《【電子書籍化決定】人生ループ中の公爵令嬢は、自分を殺した婚約者と別れて契約結婚をすることにしました。》これは、真実だろうか
これは神の思し召しかもしれないと、アロナは思った。こんな場面に偶然遭遇するなど、普通ならばあり得ないことだ。
アロナの両足は石膏のように固まり、その場から一歩もけなくなる。絶対に気付かれてはならないと息を潛め、隙間に耳を近付ける。
(だからあのメイドは、あんなに震えていたのね)
アロナは人の顔や名前、聲やその特徴を覚えることが得意だった。ここからでは顔をはっきりと窺うことは出來ないが、あれは間違いなく先程のメイドだった。
アロナよりも早く、あの場所から立ち去っていたらしい。
「これはあなたにしか出來ないことなの。私達は、あなただから頼んでいるのよ?ククルを苦しめる悪魔のを葬り去るという、とても大切な役目を」
(この聲はエルエベだわ…)
ここから見える限りでは、令嬢らしき人の姿は二人しかいない。先程の金切聲でククルは確認したから、きっとローラはカモフラージュの為茶會の場に殘っているのだろうとアロナは思った。
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「そうよ、あのアロナ・フルバートというは本當に人間とは思えないわ!見てよこの火傷の痕を!誰も見ていない時を見計らって、私に熱い紅茶をかけたんだから!」
「お母様も上手く騙して味方につけて、私達姉妹を陥れようとしているのよ」
「エルエベお姉様の言う通りよ!こちらから行を起こさなければ、私が先に殺されてしまうわ!」
何を好き勝手なことを…と、アロナは怒りで涙が出そうだった。キャラメルのドレスを握り締め、指は真っ白になっている。
(私はあなた達なんてどうでもいいわ。ルーファスと共に生きたい。ただそれだけなのよ)
こつこつと、上等な靴が床を踏みしめる音が聞こえる。エルエベは的なククルとは違い、狡猾なだった。言葉巧みに周囲をるに長け、そのからはすらすらと噓が紡がれる。
まるで、それが真実であるかのように。
「これは救済なの。私達はこれ以上アロナに道を違えてほしくない。このままでは、彼の魂は穢れる一方だわ。賢いあなたなら理解できるわよね?」
エルエベが膝を折り、メイドのを抱き締めているのが見える。彼は穏やかに、メイドの背中をさすっていた。
「わっ、私は…私は…っ」
「そんな顔をしたって、あなたに選択肢なんてないんだから!家族がどうなってもいいというなら別だけれど」
「お願いします!家族だけはお目溢しを…っ」
「だったらつべこべ言わずにやりなさい!絶対に逃してあげると言っているのだから、ためらう必要なんてないわ!」
ククルらしい、馬鹿騒ぎ。殺害計畫を立てているというのに、なんという金切聲をあげるのか。
「ククル、落ち著きなさい。この子もきっと分かってくれるから」
「ほっ、本當に、上手くいくでしょうか…」
「心配は要らないわ。フルバート家の騎乗者に金を握らせたの。茶會が終わり次第、アロナの馬車を人気のない場所まで導してくれる手筈なの。メイドであれば警戒心も薄れるはず。そこを狙いなさい。その、短剣でね」
(本當に、良かったわ)
この場に居合わせていなければ、アロナは確実にまた殺されていただろう。権力と金にを言わせ、強引に事を運ぶ。
二度殺された経験によりこの三姉妹の殘卑劣さは嫌というほど実していたが、実際こうしてその現場を見ると彼達は本當に人の子なのかと疑いたくなる。
自分を守ってくれたのはルーファスだと、アロナは確信していた。彼の背中を追いかけたからこそ、この談に出くわすことが出來たのだから。やはり彼は運命の人だと、アロナはが締めつけられる思いだった。
(モルティーナ様に見ていただくのが一番だけれど…)
今から呼びに行ったとして、果たして間に合うだろうか。それに彼は三姉妹の母親、王妹という立場よりも我が子可さをとるのでは…と、アロナの考えはまとまらなかった。
そして、いっそモルティーナ様よりもルーファスをここに呼ぼうと思いつく。彼ならばきっと、自分の味方をしてくれる。先程姿を見かけたのだから、きっとまだこの辺りにいるはずだろうと。
彼はそう考え、そこから立ち去ろうとする。
「それに、ねぇあなた?今ここには誰がいるのか、分かっているでしょう?私とククル、それに――」
しかし次の瞬間、アロナは息をすることを忘れた。
「我が國の第三王子、ルーファス殿下よ?こんなに心強い味方は他に居ないわ」
エルエベの聲は、異様な程に穏やかだった。
【電子書籍化へ動き中】辺境の魔城に嫁いだ虐げられ令嬢が、冷徹と噂の暗黒騎士に溺愛されて幸せになるまで。
代々聖女を生み出してきた公爵家の次女に生まれたアリエスはほとんどの魔法を使えず、その才能の無さから姉ヴェイラからは馬鹿にされ、両親に冷たい仕打ちを受けていた。 ある日、姉ヴェイラが聖女として第一王子に嫁いだことで権力を握った。ヴェイラは邪魔になったアリエスを辺境にある「魔城」と呼ばれる場所へと嫁がせるように仕向ける。アリエスは冷徹と噂の暗黒騎士と呼ばれるイウヴァルトと婚約することとなる。 イウヴァルトは最初アリエスに興味を持たなかったが、アリエスは唯一使えた回復魔法や実家で培っていた料理の腕前で兵士たちを労り、使用人がいない中家事などもこなしていった。彼女の獻身的な姿にイウヴァルトは心を許し、荒んでいた精神を癒さしていく。 さらにはアリエスの力が解放され、イウヴァルトにかかっていた呪いを解くことに成功する。彼はすっかりアリエスを溺愛するようになった。「呪いを受けた俺を受け入れてくれたのは、アリエス、お前だけだ。お前をずっと守っていこう」 一方聖女となったヴェイラだったが、彼女の我儘な態度などにだんだんと第一王子からの寵愛を失っていくこととなり……。 これは、世界に嫌われた美形騎士と虐げられた令嬢が幸せをつかんでいく話。 ※アルファポリス様でも投稿しております。 ※2022年9月8日 完結 ※日間ランキング42位ありがとうございます! 皆様のおかげです! ※電子書籍化へ動き出しました!
8 86クリフエッジシリーズ第二部:「重巡航艦サフォーク5:孤獨の戦闘指揮所(CIC)」
第1回HJネット小説大賞1次通過、第2回モーニングスター大賞 1次社長賞受賞作品の続編‼️ 宇宙暦四五一二年十月。銀河系ペルセウス腕にあるアルビオン王國では戦爭の足音が聞こえ始めていた。 トリビューン星系の小惑星帯でゾンファ共和國の通商破壊艦を破壊したスループ艦ブルーベル34號は本拠地キャメロット星系に帰還した。 士官候補生クリフォード・C・コリングウッドは作戦の提案、その後の敵拠點への潛入破壊作戦で功績を上げ、彼のあだ名、“崖っぷち(クリフエッジ)”はマスコミを賑わすことになる。 時の人となったクリフォードは少尉に任官後、僅か九ヶ月で中尉に昇進し、重巡航艦サフォーク5の戦術士官となった。 彼の乗り込む重巡航艦は哨戒艦隊の旗艦として、ゾンファ共和國との緩衝地帯ターマガント宙域に飛び立つ。 しかし、サフォーク5には敵の謀略の手が伸びていた…… そして、クリフォードは戦闘指揮所に孤立し、再び崖っぷちに立たされることになる。 ――― 登場人物: アルビオン王國 ・クリフォード・C・コリングウッド:重巡サフォーク5戦術士官、中尉、20歳 ・サロメ・モーガン:同艦長、大佐、38歳 ・グリフィス・アリンガム:同副長、少佐、32歳 ・スーザン・キンケイド:同情報士、少佐、29歳 ・ケリー・クロスビー:同掌砲手、一等兵曹、31歳 ・デボラ・キャンベル:同操舵員、二等兵曹、26歳 ・デーヴィッド・サドラー:同機関科兵曹、三等兵曹、29歳 ・ジャクリーン・ウォルターズ:同通信科兵曹、三等兵曹、26歳 ・マチルダ・ティレット:同航法科兵曹、三等兵曹、25歳 ・ジャック・レイヴァース:同索敵員、上等兵、21歳 ・イレーネ・ニコルソン:アルビオン軍軽巡ファルマス艦長、中佐、34歳 ・サミュエル・ラングフォード:同情報士官、少尉、22歳 ・エマニュエル・コパーウィート:キャメロット第一艦隊司令官、大將、53歳 ・ヴィヴィアン・ノースブルック:伯爵家令嬢、17歳 ・ウーサー・ノースブルック:連邦下院議員、伯爵家の當主、47歳 ゾンファ共和國 ・フェイ・ツーロン:偵察戦隊司令・重巡ビアン艦長、大佐、42歳 ・リー・シアンヤン:軽巡ティアンオ艦長、中佐、38歳 ・ホアン・ウェンデン:軽巡ヤンズ艦長、中佐、37歳 ・マオ・インチウ:軽巡バイホ艦長、中佐、35歳 ・フー・シャオガン:ジュンツェン方面軍司令長官、上將、55歳 ・チェン・トンシュン:軍事委員、50歳
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