《【電子書籍化決定】人生ループ中の公爵令嬢は、自分を殺した婚約者と別れて契約結婚をすることにしました。》怪しい風向き

(とっても不思議な気分だわ)

ククルは、純粋過ぎる。だからこそに盲目になり、後先考えずにアロナを殺した。

裏を返せば、こうして一度信頼されてしまえば、ククルは決して裏でアロナを陥れようとはしないということだ。

「さすがアロナ。私のことならなんでもお見通しなのね」

の為を思って紅茶を用意してくれたのが、よほど嬉しいのだろう。ククルはにこにこと頬を緩ませながら、ティーカップに口をつけた。

「あなたは魅力的だわ。エルエベ様やローラ様も優秀だけれど、私はあなたの面に惹かれたの」

「アロナにそう言ってもらえるなんて、嬉しい」

ククルはいつも、屈託なく笑う。そんな彼を見ていると、アロナの心はふわりと宙に浮いたような気分になるのだ。

に復讐する気はなかったが、本當に仲良くなる気はもっとなかった。

決して心を許したわけではないが、彼に対する言や行が全て打算なのかと言われれば、それもまた違う。

ククルは、なにをしても素直に反応を示してくれる。ルーファスもそんな分だったが、以前のアロナは彼に対しては照れが先行して素直になれなかった。

心中ではしさを募らせながらも、それを表に出せなかったのだ。

けれど今回、アロナは多くの味方を得る必要があった為に、想良く振る舞うよう努めた。それは誰彼構わずびるのではなく、それに値するような人にだけ。幸い、彼には十分にその知識があった。

なんせ、アロナにとっては出會う人のほとんどが四度目なのだから。

そんなわけでククルに対しても警戒していた彼だったが、三年経った今ではその必要はすっかりなくなってしまった。

が好きそうな紅茶の茶葉をわざわざ取り寄せるくらいには、気を許しているらしい。

「ねぇ、アロナ」

ククルは母親譲りの薄桃の髪をふわふわと揺らしながら、アロナに顔を寄せる。

「アロナって“いい人”居ないの?」

「いい人?」

「好きな人って意味よ!」

自分で言っておきながら、ククルはきゃっと赤らんだ顔を手で隠す。

「そんな人居るはずないわ。ダンスパーティーは必ずルーファスと一緒だし、男は私には近寄らないもの」

貴婦人達のティーパーティには積極的なアロナだが、本格的な社界デビューはもうし先。相変わらずルーファスにはなんのも湧かないが、それは他の男に対しても同じだった。

なんてごめんだわ)

もう二度と誰かを好きにはならないし、なれないだろうとアロナは思う。けれどククルの言う通り、そろそろ本腰をれて“いい人″を探さなければならないのも事実だった。

「ねぇねぇ、どんな人がタイプなの?」

「そうね、私よりも歳が上で、よりも打算でく人かしら」

「ちょっとなによそれ!」

ククルはアロナの回答がご不満のようだ。

「そういうククルは、ルーファスと上手くやっているの?」

今度は、アロナがククルに質問する。彼は髪のを指に巻きつけながら、を前へ尖らせた。

「ちょっと表現が難しいわ。私なんだか最近、ルーファスを見ても心が反応しないの」

「……」

これはもしやまずい方向に風が吹いているのではと、アロナは心冷や汗をかいた。

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