《高収悪夢治療バイト・未経験者歓迎》第37話 急転直下

凜太はそれが正直嫌だった。春山の言う通りにして、芋蟲と子中高生を會わせてしまうと良くないことが起きる気がする。

今まで見た怖い悪夢の時に経験したことと似ている。空気がより濃くじられて息苦しくなってくる。何でそうじるかは分からないけれど。

だから、凜太は春山を止めることができなかった。拠もなしに悪夢治療バイトの経験が淺い自分が春山のじた違和を否定することはできなかった。無理やり芋蟲を殺して、春山という天使に嫌われるのも嫌だったし。

「春山さんが言うならそうしてみようか。本當にそいつは持ってて大丈夫?」

「うん。おとなしいよ」

凜太と春山の二人は部屋の中を出て階段を下りた。

「たしかにやっぱりおかしいよね……」

凜太は赤い部屋を振り返り、春山には聞こえない聲量で言った。この夢の中に來てからいくつも違和じていた。ただ気持ち悪い生が出る夢にしては何もかもが不気味すぎる。

それが分かっていながらも、考えたくなかった。そこから目を逸らして芋蟲を殺すことで終わりにしたかった。そうすれば、たとえそれが間違ったことであっても、人に言われたことだからと責任逃れ出來る。

だけど、こうなってしまったから仕方ない。自分だけでなく春山もそうじているのなら、きっとこれまでの違和は気のせいなんかじゃない。なぜかもう悪い予しかしない……何かが息を潛めて待ち構えていそう。それでも凜太は家を出た。

「あの……」

玄関を出ると同時に春山が呼ぶように言った。

凜太は子中高生を探した。家を出てすぐ、る前にいた場所には彼の姿は無かった。

じゃあ、どこにいるかと、辺りを探すとすぐにその姿はあった。家からし離れた道の真ん中。よく表も見えない場所でただずっと佇んでいた……。

「あの」

凜太も子中高生を呼んだ。

そうすると、気づいたのか彼はこちらに向かって歩いてきた。その歩き方……速度……そして、うっすら見えた表までもがさっきまでとはまるで違っていた。

なぜだろうか、そこでまたしても凜太はきを止めた。たぶん逃げたほうが良い。予想通り悪いことが起きてる。分かっていても目を離せない。全く想像できなかった恐怖。

平凡だった子中高生が怒りに満ちた表で顔を引きつらせている。前のめりの姿勢で襲い掛かるタイミングを計るような歩き方……。すぐに逃げないと。分かっているのに……。

「ま、さか……連れ出し……てきてくれるなんて」

唸るような枯れた低い聲がした時にようやく凜太はいた。隣の春山もけていなかった。たぶん春山の場合はただ怖かったから。表を見れば分かる。

「春山さんっ」

咄嗟だったから手を強く引いた。一緒に後ろの家の中へ逃げ込む。そこにしか逃げ道がなかった。

霊のような見た目になった子中高生からの。

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