《ニジノタビビト ―虹をつくる記憶喪失の旅人と翡翠の渦に巻き込まれた青年―》第70話 カケラのエネルギー
その日はカケラからエネルギーを出して、次の星に向けてのただの買い出しの日になるはずだった。
無事に、ラゴウのを現化したカケラからつくった虹はあの青空にゆっくりととけていった。四人でそれをしっかり見屆けると、ニジノタビビトが余韻を殘したまま言った。
「虹を、つくる工程は以上です。あとはカケラから次の星に行くための宇宙船のエネルギーをいただきたいのですがよろしいでしょうか? カケラの見た目に変化は全くありません。エネルギーは出後、ご希でしたらカケラはお返しします」
「エネルギーは、君に渡さなかったからと言って私が何かにいかせるのだろうか」
「今のところは存じ上げません。なにぶん、あの宇宙船が特殊なものですから……」
ラゴウは空いている右手を顎にあててカケラについて考えたが、そもそもエネルギーを出する方法すら自分にはないため特に構わないかと思った。あとはエネルギーを出する前と後でカケラに何か変化があるかどうかだが。
「なるほど、そう言えば見せてくれたカケラも見た目に変化はなかったようだしね。それじゃあエネルギーは全て出してもらって構わないよ」
「ありがとうございます」
「それで……、カケラは預けておくから、自分の手元に殘すか、君に託すかの判斷はし待ってくれないか」
ニジノタビビトは了解を伝え、そうしてそのままラゴウとケイトと明後日また會う約束をして手を振った。
お気にりの、が激しくかされる長編映畫をしっかり見た日のような疲労がキラを包んでいた。何かしようと思えばできるが、今日はもう何もしないで余韻に浸りきりたいような、そんな気分。
ニジノタビビトはそんなキラの様子を慮って二人とまた會うのは明後日だからカケラからエネルギーを出するのは明日にすることにして、ひとまずカケラを設置した機械の電源だけ落とした。
翌日、まだあの虹の衝撃が抜けきっていないものの、一晩置いたことで幾分か落ち著いたキラはカケラを生、虹をつくるための機械のある部屋でスツールに腰掛けていた。昨日はニジノタビビトに背もたれ付きの程よい反発の椅子を譲られてしまったが、今日は先にスツールを奪うようにして座った。別にスツールの座り心地が悪いとかいうことではないが、飲食店でソファー席を譲って自分は向かいのダイニングチェアに座るようなものだった。
「これは……」
ニジノタビビトは昨日からカケラが臺座に乗っている虹をつくるため機械の電源をれて、黙って集中して作をしていたが、やがてひどく驚いたように、困したように呟いた。
カケラからエネルギーを貰うためにはまず解析をする必要がある。今日もニジノタビビトはいつものように、エネルギーの量から次に行く星を決めるために、ラゴウが生した七つのカケラ全てを機械にセットしてスキャンした。しかしその結果は驚くべきもので、寂しいものであった。
解析結果が出ても、今までのニジノタビビトとしての経験からそれは到底信じられるものではなく、先ほどと違ってタイピングの音を大きく響かせながら、もう一度スキャンと解析をやり直したが、結果は変わらなかった。
ニジノタビビトは頭に疑問符を浮かべているキラの方を振りかって迫した様子で切り出した。
「キラ、今回のカケラは特殊だ。どうしてかエネルギーがとても大きい。今までも一つあたりのエネルギーに大小はあったけれどここまで大きく上振れることはなかった」
そこで一度言葉を區切って深呼吸した。次に言う言葉には寂寥ではなく、喜をのせて言うべきだと思ったのだ。だからこの利己的なを一杯表に出さないように、一度深呼吸をする必要があった。
「キラ。これなら……これなら、次の目的地を第七五六系に、星メカニカに設定できるよ」
ニジノタビビトはこの隣人で友人が大切だった。だから、どんなに寂しくたって、故郷の星に帰ることを切している初めての友人の帰郷を祝わなくちゃいけない。
別れがあることは分かっていた。それがしばかり早くなっただけなのだ。そう、自分に言い聞かせるしかなかった。
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