《高収悪夢治療バイト・未経験者歓迎》第21話 治療功…?

「何であんなゾンビみたいなのがいてるんですかね。やばいですよ。早くここから逃げたいですよね」

は凜太の話を黙って聞くようになった。の表から怯えみたいなものは和らいだ気がするが、まだ得のしれないものを見ている丸い目ではあった。

「あなたは何も間違ってない。あんな園児を見れば誰だって怖い……」

の立場になって考えると、夢の中で見知らぬ男が親になって同意してくるのもそれはそれで変な気がするし、こんなこと言っても駄目だろうか……。

「でも、もうしの辛抱ですよ。僕が來たからにはこんな怖い場所とはすぐにおさらばできます……」

「そう……本當に怖いの……あの子たちあんなのじゃなかったのに……」

し落ち著いた聲で語りだした。

「私が何かしちゃったんだろうか……他の先生たちはどこへ行ってしまったんだろう……」

「あなたは何も悪くないですよ。ちょっと運が悪かっただけですよ。でも、すぐに元に戻せます」

「戻せるものなら戻してほしい。私はあの子たちの先生なのに……保護者の方たちにもなんて言ったらいいか……夢なら早く覚めてほしい――」

「そう!夢!夢ですよこれは」

凜太はが気付き始めたと察して、つい聲が大きくなった。いけると思った。確実に良い方向に向かっている。

「夢……夢って……あの夢……?」

「そうです。本當はあなた今寢てるんですよ。病院のベッドの上で。ほら、鹿児島から夢の治療しに來たんでしょう。覚えてませんか?」

「あ…………ああ……」

は凜太の言葉で部屋にって來た時のように両手で頭を抱えた……。そして、狼狽したようなか弱い聲を出す……。

けれど、怯えているわけではない。あからさまに驚き、見たことないくらい口を開いている。

「ああああああああああ!そうだ!!……私、今寢てる!!」

らしからぬ野太い聲では大聲を出した。

「そうじゃん!おかしいじゃん!さっきまで私病院におったやん。そうじゃんそうじゃんこれ夢じゃん」

「そうですそうです!夢っすよ!分かってくれましたか」

「はっははは。まじ笑う。何で気付けへんかったんやろ。こんなんどう考えてもおかしいやんね」

「ピンときました?夢ってなかなか気づけないですよね」

「じゃああなた病院の人か!あのヒゲゴリラの助手さん?」

が凜太を指差し、さっきとは打って変わって猿のように笑っている。うるさいくらい。

プライベートで友達や家族と話しているような言葉遣いに戸いつつも、凜太もすごく安心した。これは治療功だろう……。

「……先生あーそぼっ」

その時聞こえた聲は教室のドアからの子供の聲……凜太はすぐにの気が引いた……。

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