《ニジノタビビト ―虹をつくる記憶喪失の旅人と翡翠の渦に巻き込まれた青年―》第29話 星クルニの街
次にカケラを生し、虹をつくる人を探さなければいけないものの、まずは両替をする必要があった。宇宙船の著陸が可能な場所から近い街には大抵大きめの両替所があって、キラにとっては二度目の両替所であった。
それから細々したことは先に済ませてしまおうと、他の星で仕れてきたものを両替所で場所を聞いた買取店まで持って行った。
「思ったより言い値がついたな」
ニジノタビビトとしては元々宇宙船にあった資金にゆとりがあったとは言え、二人旅になったことだから懐が潤うに越したことはない。その様子を見てキラは、の現化について見ていてしいと言われたことをうっかり失念してニジノタビビトが目的をしている間に何か短期バイトでもしてこようかと考え始めていた。ただこれは本當にうっかりで、キラはニジノタビビトのこと人柄含めて信じていたし、もうほとんどの現化についても人を傷つけるようなことはしちゃいないんだろうと確信めいたものを抱いていた。
「さて、これからこのカケラで次の人を探さなくちゃいけないんだけど、最初は散歩みたいなものなんだよね。キラも一緒に來てくれる?」
そのときにキラはやっとを現化するというカケラの生について思い出した。そうだ、自分はレインが何をするのか見ておかなきゃいけないのだということを思い出したので、短期アルバイトのことはひとまず置いておいて、ニジノタビビトについていくことにした。
「それにしても、大きな街だなあ。でもビルとか建が結構ある割に植がだいぶ多い……」
宇宙船著陸が許可されている星クルニの街は、高いもので二十階ほどのビルが並んでいるが、その壁に蔦が這っていたり、地上だけでなく屋上にも木々のかな公園があるなどしていた。星メカニカにも、公園くらいはあったがビルの壁が緑なんてまずないことだったものだったので驚いていた。見慣れていないものだから、遠目に見て一見荒廃しているのかと思ってしまったが決してそんなことはなく、むしろ丁寧に管理された上でり立っているようだった。
「人は探さなきゃいけないんだけど、カケラが反応してくれるかどうかだから、とりあえず食材が買える場所を目指そうか」
「そうだね……あっ!」
キラは珍しくてビルの壁とその屋上かほんのし頭をのぞかせる木々を見るために、視線をキョロキョロさせたり上を見上げたりして歩いていたものだから、人にぶつかってしまった。
「すみません、怪我していませんか!?」
ぶつかってしまったのはキラよりもし年上のお姉さん、といったじのだった。幸い、軽くぶつかっただけでしよろけただけで、何ともないようであった。キラに至っては幹がいいのかほとんどブレもしなかった。
「いえ、なんともありません。こちらこそ、フラフラしていてすみませんでした」
キラがぶつかってしまったはなにか考え事をしていたらしく、気もそぞろだったらしい。すぐに別れたの後ろ姿を見送って、キラはニジノタビビトの方を振り返った。
「なあ、レイン、あの人は反応しなかったのか? なんか考え事をしてたみたいだけど……。」
「反応はなかったね。まあそりゃあ、考え事をしてる人なんて大勢いるから。なあにキラ、あの人のことが気になるの?」
しの沈黙の後、その言葉の意味に気がついてキラは慌てて両手を振った。
「いやいや、違う違う。なんか、うん、何となく思い詰めているようにも見えたから」
そう、しすぼみなりながら言ったキラに、ニジノタビビトは今度は茶化さずに真剣な様子で答えた。
「うん、でも人によるものだから、皆がみんなをショウカしたい訳じゃないんだと思う。自分の大切なものだからこそ、自分だけでどうにかしたい、とかね」
ニジノタビビトは、結局私も分からないんだけどねと苦く笑いながら言った。
結局その後もカケラが熱を帯びることはなく、マーケットに著いてしまったので遅めの晝食摂ってから、夕食と朝食分の食材、それからニジノタビビトがリストアップしていた製菓材料も購した。これからまだこの星に滯在するのだから今買わなくてもいいのだが、気になって仕方がなかったのでキラも背中を押し、日持ちがするチョコチップやクルミ、ココアをカゴにれることにしたのだった。
「今日は晩ごはんの後にココア淹れて飲もうか。せっかくだからし鍋で煎って淹れよう」
ニジノタビビトは今日だってキラが作ってくれるご飯と、甘いものが好きな自分のために出してくれるお菓子やデザート、飲みが楽しみで仕方がないのだ。
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