《ニジノタビビト ―虹をつくる記憶喪失の旅人と翡翠の渦に巻き込まれた青年―》第26話 第六二四系の第七星クルニ
ニジノタビビトとキラをのせた宇宙船は朝食のし後、無事に予定通り著地地點の時刻で晝前に第六二四系の第七星クルニに著陸した。今回は準星アイルニムのときと違ってゆっくり丁寧に著陸したので、地に響くような轟音は立てなかった。
念のためカメラで周辺の安全を確認してからタラップを下ろしてり口を開けた。
外には準星アイルニムと同じような草原が広がっていた。というのも、大抵の星々で個人の宇宙船の著陸、不時著を許可している場所があるが、それはある程度人里に近い必要があるものの、近すぎても危険があるため、こうした草原などのひらけた場所であることがほとんどなのである。
キラはニジノタビビトに続いてそっと外に出てみた。ニジノタビビトはきちんと宇宙船の晝ごろと星クルニの晝ごろとが會う場所を選んで著陸したし、次の目的地を設定した時點で時間をかけてゆっくりと宇宙船の重力が目的地の重力に合うようになっていたので、まるで家から出るときと同じように何の違和もなくその一歩を踏み出すことができた。それでもどこか不思議な覚があって足元見ながらその場で足踏みを繰り返した。
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「キラ!」
いつの間にかし離れたところまで進んだニジノタビビトが大きく手を振っていた。キラはもう二、三度その場で足踏みをしてからニジノタビビトの方に駆け出した。
「レイン、どこに行くんだ?」
「うん、とりあえず散歩しようと思って、ほら、一週間だったけど篭りきりだったからね」
そういって宇宙船から見えていたし小高い丘に向かって並んで歩いて行った。宇宙船には一応小型のエアロバイクとランニングマシンがあって意識すれば運不足にはならないものの、やはり外に出るのは心地よさが違った。二人とも何も言わなかったが、キラが初めてニジノタビビトの隣を歩いたときとは違って気まずさも過度な張もなかった。
丘のてっぺんまでくると小さな森の先にビルや住宅があるのが見えた。一番近い街はどうやらあそこらしい。それを確認したニジノタビビトは一つ頷いてから、初めて訪れる星にドキドキしているキラに聲をかけた。
「さ、キラ、宇宙船に戻ろう」
「え、もうですか?」
キラはてっきりあの見えている街に降りて何かしらを見て回るものだと思っていたから驚いた。
「うん、実はね、その……、私もあんまり寢れてなくて、ちょっと休んでからにしないかい」
キラは一晩考え事して全く寢ていなかった。それはニジノタビビトもほとんど同じで、今キラになんて思われているのかという問いが頭の中から無くならなくて、寢れたのはベッドに潛り込んでから四時間後くらいだった。それもすぐに朝になって、正直なところ今も眠かったのだ。自分だけが寢不足なのであれば街に降りたかもしれないが、キラも寢不足ならば、しかもその原因が自分ともあればし休息をとったほうがいいと思ったのだ。
キラはそう言われて朝は出ていたアドレナリンが晝前になって切れたのか、何だか急に瞼が重くなってきて軽い頭痛がしてきた。キラは基本的に健康優良児だったし、それは今も変わらなかった。でも睡眠不足になったりすると頭が痛くなってきてしまう癖があった。
キラが右手の親指と人差し指で眉間をみ始めたのを見てニジノタビビトは空いているキラの左手を取ると宇宙船へ戻るために緩やかな丘をゆっくり下った。
宇宙船に戻る頃にはキラの瞼はもう半分より下まで落ちてきてしまっていた。し慌てて認証してり口を開けると、キラの部屋に引っ張っていった。キラは徹夜をしたことはあったものの、こんなに急に眠くなったのは初めてだった。もしかしたらこの星は眠くなる何か電波のようなものが出ているのかもしれない、なんて変なことを考えながら何とか歩いてベッドに腰掛けた。
「ほら、キラ、寢ていいから。私も寢るし」
ニジノタビビトはキラの肩を押して橫たえると厚手のタオルケットをかけてやった。
「レイン、起きなかったら叩き起こしてね……」
キラは最後に何とか言葉を絞り出して、すぐに寢息を立てた。ニジノタビビトはくすくす笑ってからり口の橫にあるパネルで照明を落とした。
「おやすみ、キラ。……ありがとう」
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