《【電子書籍化決定】人生ループ中の公爵令嬢は、自分を殺した婚約者と別れて契約結婚をすることにしました。》優しくない

當初の計畫では、ククルとルーファスの仲をに発展させ、そこを突いて婚約破棄にもっていく手筈だった。悲劇のヒロインのようにぽろぽろと涙を流し、する人に裏切られた可哀想な令嬢を演じる。

その為に、王妃には十分な回しもできている。娘がしかった彼は、アロナをとても可がっていた。そうなるように、アロナはなにかと王妃を頼り「母親のようだ」と甘えていたのだ。

學園に學しても、ルーファスは変わらずアロナへ手紙を送っていた。未だに彼が男不信だと信じて疑わないルーファスは、公式な場のダンスの時もアロナに配慮してあまり著しないよう努めた。

昔はあんなに心がときめいたのに、などと傷に浸りながら、アロナは淡々とダンスを踴る。ルーファスの綺麗で優しげな橫顔を見ても、も嫉妬も浮かばなかった。

が薄なのか、それとも本當に男不信に陥ってしまったのかもしれないと、アロナは思う。

「君とダンスを踴れて幸せだよ」

「私もです、ルーファス様」

ふにゃりと笑うルーファスに、アロナは同じように笑ってみせる。婚約破棄をする際に、態度が悪いだのなんだのと難癖をつけられては困るからだ。

「アロナ…」

ヘーゼルの瞳に甘さが含まれたことにも、アロナは気づかない。この場に男が多いことを理由に、アロナはさっさと退場した。

とまぁ、ルーファスとの関係についてはこのように可もなく不可もなくといった合だ。それよりも問題なのが、ククルだった。

「だってルーファスってば、私がお姉様達に嫌味を言われても庇ってくれないのよ?仲の良い証拠だねってにこにこ笑ってるんだから」

「ルーファス様は優しい方なのよ」

「誰にでも平等に優しいのは、本當は誰にも優しくないのと同じよ」

核心を突いた彼の発言に、アロナは思わず目を見張る。

「ククル…あなた賢いわ」

「ふふっ、でしょ?」

得意げにを張るククルを見ながら、アロナははっとする。褒めてどうするのだ、このままでは計畫が臺無しになってしまうというのに。

「それに私、學園で気になる人が出來たの」

アロナは、思わず手にしているカップを落としそうになった。

「その人ってば普段は意地悪ばかり言うんだけど、私がで悪口を言われていた時庇ってくれていたのを偶然見かけて、そこからほら…」

ぽぽっと頬を染めるククルは、実に可らしい。

「よく話すようになってから、彼のんな面が見えてきたわ。不用だけど本當は優しくて、私だけに時々見せてくれる表が可らしくて…それで…」

アロナはどういう顔で聞いたらいいのか、分からなかった。

友人としては喜びたいが、自の為にはならない。今からでもルーファスに気持ちを戻すよう導してもいいが、きっと彼は傷つくだろう。

どうしたものかと頭を捻るアロナは、ふとあることに気づく。

(友人、ですって?)

無意識のうちに、彼はククルのことを友人だと認識してしまっていた。これにはアロナ自も、もう笑うしかない。

「ちょっとアロナ、どうしてにやけているの?」

「あなたが可らしいからよ。する乙の顔をしているわ」

「ち、ちょっとやだ」

恥ずかしそうに手足をぱたぱたとかすククルを見て、アロナはもう認めざるを得ない。

(利用するつもりが、まんまとはまってしまったのは私というわけね)

ククルのことを、友人として好意的にじている。もう三度も殺された相手にこんなを抱くなど、自分はどこかおかしいのかもしれないとアロナは考える。

せいぜい苦しんで死ねば良いと、そう思っていたのに。

人生というものは本當に訶不思議だ。自の選択肢を変えれば、周囲も変わる。視野を広げれば、三度繰り返しても見えなかったものが、たった一度で見えるようになる。

三度目の人生、死の直前ルーファスの正を知ることが出來たのは最大の幸運だった。

そうでなければ、例え百回人生を繰り返そうとも結末は悲慘な死か、ともすれば己が殺人者とり果てていたかもしれない。

そう思うとぞっとして、アロナはを震わせた。

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