《高収悪夢治療バイト・未経験者歓迎》第9話 だらけの一室

悲鳴が聞こえた方角へ住宅街を歩く……。その間も、悲鳴は凜太の耳にずっと突き刺さってきていた。

今まで聞いたことが無いくらい苦しそうで悲痛なび聲だった。大の男がこんな聲を出すのかと思う……聞いているだけで頭がおかしくなりそうだ。

それなのに、凜太以外の2人は特におびえた様子もなく、先ほどまでと変わらない様子で前を歩いていた。

「ここだね」

「はい」

辿り著いたアパートを見ると、すぐにここだと確信できる。

建てられてまだ日が淺いであろう真っ白な壁をしているアパート……そこにいくつかある窓の1つだけが真っ赤に塗れらていた。その窓からインクが滲むように壁面へ赤れている。

あそこだ……あの部屋からだ……あそこで何かが起こっている。

「草部君。どうする初めは外で見ておく?」

「いや中まではったほうがいいんじゃないですか。何やってるか分かんないでしょう」

「ちょっと、本當にこんなとこへっていくんですか。やばいですよどう見ても」

「それが仕事だからね」

2階にあるその部屋へ向けて、増川はアパートの階段へ進んだ。

「とりあえず草部君は離れたところで見ててよ。こんなん大したことないから」

付いていきたくなかった……。けれど、1人で取り殘されるのも心もとない。

「ここにいるであろう男の人は、逃げても逃げても繰り返し殺されるらしい。いつも、正面から頭へ刃を突き刺されて目が覚めるんだって……」

増川が怪談をなぞるように話している……屋の下にくると薄暗くて階段の境目がよく見えない。

凜太は後ろからも何か來るんじゃないかと、しきりに後ろも警戒した。

そして……

……いよいよ

玄関からもが滲んでれているドアが……

開けられた

増川と桜田がその部屋にったのを見た後、一息ついて覚悟を決めてから凜太はその先を見た。

目に飛び込んできたのはこれでもかというほどの赤、壁や床が見えてる部分のほうがないんじゃないかというほどの張り付いたしぶき。

そして、今まで何の匂いもしていなかったのに……部屋に充満するの錆びついたような匂いがそこらじゅうからするようになる。

空気もより濃く重い。その先へ進めば進むほど。

先に通った2人の歩みが、まだ新鮮なの上で足跡となって殘っている。男の悲鳴にじって聞こえてくる刃を刺す音も、もうそこまで近い。

凜太が男の寢室まで、たどり著いたとき……ちょうどそのタイミングで見た景は……だらけの男に馬乗りになったが、男の頭めがけて刃を思いきり振り下ろす瞬間だった。

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