《高収悪夢治療バイト・未経験者歓迎》第17話 腐敗保育園

保育園の園庭でミニチュアのような服を著た小さな子たちが無邪気に走り回っている。にはチューリップの形をした名札。

しかし……その手足は……死のような見た目をしていた。

手足は赤みが強くてただれたようになっている。そこにはカビっぽい青も含まれていて一部落してしまっている部分もある。骨まで見えそうなほど。筋の線は言うまでもなく丸見えだ。

いわゆるゾンビに近いかもしれない。ちらりと1人の男の子らしい園児の眼が見えた白目をむいているように真っ白だった。

異様なのはそれらが絵に描いた園児のように當たり前に遊んでいるということ……。

凜太と増川はその景を目にすると、とりあえず保育園の隣の建のほうへ下がり腰を低くしてかがんだ。

「先生みたいな人は見えた?」

「いえ。……あれにしか目が行きませんでした」

「多分保育園の建の中だろうね。ちょっともう一回見てみる……」

増川がもう一度保育園に近づいて、誰かを尾行するように首だけフェンスのほうへばした。

「うーん。やっぱ外からじゃ見えないね」

この男はあれを見ても何もじないのか……。凜太はもう今すぐ帰りたい気持ちになっていた。

あんなもの二度と目にしたくない。その場にあった電柱に背中を預けて、そのままがアスファルトに付きそうなほど力する。

「害はなさそうだし、ちょっと怖いかもしれないけど、中にって患者を探そうか」

「……はい」

凜太は目を瞑って、そのままため息を吐くように答えた。

そのことを疑問に思っているのが自分だけで、凜太はまるで最悪のパラレルワールドにでも來たようにじた。まあ悪夢なんてそのようなものだけれど……。

堂々と正面から園庭にった増川は園庭のど真ん中を堂々と通って奧の建を目指した。赤い屋で、教室のガラスには花のシールがられたかわいい建は隣の恐怖を引き立てる。

園庭の中ほどまで増川の背中を頼りに歩いたが、今のところ腐った園児たちは各々遊んでいてこちらに何かをしてくることは無かった。

ある者は砂場で、ある者はジャングルジムで、遊を使って遊んでいる奴もいる。

こちらに危害を及ぼさないことは良いのだが……近くまで來ると気持ちの悪さが何倍にもなった。鬼ごっこをしている奴のタッチする音はをつぶすような腐った手をぶつける音がちゃんとしていて、腐った園児がり臺をった後には濃いの跡が付いていた。

吐き気も催した。久しぶりの覚だ。の下らへんが側からられているように不快だ。

近くで転んだ園児の顔は元からひどいものだったのに、よりだらけでひどいものなった。さらにその園児の眼から白い球がぽろりと土の上に落ちた時、凜太はいよいよえづいた。

本當に吐かないように手で口を抑えて、一応増川にかからない方角を向く……。

「うあああああああああああ!」

その時聞いたのは増川の悲鳴だった。慌てて増川のほうへ視線を戻すと、増川の足下に1人園児がいるのが分かった。

「お兄ちゃんも一緒に遊ぼうよ」

今度は隣から聲がして、凜太の足下にも園児が1人現れる長い髪をした腐った児だった。

そして、増川がんだ理由がすぐに分かった。

腐った児にれられた手首……凜太の左手首が周りの園児たちのように腐っていた。

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