《キチかわいい猟奇的とダンジョンを攻略する日々》彼らの死亡フラグが留まるところを知らない

NAME:Tenchi Hibino

LV:4

STR:28

AGI:32

INT:38

MP:23/34

SKILL:Seasoning,Magical cooking

(『調味料』『魔法の料理』)

NAME:Hime Hibino

LV:3

STR:29

AGI:48

INT:56

MP:22/22

SKILL:Assassination

(『暗殺』)

NAME:Meguru Amayagi

LV:14

STR:84

AGI:104

INT:301

MP:162/192

SKILL:Writer,Scanning,Bookmark,Hearing ability up

(『作家』『解析』『ブックマーク』『聴力上昇』)

NAME:Ronin Flockhart

LV:13

STR:127

AGI:169

INT:159

MP:128/146

SKILL:Photographer,Flash,Dynamic visual acuity up,Luck up

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(『寫真家』『フラッシュ』『視力上昇』『運上昇』)

NAME:Gouken Kogarashi

LV:38

STR:665

AGI:513

INT:402

MP:327/398

SKILL:Buster swing,Guard break,Hard crash,Physical strength up,Vitality up,Flame resistance,Cold resistance,Hardening,Recuperative power up,Guts,War cry

(『バスタースイング』『ガードブレイク』『ハードクラッシュ』『筋力上昇』『力上昇』『炎耐』『冷気耐』『化』『回復力上昇』『』『雄び』)

悲しい……悲しい話をしよう。

俺達には、ダンジョンでも十本の指にる実力者であらせられる頼もしき元ヤクザ、マユパパというチート級の心強い『舎弟』(←ここ大事)がいた。

ゆえに、俺はどんな相手が現れようと「ビビってんのかオェーイ!」と安全な後方から中指を立ててイラっとくる煽りを披するだけでオールオッケー。

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……の、はずだった。

はずだったのに…………。

NAME:Susuki Shinonome

LV:36

STR:351

AGI:412

INT:629

MP:512/512

SKILL:Electric shock,Thunder storm,Thor hammer,Thunder wall,Bind chain,Speed down,Power down,Intelligence up,Reflection speed up,Thunder resistance,Magic penetration

(『電撃』『サンダーストーム』『トールハンマー』『サンダーウォール』『バインドチェーン』『スピードダウン』『パワーダウン』『INT上昇』『反速度上昇』『雷耐』『魔法貫通』)

なーーんかめっちゃ強い人キターーーー!

おいおい、この人どちらさんだよ?

しのマユの元まで、あとほんのしってところで……マジか……。

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……いやいや待て待て。

まだ慌てるような時間じゃない。

まだこの人が敵と決まったわけじゃない。

どうか、マユの件とは全く全然これっぽっちも無関係な、ただの通りすがりの善良な一般人でありますように……!

「よお、東雲ぇ。相変わらずしけたツラしてやがんなあ。もちっと適當に生きた方がいいんじゃねえかぁ? 堅っ苦しいんだよ、おめーはよぉ」

「あんたがそんなに能天気でいい加減だから、一層は無秩序で不衛生なんだ。まあ、それは勝手にすればいいが……娘の教育くらいはしっかりしておくんだったな。斷っておくが、処刑の邪魔はさせんぞ」

はい、完全に敵でしたー。

しかも、俺の苦手な……イコール芽も苦手な、かなり恐いタイプの人種だよ。

アウトローでパンチの効いた極悪人面のマユパパとは方向が違う、堅で気難しそうでドライな不機嫌面。

どこまでもヤクザらしいヤクザ、キングオブヤクザなマユパパに対して、偏屈な政治家、あるいは気位の高い裁判のような印象だ。

この二人、どう考えても相が悪い気しかしない。

「へっ、昔は俺の背中にこそこそ隠れてたひょろガリのくせに、隨分でけえ態度じゃねえか。あんなバレバレな噓記事までズル賢く拵えて必死に俺を出し抜こうとしたところわりぃが、全力で阻止させてもらうぜ」

「ふんっ、合理的な戦として脳筋馬鹿を盾に使っていたに過ぎん。記事に関しても噓などついていない。報収集班に活計畫の虛偽報告をするのは規則に反するからな。ただ、予定よりし早く準備が済んだだけのことだ」

…………うん、予想以上に一即発なじ。

向こうには手下っぽい人達が十人もいるけど、一人殘らず戸ってる。

っていうか、ビビってる。

今にも東雲さんとやらが大発を起こすんじゃないかと危懼してるかのように、遠巻きにして怯えてる。

「おい天地、ボケッとしてんじゃねえよ。コイツらはただの足止めだ、マユが危ねぇ……お前らは先に行ってろ」

「この戦力差で大した自信だな、凩。一班は私の援護に回れ! 二班は他の奴らを片付けろっ!」

「おっと、そうはさせないよ。その他大勢は私とローニンが引きけよう。天地君、芽君、二人はマユ君の所へ急ぐんだ」

……えーっと、つまり…………?

マユパパVS敵の恐いリーダー&モブ五人。

そして、雨柳さん&ローニンさんVSモブ五人……ってこと?

いや、無理無理無理無理!

向こうのモブが俺と同じくらいのレベルなら何とかなるかもだけど、さっきチラ見したら平均で15は超えてたし。

「さっさと行け、天地! 天地妹! マユを頼んだぞっ!」

「オーウ! ココはオレにマカせてサキにイケー! ってヤツデース。イヤー、イチドイってみたかったんデスヨ~」

いや、それ死ぬじのやつじゃね?

お願いだから「俺、この戦いが終わったら転職するんだ……」とか「こんな雑魚共、俺一人でも十分だ!」とか「ここが貴様らの墓場だ!」とか「そんな裝備で大丈夫かって? 大丈夫だ、問題ない」とか「消えろ、ぶっ飛ばされんうちにな」とか「時間を稼ぐのはいいが――別に、あいつらを倒してしまっても構わんのだろう?」とか言わないでくれよ?

「お、お兄ちゃん……ど、どうするの……?」

「どうって…………」

決まってるだろ。

明らかに分が悪い仲間を見捨てて先に行くだなんて、そんな無慈悲な人でなしがこの世にいるわけないけどまあでもいっか、行っちゃおう。

うん、行っちゃおう。

「じゃあ、三人とも気をつけて! さあ行くか、芽」

「えぇえええっ!? い、いいの……?」

清々しい笑顔と挨拶を殘してオリンピック代表選手も真っ青な綺麗なフォームで颯爽と走り出そうとした俺に、芽が驚きの聲を上げる。

え? 俺何か変なこと言った?

「いいに決まってんじゃん。俺達は別に殺されないだろうけど、マユはこのままだと殺されるんだぞ? なら、優先順位はハッキリしてんじゃん。つーか、マユより優先するもんなんて世界中のどこにもねーし」

あまりにも當然のことを説明してやったわけだが、芽は意外そうに俺をじろじろ見ながら口をパクパクする。

「いや……お兄ちゃんなら、その場の雰囲気っていうか……ノリ? に流されて、深く考えないで、それっぽいこと、するかなあって……。今だったら、絶対勝てないのに、勝手に突っ込んで、秒殺されちゃう、みたいな……」

「お前……俺を何だと思ってんだ……」

まあ、オルトロスの時は概ねそんなじだったんだけどね。

マユを助けるという神託にも匹敵する大義がなかったら、今回もそんな無謀な愚行に及んでしまった可能は大いにあるだろうな……。

「ふふ、君のマユ君に対する盲目的なは実に面白いね。そして好都合で非常に助かるよ。さてと……ローニン、やってくれ」

「オウともサ!」

雨柳さんは不敵な笑みを浮かべてそう言うと、羽織っていたマントで俺と芽の目を覆い隠した。

そして、その直後――――。

「フラーーーーーーーッシュッッ!!」

突然、ローニンさんがんだ。

閉ざされた視界からは何の報もってこないが、俺でも分かる単語から察するに、おそらくは一瞬の閃……すなわち目くらましだろう。

ちょっとせこいが見事な先制の不意打ち。

なるほど、敵が塞ぐ通路をどう通り抜けようかと思ったが、ちょうどいいお膳立てをしてくれたわけか。

グッジョブと思って華麗なクラウチングスタートを決めようとしたら…………。

がしっ!!

「…………へ?」

「ぬおらあぁあああぁああああっっ!!」

角ばった太く逞しい腕に襟首を捩じ上げられ……。

砲丸投げの要領で、野太い掛け聲と共に……。

ぶん投げられた。

仮に聲が聞こえなかったとしても分かる。

犯人はマユパパだ。

こんのクソ舎弟がああああああああああっ!

「うわあああああああああっ!?」

「きゃあああああああああっ!?」

きりもみしながら宙を飛ぶ俺と芽のび聲が重なる。

「ウボァー!!」

「あぅっ!」

恐怖と驚愕に満ちた無限とも思える數秒の後、兄妹仲良く地面に激しく叩きつけられた。

割と真面目に痛かった。

俺が憎しみを募らせながら顔を上げて後方を見ると、未だ閃に目をやられた敵の向こう側で、やってくれやがったマユパパがドヤ顔でサムズアップしている。

HAHAHA、ド派手にハッピーなめでたい脳ミソしてやがるぜ。

東雲さんとやら、やっぱあのオッサン殺しちゃってもいいっすわ。

「あいつ……K……だよな……?」

「當たり前だろが。見ただろ、さっきの奇行」

「でも……何か、雰囲気が…………」

マユを処刑すべく集まった二層の鋭達、五十人。

リーダーの東雲と一、二班を除いた殘りの約四十人は、ファフニールの死骸の上できびきびと準備に勤しむに、揺を隠せずにいた。

それも無理はない。

なぜなら……。

「ほらほらー、早く帰った方がいーよー! 痛いのはイヤでしょ? ねっ? そうでしょー? これが最後のチューコクだよー?」

……いつもとは、明らかに様子が異なっている。

目は虛ろで表は不気味、小さなながら凄まじい膂力、白い力した奇怪なきはまるでゾンビのようで、思考は不可解にして理解不能、格は猟奇的かつ暴力的かつ殘的――それがいつもの、凩マユだ。

ところが、今の彼は外見上の特徴こそ本人そのものであるが……似ても似つかない。

目は生気に溢れて表は自然かつ明朗、躍のある快活なきはエネルギッシュないたずらっ子そのもので、言は弾けそうなくらいハキハキとしてキレがあって、どこからどう見ても活発で元気のいい普通のの子だ。

寢ている間に叩き込むはずだった魔法の斉は中斷され、二層の強者達は一様に顔を見合わせて次の行を判斷しかねていた。

「もーーっ! みーんなやる気なの? バカなんじゃないのー? わっかんないかなー、あたしの優しさってやつが。まーいーや、カンタンにすませちゃうやり方もあるしー」

一人でコロコロと表を変化させながら、なくペラペラ喋り続ける

距離を取って様子を伺っていた集団は、唖然としながらも當然ながら警戒を怠ってはいなかった。

だが、この後にが取った行は、誰もが想定すらしていないものだった。

「スリープミスト!」

凩マユが――――――魔法を使った――――!!

サユというなる存在を知らない者達にとって、それは驚天地の出來事だった。

凩マユといえば包丁を武とする近接戦闘タイプで、魔法は一切使えない――それは、報収集班がかに手したステータスおよびスキルの詳細からも疑いようのない事実。

しかし――――。

意気揚々と振り上げられたの手から、ぶわっと放狀に広がる濃な霧。

一瞬にして部屋全を覆い盡くした冷たい霧は、すぐ隣に立つ者の姿すらも真っ白にかき消した。

これは間違いなく魔法だ。

「くそっ! どういうことだよ! Kが魔法を使うなんて聞いたことねえぞ!!」

「何だ、この霧は――!? おい、誰か魔法で吹きとばせ!」

「馬鹿っ! 下手に魔法を使ったら味方……に……あた…………」

四方八方に飛びう、焦燥に駆られた聲。

長く続いてもおかしくないパニックだった……にも関わらず、なぜか聲は一つ、また一つと途切れて急速に沈靜化していく。

霧を吸った者が、次々と意識を失って倒れだしたからだ。

「ぐっ……睡眠……効果、だと…………!?」

「ふっふーん、思ったよりらくしょーだったなぁー♪」

事前報にない、広範囲の睡眠魔法。

高いINTによって、ほんの一呼吸するだけで大型の魔であろうと數時間は目覚めることがない強力な魔法。

完全に想定外の攻撃に、いかに二層の鋭達といえど為すもなく、早くも勝敗は決した。

――――かと思われた、が……。

「キュアスリープ!」

気なステップでファフニールから飛び降りようとしたは、部屋の口付近から発せられた魔法を聞いて足を止める。

包囲の後方に控えていた補助魔法擔當の中に、『睡眠耐』のスキルと『睡眠狀態回復』の魔法を使える者がいたのだ。

ガチャガチャと金屬音を響かせて、眠っていた者がすぐさま立ち上がる。

「トルネードストーム!」

続けて響く聲と共に、の目の前に突如巨大な竜巻が発生して霧を散らした。

視界が開けた部屋の中では、すでに全員が目を覚ましている。

思いがけない魔法を食らったことで、くしくも鋭達の當は完全に消え去った。

一同は揃ってギラつく目と、武と、明確な殺意をに向ける。

はがっくりと肩を落として、大きく溜め息をついた。

「あっちゃ~……そーゆーことできちゃうんだぁ……。めんどくさいなーも~~っ!」

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