクリスタルがある部屋はない。
マユと一緒に散々歩き回ったから確かだ。
ここ以外の最寄りとなると一時間はかかるが、そこへ著くまでに間違いなくジ・エンド。
となると、そこの蛇野郎をぶっ倒してからを張って凱旋するか、それとも気を逸らすなり隙を作るなりして穏便に通り抜けるか、という二択になる。
正直、どっちも厳しい。
コブラソルジャーは、俺が今まで出會った魔の中でも上位に位置する強さだ。
今までって言ってもたかだか一週間だが、それでも俺には太刀打ちできないことに変わりはない。
田辺さんも「ここらで出ることはまずないけど、もし遭遇してしまったら要注意」と言っていた。
コイツの脅威は、多彩な攻撃と戦いづらさにある。
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右手のハルバードから繰り出される強烈な斬撃だけでも厄介なのに、それに気を取られると、人間など丸飲みにできそうな大口が高速で飛んでくる。
さらには、視界の外からグネグネと変則的なきをする尾が、足に絡みつく瞬間を虎視眈々と狙っている。
つまり、三點からの攻撃を常に警戒する必要があるのだ。
それなら防面に付ける隙があるはずだと思ったら、そうは問屋が卸さない。
間合いの広いハルバードと長いリーチに阻まれて近づくことすらできないし、よしんば間合いにったところで、獨特のさばきと左手のバックラーによって巧みに攻撃を防がれてしまう。
攻守ともに優れた強敵だ。
ゴブリンとの戦闘経験すらろくにない俺には、荷が重いどころの騒ぎじゃない。
五回死んでも倒せそうにない。
殘る希は……。
「サユ……一応聞くんだけど、魔法なしでアイツを倒せたりする? もしかしなくても、お前のレベルなら朝飯前なんじゃねえか?」
「む……む、む、むり……っ! ま、魔法……が、ないと、あた、あたし……絶対、絶対ムリ……!」
「……そうか……。わりぃな、分かった」
そのレベルでビビリ過ぎじゃないか? とは、これっぽっちも思わない。
確かに、レベルが高いと強い、圧倒的なまでに。
サユだって、さっきまで魔法を駆使して魔をバンバン駆逐してたし、腕力や素早さにしたって俺より斷然上のはずだ。
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だが、ダンジョンではレベルが上がってもHPや防力は全く変わらないのだ。
仮に、コブラソルジャーの禍々しい武に貫かれたら……鋭い牙に噛み付かれたら……強靭な尾に締め付けられたら……。
サユは死ぬ。
レベル3の俺と同じように、あっけなく。
それだけ、ここでのレベルや強さってのは脆く、危ういものなのだ。
何より、サユは俺より年下の小さなの子だ、恐くないわけがない。
魔法を使って遠くから安全に倒す……普段は楽観的だが、それがサユにできる一杯なのだろう。
マユのように、無防備に無鉄砲に無計畫に突っ込んでいけるのが異常だ。
「サユ……俺ができるだけ引き付けるから、隙を見て通り抜けろ」
「そんな……! ダメだよ、てんちにぃじゃ死んじゃうよっ!」
「うっ……言ってくれるなー、おい。大丈夫だ、武だって持ってるし、無理はしねーよ」
「でも……でも……っ!」
「ここは俺に任せて先に行け! ……なんてな、ハハ、ハハハ……」
「全然笑えないよぉっ!」
強がって、カッコつけて、乾いた笑いを浮かべる俺。
そんな俺を心配そうに見つめるサユ。
我ながら何やってんだろうな、こんな自ら死に急ぐような真似して。
それでも、こうする他どうしようもねーだろ。
まさか、怯えるを戦わせて自分は隅っこで応援ってわけにはいくまい。
もう俺にできることは、々こうやって自分を無理矢理にでもい立たせることだけだ。
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俺は覚悟を決めて、鉈をコブラソルジャーに突きつける。
やってやる……やってやる……っていうか、やるしかねえ……。
「よおおし……こ、こいっ蛇野郎! お、俺がブツ切りにしてやるよ!」
「シュルシュル……シャアアアアアアッ!」
ひえええええええええぇぇぇ!
こ、こわーっっ!
俺の中の勇気ポイントを大量消費して挑発したところ、見事に俺をロックオンした……まではいいが、コブラソルジャーの威嚇音によって膝はガクガク震えて、足がまるで言うことを聞かない。
蛇に睨まれた蛙のように、がすくんでけない。
ダメだ……戦う以前の問題じゃねえか、くっそ……!
「て、てんちにぃ! やっぱり、あたしも……」
「ま……ったく問題ねえよ、ノープロブレム。どう料理してやろうか考えてただけだ。倒す前と倒した後の二つの意味でな。でも、コイツはそうだよな~、毒もありそうだしさぁ、ハハ、ハ……ハハ……」
「ど、どう見ても、だいじょーぶじゃないよぉー……」
ええい、ビビってんじゃねえ!
ビジョンだ、勝てるビジョンを思い描け。
そうだ……そうだ……振り返れば、この一週間でコイツとは三回も出くわしてるけど、いとも簡単にマユが瞬殺してムシャムシャ食ってたじゃねえか。
そりゃもう、ゴブリンやコボルトと何ら変わらず、あっさりと殺ってうまそうにムシャムシャと。
あの時のきだ……。
俺に同じきができるだなんて、おこがましいことは考えてない。
だが、マユになった気持ちで戦えばイケる気がする。
もう、何も恐くない……って気分になれる気がする。
自分がこの世で最強になったような、背中に羽が生えたように自由になったような、視界がぶわっと広がったような、そんな気がする。
所詮は小賢しい自己暗示に過ぎないが、今の俺にはこれ以上ない心強さだ。
「シャアアアアアアアアアアアアアアアッ!」
「てんちにぃ!」
ひとしきり睨み終えたコブラソルジャーがるように近づき、命を狩りにくる。
俺は、一番の脅威である長大なハルバードの矛先に向かって、思いっきり鉈を叩きつけた。
耳の奧までつんざく金屬音とともに、両腕が元までビリビリと痺れる。
互いの武が衝撃に耐えかねて大きく弾かれた。
が、コブラソルジャーはすぐに武を構え直すと、俺より早く連続の突きを見舞ってきた。
刃渡り六十センチ足らずの鉈を両手持ちしている俺より、重量のあるハルバードを片手で扱うコブラソルジャーの方が、攻撃の速さも鋭さも一段上ってどういうこった。
レベル3になって調子に乗ってたが、まだ腕力では向こうに軍配が上がるようだ。
……つーか、俺が勝ってる項目が一つでもあったら誰か教えてください、マジお願いします。
「あ、足、足っ! 気をつけてっ!」
「!? う、ぉわあっ!」
絶え間なく繰り出される突きを何とか躱すことに集中していたら、いつの間にかコブラソルジャーの尾が俺の足元まで忍び寄っていた。
俺は慌てて後方へ飛び退いて回避する。
あ……っぶねぇぇぇぇぇ!
気をつけていたつもりだったが、言うは易し行うは難し。
てか、無理だろこれ。
っくそ、守りに専念してもジリ貧どころか壽命が秒単位で増えればの字じゃねえか。
こうなったら、イチかバチかの特攻を仕掛けるしかない……。
マユが倒した時の記憶を辿ると、コイツはかなりしぶとい奴で、手をぶった切ったりを真っ二つにしたりって程度じゃ死なず、怯むことなく攻撃してきた。
……首だ。
蛇の首がどっからどこまでなのか定かじゃないが、とにかく首を刎ねたら即死していたはずだ。
「シャアアアアアアアアアッッ!」
「う……おおおおおおおおおおおっ!!」
俺の首を寸分違わず狙いすまして大振りに薙ぎ払われたハルバードの先端をギリギリで掻い潛り、恐怖を吹き飛ばして一気に懐へとり込む。
こええええっっ!
けど……これは、殺った!
自分の勇気を賞賛しながら、思わず笑みをにじませて厚の刃をガラ空きの首へ――。
「んなっ……!?」
コブラソルジャーの首がありえない角度、ありえないスピードで直角に折れる。
渾の力を込めた一撃は空を切り、けるはずだった抵抗を失った鉈の勢いは止まらず、俺は振り回されるように勢を崩した。
瞬間、コブラソルジャーの目が、粘つく笑みを浮かべるように細く引きばされるのを見た。
やっっべえ!
気付いた時には、左足に太い尾が二重三重に巻きついていた。
すぐさま解こうと鉈を振り上げる。
しかし、コブラソルジャーが左手のバックラーで俺の右手を激しく打ち付けると、俺の唯一の武は回転しながら高々と舞い上がり、無にも手元から離れていった。
やばいやばいやばいやばいやばい!
と、とにかく尾を――。
頭が真っ白になって、素手で引き剝がそうとした、その時。
俺の足に激痛が走った。
ボキボキベキキバキッパキャ!
「ぐっ……あああああああああああああああああ!!」
骨が折れただなんて生易しいもんじゃない。
々に砕けた。
想像を絶する痛みに、俺はこれまでの人生で記憶にないくらいの絶を上げた。
中の覚が全て左足に集まったんじゃないかと錯覚する。
事実、手はかないし頭も働かない。
ただただ、燃えるような痛みだけが俺を支配した。
いっそ左足を切斷できたらどんなに楽だろうか。
苦しみで歪む視界の中央で、コブラソルジャーが口を大きく縦に開く。
鉤爪のような二本の牙が、小刻みに振する割れた舌が、糸を引く唾が、奧に広がる暗闇が、ゆっくりゆっくりと近づいてきて…………。
「や…やめてーーーーーーーーっ!」
絞り出すようなサユの悲痛に満ちた聲が耳を吹き抜け、の覚を取り戻す。
次の瞬間、弾丸のように飛來するがコブラソルジャーの右目を直撃した。
「キシャアアアアアアアアアアアアアッッ!」
しぶきを上げながら頭部を仰け反らせるコブラソルジャー。
何が起こったのか理解できず呆気にとられる俺は、足の締めつけが緩んだことに気付いた。
力のらないを鞭打って何とか出に功し、転げ回って距離を取った。
「な、何が……一…………」
「てんちにぃ! だ、大丈夫!?」
心配そうにすぐさま傍に駆け寄ってきたサユを見ると、その手には……こぶし大の石が握られていた。
「そ……それ、を……投げた……のか?」
「う、うん……なんとかしなきゃって思って、必死に……」
あのショットガンみたいなハンパねえ威力が……石ころ!?
多分、俺は今ものすごく間抜けな顔をしているだろう。
そのくらい驚いた。
なるほどなぁ、石つぶてかぁ、その発想はなかったわぁ……。
「けっこう効いたみたい、だけど……だけど、もうダメかも。ちょうどいい石がないし、注意されると防がれちゃいそうだよ」
「そ、そっか……いや、マジ助かったよ、ありがと」
「う、ううん……でも、その、あ、足……足が……」
「……ま、こんくらいへーきへーき」
泣きそうな顔と震える聲をしでも解消させたくて虛勢を張ってみたが、いかんせん俺がよほどヤバそうに見えたのか、サユの様子はますます悪化してしまった。
うん、しゃーない。
足がこれだけグチャグチャになって普段通り振る舞えるほど痛みに耐ないし。
ていうか、裾をまくったら足がどんな狀態になってるのか怖くて直視できない。
「ご、ごめん……やっぱり、あたしが戦うよ。こうなったのも全部あたしのせいだし、レベルだって……」
「待った待った! もう一回だけ俺を信じてくれ。考えがある」
「…………ほんと?」
「ああ、次こそ倒せる」
正直なところ、考えと呼べるほどのものじゃないので七割は噓だ。
ちなみに、殘りの三割は願と現実逃避でピッタリ埋まっている。
「…………ほんとにほんとにほんと?」
「ああ……って、こんな言い合いしてる場合か! 任せろって」
依然として不安な表は晴れなかったが、俺の真剣さが伝わったのか、サユはそれ以上口出しすることはなく、靜かに頷いた。
「よし、じゃあサユにもしだけ手伝ってしいことがあるんだ。まず……」
手短に作戦を伝え終わると、投石によって片目を潰されて悶絶していたコブラソルジャーも完全に戦闘態勢に戻り、興した様子でハルバードを突きつけてきた。
「やる気満々ってじだな……。ったく、できることなら平和的に話し合いで解決したいってのに……」
さっきの二の舞を避けるべく、俺は慎重に相手の出方を……うかがうことなく、一見すると無謀とも思える突進を決行した。
一見どころか、録畫して百回見直しても自殺行為だろう。
しかし、この負傷した足とリーチの差があったら、距離を取っても百害あって一利なし。
やはり間合いを詰めて長武の長所を殺し、相手の行を制限するのが一番。
「あ~うまくいく気がしねえ……。でも……ええい、ままよっ!」
萬全の狀態ですら、半分以上は運に助けられてなし得た荒業だ。
ご覧の有様である現在の功率は、それはもう悲慘なものであろう。
タイミングを誤れば……結末は言うまでもない。
俺は鉈を杖代わりにして無様に特攻し、ハルバードの攻撃範囲にギリギリるか否かになった瞬間、恐怖を吹き飛ばす意味も込めて聲のあらん限りんだ。
「サユ! 今だっっ!」
「い……っけーーーーーーっ!」
俺の合図を聞いて、サユは手にした石の塊を力いっぱい投げつけた。
大リーグ投手も足で逃げ出す剛速球だったが、すでにサユを俺以上に警戒しているコブラソルジャーは、バックラーで難なく弾き落とした。
貴重な殘弾は不発に終わったが、計畫通りだ。
コブラソルジャーが衝撃でぐらついたことと、注意力の大半がサユに向けられていることによって、俺が懐に潛り込む時間と隙は十分に作られていた。
ここで首に鉈を一閃……ってのは、俺の攻撃速度じゃ無駄だと學習済みだ。
俺のレベルでコイツを倒すには、もっと決定的なチャンスを生み出さなければいけない。
だから――。
「食らえっ! 必殺……調味料(シーズニング)ッ!!」
俺は左手を突き出し、唯一にして最弱のスキルを使った。
いかにも強力な攻撃魔法を放つような迫力と、つい今しがた右目をえぐられた記憶がこびりついたせいもあって、コブラソルジャーは俺の左手を避けて首を大きく左に倒した。
しかし、全MPを費やして勢いよく噴出した九十グラムのコショウは広範囲に及び、コブラソルジャーの殘る片方の目にしっかりと命中した。
「キシャアアアーーーーーーーーッ!」
「よっしゃっ!!」
思わずガッツポーズを決める俺の前で、コブラソルジャーは完全に視覚を奪われてをよじる。
これで心置きなく首を落とす一太刀を……。
という考えを察してか、コブラソルジャーはを小さく集させつつ、バックラーで首をガッチリと守って、スルスルと後退し始めた。
だが、この行も予想通り。
「お……っらあああああ!」
俺は落ち著いて、ハルバードを握るコブラソルジャーの右手を斬り落とした。
「やっ、やったーーーーっ!」
サユが喜びの聲を上げる。
が、まだ早い。
まだ攻撃手段を一つ奪っただけだ。
ここで油斷したら間違いなくあの世行きだ。
でも、大丈夫、問題ない、落ち著け、慌てるな、取りすな、クールになれ、次の行も読めてる。
「シュルルルル……シャーーーーッ!」
右手を失い視覚を絶たれたコブラソルジャーは、意を決したように天を仰いで今までにも増して激しく鳴くと、バックラーを振り回しながら猛然と迫ってきた。
追い詰められた生の、想像を遙かに超える威圧に息が詰まり、たじろぐ。
「てんちにぃーーーーーーーッ!」
サユの聲に勇気づけられて、鉈を持つ手にギュッと力をれ直す。
ビビるな、計畫通りだ。
コイツは今、予想外のダメージと視覚を失ったパニックによって冷靜さを欠き、俺達のいる方を強引に突破しようとしている。
後ろの部屋にはセーブクリスタルがあって近づけないから、そうするしかない。
だから、聴覚だけを頼りにがむしゃらに突っ込んでるだけだ……多分。
その証拠、とまでは言えないが、大聲でんだサユを目指して特攻を仕掛けている……気がする。
つまり、俺がすべきことは。
正確な位置を悟られずに……止めを刺す!
「が、がんばってーーーーっ! やっちゃえーーーーーー!!」
結局、サユには攻撃される危険を冒して注意を引きつけてもらっている。
まったく、けねえなぁ、カッコわりぃなぁ、よええなぁ、俺……。
ここまで援護してもらったんだ、足が痛いとか怖いとか言ってられっか。
コイツは、今、ここで、確実に仕留める!
意地があんだよ、男の子には!
「――――ッ!!」
俺は地面に落ちたハルバードを靜かに拾い上げ、脇を通り過ぎようとするコブラソルジャーの尾を半ばから思いっきり叩き切った。
「キッ……シャアアアアアアアアアアアアッ!」
バランスを崩して頭から倒れるコブラソルジャー。
咄嗟に首を守ったバックラーを持つ手を、今度は鉈で――。
ズカッ!!
「シャアアアシャーーーーーーーーーーーーッ!!」
最後に……!
最後に、曬し出された首を、腰を捻って、おおきく振りかぶって――!
バクンッッ!!
…………ばくん?
「て……て、てんち……にぃ…………」
俺は自分の左腕に目を向け、そして気づいた。
コブラソルジャーの巨大な口が、深々と食らいついていることに。
幸いなことに、巨大な二本の牙はかろうじて避けているものの、ギリギリギリギリと左腕が圧迫され――。
ミシ……ミシ……ボギッベキ!
あっけなく折れた。
やばい……やばいやばいやばいっ!
早く早くはやくはやくハヤク――――ッ!
俺は右腕だけで何度も何度もコブラソルジャーの首を斬りつける。
しかし、力がらず、なかなか切斷には至らない。
斬りつける度に衝撃が脳天まで電流のように伝わり、腕の圧迫が強く、だんだんだんだんと強くなっていく。
死にたくない、死にたくない、という執念が痛みとともに伝わってくる。
「ちっ……くしょおおおおおおおおおおおおおおおっっ!!」
俺は雄びを上げ、最後の力を振り絞り、コブラソルジャーの首を斬り飛ばした。
「てんちにぃーーーーーーーっ!!」
サユが急いで駆け寄ってくる姿が、視界の端に映る。
しかし、その姿が俺に到達する前に。
目の前が、頭の中が、真っ黒に染まり…………。
俺は、崩れ落ちた。
【書籍化】誰にも愛されないので床を磨いていたらそこが聖域化した令嬢の話【コミカライズ】
両親の愛も、侯爵家の娘としての立場も、神から與えられるスキルも、何も與えられなかったステラ。 ただひとつ、婚約者の存在を心の支えにして耐えていたけれど、ある日全てを持っている“準聖女”の妹に婚約者の心まで持っていかれてしまった。 私の存在は、誰も幸せにしない。 そう思って駆け込んだ修道院で掃除の楽しさに目覚め、埃を落とし、壁や床を磨いたりしていたらいつの間にか“浄化”のスキルを身に付けていた。
8 69星の海で遊ばせて
高校二年生の新見柚子は人気者。男女関係なくモテる、ちょっとした高根の花だった。しかし柚子には、人気者なりの悩みがあった。5月初めの林間學校、柚子はひょんなことから、文蕓部の水上詩乃という、一見地味な男の子と秘密の〈二人キャンプ〉をすることに。そんな、ささいなきっかけから、二人の戀の物語は始まった。人気者ゆえの生きづらさを抱える柚子と、獨創的な自分の世界に生きる文學青年の詩乃。すれ違いながらも、二人の気持ちは一つの結末へと寄り添いながら向かってゆく。 本編完結済み。書籍化情報などはこのページの一番下、「お知らせ」よりご確認下さい
8 62【第二部連載中】無職マンのゾンビサバイバル生活。【第一部完】
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8 183世界最強はニヒルに笑う。~うちのマスター、ヤバ過ぎます~
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